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冤罪魔王と悪役令嬢ロボの銀河騒動記  作者: ぎあまん


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44反逆者たち



 フロッピー《なりそこね》四人を捕まえたという結果は、センダナルを興奮させた。

 海老反りの状態で手足を固定されたフロッピーたち四人がドックの端に並べられている。

 拘束しているものに異変が生じれば、即座に金属製の首輪が反応して薬物が注射されるようになっており、脱出はまず無理な状態となっている。

 ちなみに彼らが乗っていた母船は逃げようとしたので沈めた。


「イオ君に無茶はできないからねぇ。でも反逆者ならなにしても問題はないよねぇ」


 人権という言葉がイオの脳裏によぎる。

 剣と魔法と戦乱の異世界を体験していなければ、センダナルの態度には嫌悪感さえも浮かんだかもしれない。

 だが、いまはなにも感じない。

 この四人はすでに襲い殺し奪っている。

 調べてみれば宙賊としてすでに指名手配がされている。宙賊は問答無用で殺していいし、賞金までももらえる。

 それでも心配は心配でイオは質問した。

 フロッピーたちではなく、これから行われるだろうことが、だ。


「一応の確認だが、違法性はないんだよな?」

「もちろん。宙賊を捕まえてなにをしようが、逃がしさえしなければ罪には問われんよ。さあさあ、お前たちはとりあえず脳だけになってもらおうかねぇ」


 センダナルの楽しそうな声で四人から悲鳴が上がる。


「大丈夫だよ。脳だけでも案外人生は楽しいよ? まぁ、君らにこれから先楽しいことはないけどね」


 騒ぐ彼らに薬液が注入され、静かになったところで医療区画に運ばれていく。

 自分が検査を受けた医療ポッドでバラバラにされるのかと考えると、あまりいい気分ではないイオだった。


「皇帝に逆らった時点で、君らに人権はないからねぇ。残念だねぇ」


 センダナルの言葉が銀河帝国における社会通念を象徴していた。

 工房艦グランダラは輸送船ベンリンとともにセファタタ支社コロニーに向かい、無事に到着した。


『フロッピーどもでは相手にならんか、さすがやなぁ』


 通信をしてきたフォクサはとても嬉しそうだ。


『で、ちゃんと倒して来たんやろうね?』

「それはもちろん」


 素知らぬ顔で頷き、彼らの運命については記憶のゴミ箱に放り込む。


「少しよろしいですか?」


 特に話すこともないのでそれで通信を切ろうとしていると、ママスカヤが口を挟んだ。


「フロッピーが使っていた船の通信記録を解析してみますと興味深い内容がありましたのでそちらに共有いたします」

『ほおん? なんやの?」

「詳しい内容はそちらの機械知性に解説してもらってください」

『まぁええわ。ほな、また後でな』


 それで通信が終わった。


「なんだったんだ?」

「あまり気分が良くない話になりそうです」


 そう言ったママスカヤが工房艦グランダラのリビングに移動するのにイオたちも付いていく。

 ちょうどそこでセンダナルが通信を終えたところだった。


「やあ来たかい」

「なにか面白くない話なのか?」

「まぁ、先行きが暗いというか、気分が悪くなる話だよ」

「気分ね」


 捕虜を脳だけにするようなセンダナルの気分が悪くなる話とは、どういうものだろうか?


「宙賊たちが人を捕まえた場合は、どうすると思う?」

「どう? 人質交渉でもするのか?」

「場合によってはあるかもしれないね。それこそ大企業の重役ぐらいのレベルなら、誘拐交渉専門の犯罪組織に売られていくこともあるかもしれない」

「その言い方だと普通はそういうことはしなさそうだ」

「まぁね。誘拐交渉なんて基本は割に合わないんだと思うよ。だからやるのは肉体改造だ」

「だんだん気持ち悪くなってきたな」

「まだまだ導入部分だよ」

「さっさと本題に入ってくれ」

「仕方ないなぁ。これもある意味、生命工学の実験場なのだけど……」

「生命工学は専門じゃないとか言ってなかったか?」

「専門じゃないけど、博士号ぐらいは取ってるよ。当たり前でしょ」


 センダナルと常識のすり合わせはしない方がいいと感じ、イオは首を振った。


「それで?」

「まぁ、宙賊たちのサイドビジネスに利用されているのだけれど、彼らにそう言った技術を売っている組織も存在しているということになるよね?」

「道具を売る感覚か?」

「そうそう」

「前置きが長いな、なんなんだ?」

「つまり、そういうキメラ製造的な遺伝子改変技術が反乱軍に流れている可能性があるってことだよ」

「キメラか」


 イオの知っているキメラは、様々な動物を兼ね合わせて合成生物のことだが、単語的な意味合いはこちらでも同じようだ。

 そんな言葉が銀河帝国にもあるとは思わなかった。


「どう怖いんだ?」


 改造手術を施して解き放つのであれば、それほど恐ろしいとは思えない。

 宇宙の中で鉄の塊の戦闘艦が超熱量のレーザーを飛び交わす世界だ。多少デカかろうが、タンパク質の塊程度が恐ろしい存在になれるとは思えない。

 この世界には魔法もない。

 他にも何かあるはずだ。


「ウィルス型なんだよ」

「ウィルス型?」

「風邪のように感染して周り、人や動物をキメラにして回る。すでにパルミナエル星系の首都星で大規模感染が起きているらしい」

「それは……ひどいな」

星守ステラガーダーたちはその対処のために足止めされていて、こちらに来るのが遅れているらしい」


 ああ、支社長や司令は星守がこちらにやってくるのを期待していたのかと、イオは別のところで納得した。

 暗い話とはつまり、星守が来ないかもしれない、ということだ。


 だが、彼らはD事故の調査を優先すると明言している。

 元からこちらに来るかどうかはわからなかったのではないか?

 そうは思っても、すぐ近くに頼りになる戦力がいるとわかっていれば期待してしまうのかもしれない。

 センダナルにもそういう弱気な精神があったのだろうか?


「どういうウィルスなんだろうねぇ、気にならないかい? ウィルスなんかの感染の過程というには好奇心がそそられるよね。あれを無機質に応用して分子構造を変容できないかと考えているのだけどね。うまく制御できれば、いままでとは違う金属加工が可能になるのではないかと……」


 いや、違った。

 センダナルにとっては、支社長たちにとっては暗いニュースらしいが……ぐらいの気分だったらしい。

 やはりセンダナルに常識を確認するのはやめておこうと、イオは改めて思った。

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