朝陽
朝陽
暗闇で生きてきた僕らには眩しすぎる陽が朝を告げる。
それが何もかもに諦めを促し、
誘いに導かれるようにすでに動かない身を、意思までも託し、委ねる。
力を持たせるよう、温かみを取り戻すよう、握り締めた指。
冷たく、動かそうとする意志さえも感じ取れないほどに固まっている。
諦め、仕方ないんだというように笑顔を見せる君。
僕は絶望に暮れ、何も言えず、
それでも信じたくなくて、抗うように凍った指先をさらに握る。
景色は涙で滲み、現実感が薄れている。
「生きる」ということは、いつかは「死ぬ」けれど、
終わらないものなどなくて、不変も永遠もまやかし。
必ず、どこか目にみえなくても絶えず変わってゆき、変動も変化も真実。
わかってる。
だから、せめて、
君に声かける時間を、君を抱きしめる時間を、
ほんの少しだけでいい。
別れるための時間を下さい。
あたしはもういかなければならないの。
時が止まるはずはないから。
「生きたい」そんな些細な願いさえも、
風に吹かれ、誰の耳にも届くことなく、消えていく。
血が張り付いた喉はひりひりし、願望という餓えが残る。
この先、未来には何が待っているのだろう。
どんな結果だろうと、受け入れなければならない。
二人の運命は平行線
決して一つになることはない。
あたしの道はすでに閉ざされ、硬く、暗く、先はない。
けれど生者の君には明るく、いくつもの先が用意されているから。
振り返っては駄目。
立ち止まっては駄目。
君は強いから。
立ち尽くす。
君といた街は歪み、歪み、
君がいた記憶は僕の胸の中で溢れ出し、
深く、深く、
悲しみの泉が出来上がってる。
僕はそこに溺れ、浸り、絡められ、
未だ立ち上がることすら出来ないんだ