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冤罪魔王と悪役令嬢ロボの銀河騒動記  作者: ぎあまん


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28挑戦状



『皇帝陛下に不倫疑惑⁉︎ タタガタ星系国家での謎の時間‼︎』


『皇太子と婚約者の甘いデート内容の全て! 皇族デートの参考書はなんと……』


『第三皇女のお気に入り! 夜中にこっそりつまみ食いしちゃうのは……』


星守ステラガーダーシングルナンバーズ。皇族から見た意外な素顔の数々!』


 ミーシャによる皇族暴露話はイオの予想通りに波及していった。

 こちらの世界にも時事的な話題を井戸端会議的に消化していくメディアというものは存在し、ミーシャが語る内容を穴が開くほどに擦り続けていく。

 他の事件、有名人の醜聞ならばまさしく星の数だけ存在するが、銀河帝国の皇帝は世にただ一人、その家族もただ一つである。

 多少その家族が多いとしても、銀河規模の中ではほんの僅かである。

 全ての星系国家でこの話題は必ず上がった。


『どうもこんにちは。リリスミア・ファーラ・ダグワーレンです。本日も私が本物であることを証明するために、皇族とその周辺にある世間には出ることのない情報をお届けしたいと思います。では、今回は二番目のお兄様のお話をしましょう。普段は二兄にーにと呼んでいるんですよ。王太子殿下は一番目ですので一兄いちにいですね。小さな頃の呼び方ですが、いまも油断していると出てきます。それでその二兄なのですけど……実は、超が付く怖がりなんです。ホラーが苦手なんですよ。あの名作ジュ・オンも未だに観ることができないんです。それで、名作はもう一つあるでしょ? そう、リング・ウー。そちらは観ているんですけど、その経緯がですね。姉様とですね……』


 ミーシャの語る話題の選定も、皇室の権威を傷付けるような内容のものは存在せず、あくまでも『個人のちょっと他人に話しにくい内容』ぐらいのものであったのも良かった。

 畏れ多い! と感じるものであれば、場合によってメディアも慎重に話題を扱ったかもしれない。


 最初の話題として扱った皇帝の不倫疑惑も、すでに第十皇妃として内示された人物のことであり、皇妃たちに怒られていたことも夫婦間の問題でしかない。


 皇帝陛下も妻の機嫌を伺うことがあるのだ、とか。

 皇太子もデートには庶民と同じ情報を参考にするんだ、とか。

 その程度の話題だ。

 逆に皇太子がデートの参考したという情報誌サイトはアクセスが集中しすぎてダウンしたり、第三皇女がダイエット中も我慢できなくなるぐらいに美味しいお菓子として注文が殺到したりしている。

 そして今回話題になったホラー映画も再び注目されることになる。


 そんな風に銀河帝国中に皇帝一家の話題を提供していくことによって、ミーシャは自然と人々の中で『本物の第五皇女』として扱われるようになった。


 そしてそうなると、『ニセモノを旗頭にした卑怯者たち』として今回の反乱軍に冷たい目が注がれることになる。

 それは反乱した星系国家内でもそうだ。

 特に一般の星系国家民にとっては、戦争のせいで物価や交通、通信などでの不便が襲いかかることが確定している中で、『大義名分にあからさまな嘘が混ざっている』『わざわざ帝国皇女など持ち出してきて人気取りに失敗した』『結局帝国の権威に頼るしかできないクソダサ王家集団』などと冷たい視線が向けられることとなった。


 そんな視線を向けられては反乱軍内部でも動揺が走っており、企んだ首脳部は恥をかかされて怒り心頭となった。


 そして、イオたちの潜む宙賊基地では……。


「奴ら、血眼になって私たちを探しているぞ」

「だろうな」


 中継機がまた一つ破壊された。

 これでまたこちらが外へと発信する力が減らされたのだが、イオはあまり気にしていなかった、


「すでに十分、話題性は勝ち取った。この作戦は成功しているし、いつ終わっても問題ない」

「まぁそうだね。それより、通信波の逆算でこの基地が見つかるのも時間の問題ではないかな?」

「そうだろうな」


 動画を発信する際に、通信波の逆算で現在の位置が判明する危険は教えられている。

 それを知った上で、イオはこの作戦を計画し、実行した。


「逃げる手段も用意できるだろう?」

「まぁね安全圏航路セーフティラインから離れすぎるのは怖いけれど」


 逃げるための手段として、資材を運んだ輸送船と宙賊基地に残っていたものを組み合わせて長期間航行船をでっち上げている。

 宙賊基地のあるこの地点でも安全圏航路からかなり離れた危険地帯なのだが、それよりもさらに深く、軍が入り込むことのない場所へと逃げ込むつもりだ。

 宙賊基地にあるデータをヴィルダとママスカヤが徹底的にさらった結果、宙賊たち用の危険地帯マップのようなものがあったので、これを利用して反乱していない星系国家へと地道な移動で逃げ込むつもりだ。

 その場合、計算上では移動に十年ほどかかってしまうのだが。


「まぁ、死ぬよりはマシだろう?」

「外の刺激に触れる機会が減るのはいただけないが、その間、研究に没頭できるかもしれないというのはいいかもね。だが……」


 その時、イオたちは戦闘機ヴィルダのチェックをしているところだった。

 センダナルの考えた新たな装備は少し大きいので、戦闘機状態の時には二つに分かれて機体上部に取り付けるようになっている。

 新たな装備であるだけに、変形時の邪魔になる可能性がないように取り付け位置の調整が行われていた。

 変形による分離時の位置固定、または再変形での再装着など……本来なら時間をかけて何度も実試験を行うのだが、今回はヴィルダとママスカヤによる仮想試験だけで済ませることになってしまっている。


「君たち、その船に乗る気はなさそうだよね?」

「まぁ、挑戦状も送ったからな」

「だよね!」


 イオは唇の端を引き伸ばし、ヴィルダは満面の笑みで頷く。


「あそこまで馬鹿にされて、まさか奴は逃げたりしないだろう」

「見せてあげるよ! 私とイオの凄さを」

「まったく、君たちは」


 ちなみにその挑戦状とは……。


『どうもこんにちは。リリスミア・ファーラ・ダグワーレンです。今回はいままでのものとは少し趣旨が違いまして、私をたすけてくださいました方をほんの少しだけ紹介したいと思います。それがこちらです』


 動画の撮影は宙賊基地のドックで行われていた。

 ミーシャの後ろには人型に変形した状態の戦闘機ヴィルダがいる。


『そう、人型ロボットです! すごいですよね。こちらATX-0003といいまして、パルミナエル星系国家がダンロイド王子のためにアクセンブル社に特別注文した機体となります。で・す・が、残念ながら、王子はこの機体を受け取りませんでした。ご自身で人型ロボを注文しておきながら、いきなりの掌返しで注文を無かったことにしてしまったのです! しかも、機体性能が要求スペックに達していないなどと言いがかりをつけて、アクセンブル社が悪いことにしてしまったのです! ひどい話ですよね。でも、そうして王子の手から離れた彼女は、素敵なパイロットと出会って、私をたすけてくださる騎士となったのです! この機体の性能は完璧です。その証拠にバーンズ星系国家での交易コロニーで起きたD事故では、発生したアクマを単機で倒したのですから!』


 身振りを大きく、いままでで作り上げた親しげな印象を前面に押し出し、ミーシャは最初の頃とは違い、明るくカメラの前で演じることができるようになっていた。


『素晴らしい性能です。でも、これは機体とパイロットが揃ったからこその結果です。ありがとう、ダンロイド王子。あなたがパイロットとして未熟で、愚かな選択をしてくれなければ、ATX-0003とパイロットとの出会いはなく、私の命もどうなっていたかわかりません』


 それは、誰でもはっきりとわかるほどの挑発だった。

 味方の愚行が敵を利することになった、と言っているのだから。


『ダンロイド王子、ATX-0003からの伝言です。あなたの新しい女と一緒に、ぜひともいらしてください。きっと見せてくれるのでしょうね、私よりもスペックが上なところを。では、今回はここまで』


 優雅な一礼をし、動画は終わる。

 ヴィルダの言葉を代弁をした時の鬼気迫る笑顔、そしてその後の動き。

 これこそが戦の顔となる者、皇帝の血に繋がる者の態度であると言わんばかりの姿を、ミーシャもまた見せつけたのだった。



 

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