Chapter60【愛】
クトゥルフとの死闘――あの世界の命運を賭けた戦いから、
すでに二十六日が過ぎていた。
空は春のように穏やかだったが、誰もが知っていた。
あの時、この世界のすべてが終わりかけていたことを。
それから幾星霜……
魔王城の奥深く、誰も足を踏み入れられぬ特別な部屋で、ひとつの気配が、静かに目覚めようとしていた。
重いまぶたが、ゆっくりと開いた。
(……ここは……?)
ぼんやりと霞む視界に、まず映ったのは、淡い青の天蓋。
それを支える白銀の柱が、まるで夢の中の宮殿のように美しかった。
カーテンは薄絹のように光を通し、柔らかな風が舞うたびに、静かに揺れていた。
壁には銀糸で織られた複雑な紋章のタペストリーが掛かっており、床には白い獣の毛皮が敷かれている。
揺れる燭台の青白い炎が、部屋を静謐な幻想のように包んでいた。
「……え?」
その小さな声が、まるで世界に戻ってきたことを告げる鐘のように響いた。
と、その時。
廊下の向こうから、誰かの足音が近づいてくる――
重く、速く、焦るような響き。
次の瞬間、音を立てて扉が開かれた。
そこに現れたのは、一人の男だった。
彼は背が高く、黒と紫を基調とした重厚なローブを身にまとっていた。
その顔には鳥のくちばしを模した漆黒の仮面。
にもかかわらず、彼の双眸――仮面越しの視線は、鋭くも温かかった。
男は一歩、いや、半歩だけ前に出た。
そして――
「魔王様!お目覚めになられたのですね!」
その声には、張りつめた静けさが崩れるような安堵があった。
彼は、膝をつき、頭を深く垂れた。
それは軍人の礼ではなく、信徒が神に捧げるような、敬虔で深い忠誠の表れだった。
彼の名は――
アンドラス。
魔王軍‥‥
魔王ハル子の側近として、仕えてきた男である。
ハル子は、仰向けのまま、ゆっくりと視線を動かす。
「……アンドラス……?」
彼の名を口にした瞬間、張りつめていた空気がひとつ、ほどけた。
アンドラスは、顔を上げ、目元にかすかな笑みを浮かべる。
「はい、我が主。あなたは……奇跡の中で、帰ってこられたのです…」
その言葉は、祝福と哀しみと――それでも確かに喜びを含んでいた。
(奇跡……私は……あの時……)
ハル子の胸の奥が、微かに熱を帯びた。
静かな始まり。
世界はまだ、終わっていなかった。
「あ……アンドラス?」
ハル子はその名を確かめるように呟いた。
口に出した瞬間、自分が夢ではなく、現実に戻ってきたのだと悟った。
アンドラスは仮面越しに、わずかに目を細めた。
「魔王ルシファー様……いえ――ハル子様。」
彼は迷いなく名を呼び直した。
それは、地位ではなく“あなたという存在”を呼んだ、真実の名だった。
その響きに、ハル子の胸が不思議な痛みで満たされた。
だが、その余韻を味わう間もなく、記憶の奔流が押し寄せる。
「なにが……あったの? あ……!」
彼女の顔色が、瞬時に変わる。
「クトゥルフは! クトゥルフはどうなったの!!?」
ベッドの上から跳ね起きた。
その勢いのままアンドラスのもとへ駆け寄り、両肩を掴んで激しく揺さぶる。
「答えて! 答えてアンドラス! 私が……私が“ジ・エンド”を使って……!」
その手は震えていた。
己の命を代償にしたはずの選択――
それが、果たして本当に意味を持ったのか、彼女は知らなかったのだ。
だが、アンドラスは乱されることなく、落ち着いた声で言った。
「……は、はい。すべて……お話しします」
彼はそっとハル子の手に触れ、優しく振りほどいた。
そしてゆっくりと、片膝を床につき、語り始める。
「――あれは、今より二十六日前のことでした……」
蝋燭の炎が揺れる中、アンドラスの語る言葉が、静かにこの場を過去へと導いていく。
かつて神々すら震撼したあの戦いの、“その後”が、今――明かされようとしていた。
「魔王ハル子様が放った究極の魔法――“ジ・エンド”。」
アンドラスは仮面の奥で深く息を吸った。
「その力により……魔王連合軍だけではありません。帝国軍の兵士たち、それ以外の者も含め、この戦いに命を落としたすべての人々が‥‥生き返ったのです。」
「……!」
ハル子は言葉を失った。
「そして、まず目覚めたのが――リヴァイア様でした。」
アンドラスの声が熱を帯び始める。
「彼女はすぐに、状況を把握したのです。魔力の痕跡、空気の震え、そして倒れていたあなたの姿……全てから、“あなたが命と引き換えに奇跡を起こした”と。」
「……リヴァイア……」
「ええ。そして、叫びました。『今こそ総攻撃だ! クトゥルフを仕留めろ!!』と‥…」
アンドラスの拳が震える。
「クトゥルフは、満身創痍でした……かろうじて残っていた一本の触手で…目の前で魔王連合軍すべての者が生き返るのを‥‥目の当たりにしたのです…」
そして、少し声を落として――
「そこに、復活した全軍が総力をもって襲い掛かったのです。魔王軍と帝国軍、すべてがひとつになって。」
「そして――」
「――勝利しました。見事に、クトゥルフを打ち滅ぼしたのです……!」
彼は興奮を抑えきれず、立ち上がった。
ハル子は、その報せに胸を撫で下ろしながらも、ひとつの疑問が残っていた。
「……よかった……でも、ひとつ……」
彼女はか細く問いかけた。
「なぜ私が……生き返ったの?」
その声は、ほとんど呟きだった。
“ジ・エンド”は、自らの命を犠牲にしてこそ成立する魔法――
ならば、いま息をしている自分は、いったい何なのか。
アンドラスの姿勢が、ふっと静まる。
「……それは……」
彼は目を閉じ、ゆっくりと口を開いた。
「クトゥルフを倒した後、皆が戦場に戻ったのです。そこには、あなたが――魔王様が、まるで眠るように横たわっていた」
「そして、誰もが、何も言えなかった……ただ、泣き崩れました。」
その情景が、彼の語る言葉の裏ににじんでいた。
血と灰に染まった荒野、降り注ぐ白い光、そして、沈黙の中で嗚咽を漏らす者たちの姿。
魔王様を囲う百万を超える者たちが…悲しみに沈んだのです。
「そのとき、空が――割れたのです。」
「……え?」
ハル子の瞳が揺れる。
「天空に、巨大な二つの目が浮かび上がりました。星よりも大きく、神話よりも古い視線……それは、空そのものが見つめているかのようでした」
アンドラスは小さく、息を飲んだ。
「その声は、万象を震わせるような響きで、こう告げたのです――」
『我はこの宇宙の創造主、“カオス”である。よくぞ七つ目のクリスタルを解放した。褒美である。――願いを、一つだけ叶えてやろう』
「…………!」
ハル子は、声を出すことさえ忘れていた。
「そのとき……皆が、口々に叫んだのです。魔王様を! ハル子様を! どうか、蘇らせてくださいと!」
アンドラスは拳を握りしめる。
その手には、まるで全軍の祈りが今も残っているかのようだった。
「兵も、将も、帝国軍すらも……敵も味方もありませんでした。」
「皆が、あなたの命を願ったのです――」
「えっ……」
ハル子の視界がにじむ。
呼吸が浅くなり、胸の奥で何かが、崩れ、溢れ出す。
「そんな……私なんかのために……みんなが……」
言葉の最後は、涙に溶けて消えた。
青白い燭台の火が、涙を受けた頬を照らしていた。
その灯りは、かつての“魔王”の姿には似つかわしくないほど、あたたかかった。
「そして――」
アンドラスの声が、かすれた。
「創造主カオスは……『亡くなってから26分が経過している……よって26日後に、息を吹き返すであろう』……そう、告げられました。」
彼の仮面の奥から、涙がこぼれているのがわかった。抑えきれず震える声は、鳴き声にも似ていた。
「その言葉の直後、魔王様の身体は……神々しい光に包まれたのです。まるで、星そのものが祝福を送るように……」
沈黙の中、淡く光が瞬くベッドルームに、ふたりの影がそっと揺れていた。
ハル子は静かに、まぶたを閉じた。
そして、ぽつりと呟いた。
「……それが、今……なの?」
「……はい」
アンドラスの返事は、涙に震えていた。
しばしの静寂。
しかし、外から微かに届く喧騒が、その静けさを打ち破った。
――歓声。笑い声。楽器の音色。旗が翻る音。どこか懐かしい祭の気配。
その騒がしさに導かれるように、まだ少し覚束ない足取りで歩き出す。
アンドラスは黙って、その背中を見送った。
金と紫を基調とした扉を開け、テラスへと出たハル子の瞳に、ひとつの奇跡の光景が飛び込んできた。
――そこには。
笑顔があった。
命が、あった。
平和が、確かに、存在していた。
魔王城の城下町には、色とりどりの旗がはためき、花が舞い、歓声が響きわたっていた。まるでパレード。まるで夢。
人間、獣人、帝国兵、魔族――あらゆる種族が入り混じり、楽しげに語らい、手を取り合っていた。
トスカーナの農夫がログエルの騎士に酒を渡し、帝国の職人が魔王軍の兵士と共に祭りの飾りを吊るす。
見上げれば、空を舞う飛竜たちがリボンを引き、子どもたちの笑い声が追いかけていた。
「……こんな……」
言葉が喉につかえた。
――それでも、声にしなければいけなかった。
「……こんな光景が……本当に……」
両の手で、胸を押さえる。
胸の奥が熱くて、苦しいほどだった。
それは、まぎれもなく「愛されたという事実」が、魂の深い場所で鳴り響いているからだった。
「皆……こんなにも……平和を、望んでくれていたんだね……」
風が吹いた。
白いカーテンが揺れ、テラスに淡い光が射す。
それはまるで、天からの祝福のようだった。
そして、その光の中に――
魔王ハル子の姿は、以前よりも穏やかで、美しかった。
と、その時だった。
「魔王様っ!」
――駆けるような足音。ひときわ高い少女の声が、賑わいの中からこちらへ向かって響いてきた。
振り返ると、城門の方から、金髪の少女が走ってくるのが見えた。
風に揺れる白いマント、そして懐かしい笑顔。
「……アルル!」
その名を呼ぶと同時に、ハル子の頬を涙が伝っていた。
アルルはテラスへ駆け上がるなり、勢いよく魔王ハル子に抱きついた。
「バカっ!ほんとに、ほんとに、もう……!」
「……うん、ごめん」
「勝手に死んでんじゃないよ……!」
アルルの声は震えていたが、その腕は確かに温かく、優しく、ハル子を抱き締めていた。
「ま……魔王さま……」
かすかに震える声が、風の向こうから聞こえてきた。
その声の主は、リヴァイアだった。
次の瞬間、風を切る音とともに彼女が空を裂いて飛び込んでくる。
迷いもためらいもない勢いで、まるで永遠の別れを越えてきたかのように――
そのまま、魔王の胸に飛び込んだ。
魔王は、彼女の体をしっかりと受け止める。
その肩が震えているのが、抱きしめた腕を通して伝わってきた。
長い時間押し殺してきた感情が、今すべて溢れ出したように。
やがて――
ざっ、と足音が石畳に広がる。
振り返ると、次々と幹部たちが駆けてくるのが見えた。
ベリアルが、泣きじゃくりながらその胸に飛び込み、嗚咽混じりに名を呼ぶ。
続いてビゼ、ガーラ、ケル……
皆、涙をこらえることなく、魔王へと抱きついた。
「おかえりなさい……!」「おかえりなさい!」
「帰ってきてくれて、ありがとう……!」
「今度は、もう死なせませんよ!」
その瞬間、ハル子の中で、長く凍っていた何かが――音を立てて、溶けた。
嗚咽がこぼれる。涙が止まらない。
「……うん……ただいま……みんな、ただいま!」
その言葉は心から湧き上がった素直な言葉だった。
そして、ゆっくりと歩いてくるのはベルゼブル――
あの冷静沈着な彼でさえ、目元を潤ませていた。
その隣にはアーサー王。普段は毅然とした王の姿を崩さない彼もまた、静かに涙を流していた。
ラ・ムウ、リリス、ツァラトゥストラ、ヴァルフォレ…トスカーナ大公国の太公望ら、皆、涙を流しながらその光景を見守った。
最後に、テラスの奥から姿を現したのは、蟲王ルイ。
いつものように微笑みをたたえ、どこかすべてを包み込むような穏やかさで立っていた。
そう――
皆が揃っていた。
懐かしく、暖かい時間が、魔王の帰還を迎えていた。
夕方の風が静かに吹き抜けるテラスの上、彼らの再会を祝福するかのように、星々がきらめいていた。
テラスに集う幹部たちの姿――
その情景は、まるで絵画のように荘厳で、美しく、何よりも人々の胸を震わせた。
それを見下ろす位置にある城の外壁から、ひとりの衛兵が目を凝らした。
「……あれを見ろ!!!」
彼の叫びが、まるで鐘の音のように城下町に響き渡る。
城下の人々も気づき、次々とテラスに向かって手を振りはじめた。
――帝国兵が、
――魔王軍の兵士が、
――農民が、
――魔族が。
誰もが「魔王ハル子」の復活を、心から喜んでいた。
誰かが息を呑み、誰かが膝を折り、そして誰かが――涙した。
「魔王様が……魔王様が復活されたぞ!!!」
そしてその光景を見ながら、ハル子はふと思った。
(きっと……人は、憎しみに負けることもある。でも、愛に導かれて戻ってこれるんだ……)
(私は……それを信じたい)
風が、やさしく吹いた。
どこかから、花びらが舞い上がり、テラスを飾る。
――魔王ハル子は、微笑んでいた。
その言葉が伝播するように、町の隅々へと広がっていく。
小さな子供が指をさし、老いた旅人が手を震わせ、商人が荷を放り出して空を仰いだ。
「おおお魔王様あああああ!!!」
「魔王!魔王!魔王!!!」
歓喜と熱狂が、城下町全体を包み込む。
声は波のように押し寄せ、喜びのうねりとなって広がっていった。
民たちは通りに飛び出し、鐘を鳴らし、手を取り合い、叫んだ。
「ハル子!!!ハル子!!!ハル子!!!!」
魔王の名ではなく、かつて人として生きた名を呼ぶ者もいた。
それは懐かしさからか、それとも深く知る者の祈りか。
いずれにせよ、誰もがその存在を、心の底から歓迎していた。
歓声は夕焼けを突き抜け、星々すらその熱に応えるように瞬いていた。
長い沈黙のときを超え――今、魔王は、確かに戻ってきたのだった。
「あ‥‥そろそろだな……!」
誰かがぽつりとつぶやいた。
その声に呼応するように、人々の視線が空へと向かう。
ざわめきが広がり、通りにいた者たちが足を止め、空を仰いだ。
すると――
ドぉ――――――――――――――――ン!!!
大地が小さく震えるような重低音が空を揺らし、
パァアーーーーーーーーーーーーン!!!
一筋、また一筋と、空に花が咲く。
赤、青、金、緑――
まばゆい光が夜の帳を裂き、まるで星が弾けるかのように、幾重もの花火が城上空を彩っていった。
夕焼けがまだ空の端に残る黄昏の中、
テラスに立つ魔王ハル子と、彼女を囲む仲間たちがその光景を見上げていた。
リヴァイア、アルル、ベリアル、ビゼ、ガーラ、ケル、ベルゼブル、ラ・ムウ、リリス、ツァラトゥストラ、ヴァルフォレ、アーサー王、トスカーナ大公国の太公望ら…そしてルイ――
皆が口を閉じ、ただその空のきらめきを静かに見つめていた。
音のない時間の中、ハル子は胸の奥からこみ上げてくる感情にそっと目を閉じた。
(ああ……本当によかった……本当に……)
暖かな風が髪を揺らし、どこか遠くから祝福の鐘の音が微かに響いていた。
かくして――
惑星グリーゼに平和が訪れた。
悪の化身・クトゥルフが討たれたことで、星は一万年もの長き戦乱の闇から解き放たれたのだ。
それを成し遂げたのは……
他でもない……
魔王――
ハル子だった。
その名は‥…
これからも語り継がれていく。
伝説として、
英雄譚として、
そして何より――人々の心の中で。
「完」
エンドロール
――今より二十日前。
激戦の地から、灰色の夕焼けを背にして一人の男が戻ってきた。
ニタヴェリル共和国の国主――シド・レヴリー。
彼の纏う外套は風に揺れ、その身に刻まれた傷跡とともに、遠い戦場の記憶を語っていた。
長く伸びた影が石畳を這い、静かに、彼は街の中央にそびえる研究所兼自宅へと足を向けた。
扉は重く、軋んだ音とともに開かれた。その瞬間、はじけるような声が玄関を満たした。
「お父さん!! おかえりなさい!!」
勢いよく飛び込んできたのは、小さな足音を響かせた少年だった。
アルベルト。シドの息子。
まだ幼さの残るその顔には、涙と笑顔が入り混じり、まるでずっと堪えていたものが一気に解き放たれたかのようだった。
小さな腕が迷わず父の腹にしがみつき、シドはほんの一瞬戸惑いを見せたものの、次の瞬間にはその柔らかな体をしっかりと抱きしめ返していた。
腕の中の温もりが確かに現実のものであると、ようやく彼の心に届いたのだった。
しかし、そのささやかな再会の喜びを包み込むように、奥から、柔らかな声が響いた。
「……あなた」
その一言で、すべてが凍りついた。
時間の流れが止まり、空気さえも色を失ったようだった。
耳にしたはずのない声――いや、耳が、魂が、決して忘れなかった声。
シドはゆっくりと顔を上げた。
そこに立っていたのは、あり得ないはずの人物だった。
白いワンピースが、夕暮れの光に溶けるように淡く揺れていた。
透き通るような肌、そっと微笑む唇。
その瞳は、深い湖のように澄んでいて――千年前、命を落としたはずの、最愛の妻だった。
「……え……どうして……」
かすれた声が、震える息と共に零れた。
信じられない現実を前に、彼は無意識のまま一歩、また一歩と足を踏み出す。
まるで夢のなかをさまようように、よろめきながら。
そして――彼女の腕がそっと、彼の背を抱いた。
「……おかえりなさい」
その囁きは、春風のように優しく、彼の胸の奥深くを撫でていった。
その瞬間、理屈も常識も、すべてが崩れ落ちた。
シドの頬を、ひとしずくの涙が伝う。
やがて、次々と――千年の時を越えた想いが、大粒の涙となって流れ出した。
心の中で、彼は静かに呼びかけた。
――魔王よ……いや、ハル子よ。
本当に……本当に……ありがとう。
◆ ◆ ◆
アルティメット魔法――「ジ・エンド」
惑星グリーゼへの魔王転生の際に放たれた禁呪、メメントモリ。
その魔法によって、命を失った二十万の聖ルルイエ帝国兵たちの命さえも甦らせた奇跡。
だが、その力はそれだけに留まらなかった。
奇跡は、時をも超えたのだ。
時空の向こう、千年前に命を落とした一人の女性――シドの妻までもが、魔法の光に包まれ、この世へと還ってきたのだ。
それは、単なる魔力ではあり得ない。
理も因果も打ち砕いたその力の根源にあったもの――
それは、魔王ハル子の中に宿った、深く、限りなく優しい「愛」だったのかもしれない。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
後半の伏線回収と盛り上がりは10数回書き直して、なんとか形になったかなと思います。59話と60話は書いている最中から涙がとまりませんでした…恥ずかしいです。
初めて書いた小説が、こんな長編小説になってしまい、私自身も驚きです。
とても20日間で書き上げたなんて、今でもびっくりです。
でも書いていて、本当に楽しかったです。
また新たなる作品を書いていきますので、ぜひ励ましのコメントをお願いしますね。
あとレビューもお願いします!アニメ化して見て見たい・・・と思うのは私だけでしょうか(笑)
双水ミナトより




