Chapter36【二つの戦場】
一方、セルチュク戦線では激震が走っていた。
帝国軍の主力である獣人兵七万が、突如として魔王連合軍へと寝返り、戦場は混乱と阿鼻叫喚の坩堝と化していた。
「ぐ……っ!」
四聖賢の一角、サマエルは歯を食いしばり、血がにじむほどに唇を噛んだ。怒りが全身を駆け巡り、その瞳は怒涛のような殺意に染まっていた。
「召喚獣を呼び出すのだ!」
咆哮と共に杖を高く掲げ、サマエルは苛烈な指示を飛ばす。
「左翼にはカマエル!右翼にはクシエル!召喚獣を展開し、奴らの進撃を食い止めろ!その隙に――我が最強の召喚獣、テューポーンを呼び出し、敵本陣にいる“女王”を名乗る小娘を、この手で討ち取る!よいなッ!!」
その命に、
「ははっ!」
赤き甲冑を纏った戦士カマエルが、鋼の如き声で応え、炎の鞭を構えたクシエルが不敵に笑う。
空が、重く唸る。
地が、血に染まる。
今、セルチュクの空に三体の召喚獣が姿を現す。
「いでよ!我が召喚獣ッ!!」
サマエルとクシエルの叫びと共に、空気が震え、地面が揺れる。
魔法陣が爆発するように輝き、戦場の地平に黒煙が立ちのぼった。
その黒煙の中から――現れたのは、かつてログエル王国とのキングスウッドの戦いにおいて猛威を振るった二体の異形の獣。
「キマイラ……! バジリスク……ッ!」
兵士たちが絶望に満ちた声を漏らす中、姿を現したのは――
体長十メートルを超える巨体。
前脚は猛獣のように太く、黒く輝く爪を備え、背には異様な山羊の角。
顔は獰猛なライオンと狂気を宿した山羊の二面を併せ持ち、尾には毒蛇がとぐろを巻いていた。
それは、混沌の象徴たる召喚獣『キマイラ』。
咆哮一つで兵の鼓膜が破れ、大地が裂ける。
続いて、瘴気を撒き散らしながら滑り出したのは、巨大な蛇の身体を持ち、鱗の間から紫の瘴気を噴き出す『バジリスク』。
「これが、四聖賢サマエル様の本気か……!」
味方の兵士の間に、戦慄が走る。
地獄の門が開いたかのような戦場の中、サマエルの口元には不気味な笑みが浮かんでいた。
その巨躯がうなりを上げ、魔王連合軍の左翼陣へと突進していく。
召喚獣キマイラ――その体躯が地面を踏みしめるたび、大地が揺れ、塹壕が崩れた。
それを見た帝国兵たちは歓声を上げた。
「キマイラ様が降臨されたぞ!」
「もう勝ったも同然だ!」
歓喜と狂乱が帝国軍を包み、士気は一気に上昇する。
彼らは、あの悪夢のような召喚獣が再び敵を蹂躙する様を想像し、勝利の未来を確信した。
しかし、その瞬間だった――。
空が、影に覆われた。
「……な、なんだ?」
見上げた帝国兵たちの目に映ったのは、左翼上空に浮かぶ漆黒の影。
陽を遮るほどの巨大な飛竜。その背には、一人の美しき女性が立っていた。黒い鱗を纏い、瞳は冷たく鋭い。
漆黒の竜-バハムート。
その背に乗るのは、魔王軍にして竜の血を引く――リヴァイアだった。
「ふふ……また出てきたか、下らぬ獣風情。何度出ようと、冥府の底へ送り返すだけのこと……!」
リヴァイアは冷笑を浮かべ、バハムートの首を軽く叩いた。
「バハムート様。――インフェルノを」
命じると同時に、バハムートの口内が赤熱を帯び始める。
巨大な顎が開かれ、喉奥に凝縮されたマグマの如き赤い光が脈動する。唸りとともに空気が震え、周囲に灼熱の波動が広がった。
次の瞬間、灼熱の咆哮が空を裂いた
轟音とともに放たれた大火球――《インフェルノ》は、まっすぐにキマイラを目がけて飛翔する。
逃げる間もなく、キマイラは火球を全身に受け、その場で爆ぜるように爆発した。
「うがぁああああああああッ!!」
怒声とも悲鳴ともつかぬ叫びを残し、キマイラの巨体は炎に包まれ、やがて黒い霧となって掻き消えた。
残されたのは、焼け焦げた地面と、硫黄のような臭いだけ。
「ふん。たわいもない……」
リヴァイアは軽くため息をつきながら、ひらりとバハムートの背から降り立つ。
その姿はまさに、戦場を支配する女王の如し。
「さあ……我が屈強なるリザードマンの戦士たちよ。この地を蹂躙せよ。帝国の地に、血を染めるのだ!」
彼女の命令とともに、地の裂け目から現れたのは、精鋭のリザードマン部隊。鋭い爪と厚い鱗、原始の本能をそのまま残した戦士たちが咆哮を上げ、帝国軍に襲いかかる。
「ぐあっ!」
「やめろぉッ!」
帝国兵たちは成す術もなく、バタバタと切り倒されていく。
鋭い斧が甲冑ごと胴を裂き、尻尾の一撃が兵士ごと壁を吹き飛ばした。もはや彼らの間に、さきほどまでの歓喜はなかった。
その中を、リヴァイアはまるで無人の野を駆けるかのように、しなやかに、そして鮮やかに敵陣を駆け抜けていく。
戦場は、ふたたび魔王軍の支配下へと傾き始めていた――
一方その頃、戦場の右翼――
魔王連合軍の陣営を睥睨するかのように、空を割って現れたのは、竜の頭部を持つ巨大な蛇。
召喚獣バジリスク。
その全身は黒鉄のような竜鱗に覆われ、鱗の隙間からは紫色の瘴気がじわじわと噴き出している。
まるで毒を孕んだ霧のように、瘴気は戦場に漂い、周囲の植物は瞬時にして枯れ果てた。
帝国軍には歓喜が満ちていた。
「おおお、バジリスク様ぁぁ! 我らの守護神、今ここに降臨せり!」
「敵は恐れている! この瞬間こそが勝機! 全軍、突撃ッ!!」
帝国兵たちは雄叫びを上げ、バジリスクに乗じて士気を爆発させた。
瘴気に包まれた黒き巨獣と共に、怒涛の勢いで魔王連合軍へとなだれ込んでいく。
だが、その流れを一瞬で止めたのは――
「フフフ……バカな子たちねぇ」
優美で妖艶な声が、戦場に響いた。
その声の主は、連合軍の猛者にして魔王の忠臣。妖魔の女王――メデューサ・ベリアル。
漆黒のゴーレムの肩に優雅に腰かけ、まるで舞台女優のような仕草で前線を見下ろしていた。
「恐怖も知らずに駆け込むとは、無垢というのも時に罪ね……さあ、見せてあげましょう。これが“視線の魔”たる私の力」
ベリアルはすっと立ち上がると、ゴーレムの背中でひときわ高く声を放った。
「皆よ、我に注目せよ!!!」
その一言が魔法のようだった。
思わずベリアルの声に惹かれた帝国兵たちが顔を上げ、その美貌を目にしてしまう。
その瞬間、彼女の両目が赤く妖しく光り輝いた――。
「《ペテリフィケイション》……」
囁くような声とともに、目から放たれる赤の閃光。
それを見た者は、抗う間もなく、足元から徐々に灰色の石へと変わっていく。
「……な、なんだ……? 体が……動か、な……い……」
石化はゆっくりと、だが確実に広がっていった。
帝国兵の足が硬直し、膝が石に覆われ、胸元まで達した頃には、既に叫び声も上げられなくなっていた。
パリ……パリ……ッ。
乾いた音を立てながら、石の像となった兵士たちが、次々と砕けていく。
「ふふ……美しい石像になったわね。飾るには、少し血生臭いけど」
ベリアルは艶やかな笑みを浮かべながら、髪に絡まる小蛇たちに指を絡めた。
まるで芸術を楽しむかのように、破壊と混乱の中心でひとり優雅に佇んでいた。
その時だった。
轟音と共に、大地が震える。
まるで地の底から這い上がってくるかのように、バジリスクの巨大な影が戦場に現れた。
紫の瘴気を撒き散らしながら、バジリスクはゆっくりと魔王連合軍右翼へと進軍してくる。
その姿は禍々しく、そして圧倒的だった。
「さあ……父上様……お願い……!」
ゴーレムの肩に立つメデューサ・ベリアルが、青ざめた表情で両腕を天に掲げる。
「我が声よ!冥府に届け――いでよ!召喚魔法《岩王顕現》!!」
空間が裂ける音が響いた。
次元の間に開いた黒い亀裂から、轟々と風が吹き出し、やがてその向こうから現れたのは――
圧倒的な存在感を放つ岩の巨人。
筋骨隆々としたその身体は、灰色の巨岩で構成されており、全高は優にバジリスクをも超える。
背には崩れかけた古代神殿のような構造が突き出し、歩くたびに大地が唸る。
「おお……ベリアルか……」
巨人は、低くも優しげな声で語りかけてきた。
「また見ぬ間に、大人びおって……。美しくなったのぉ……」
「ふ、父上様……っ!」
一瞬、娘としての喜びがベリアルの瞳に灯る――その刹那。
バジリスクが猛然と跳躍し、巨人の右肩にその巨大な顎を突き立てたのだ!
「お父様ッ!!!」
ベリアルの叫びが戦場に響く。
だが、巨人はほんの少しだけ首をかしげ、石の眉をわずかに上げただけだった。
「うん……蚊かのう?」
その鈍感とも思える反応に、バジリスクが激しく頭を振り、何度も岩の肩に食らいつこうとする。
しかし――岩は砕けなかった。逆にその歯が剥がれて地に落ちていく。
「ふむ……娘との久々の再会を邪魔しおって……」
巨人は大きな手をバジリスクの首元へと伸ばす。
その指が太い蛇のごとき首を捉えると、ゆっくり、確実に、力を込めていった。
「我が岩石の肩は、飾りではないぞ」
ギリギリと音を立てながら、両腕で締め上げていく。
「ぐぎぃああああああああ!!!」
バジリスクの絶叫が響き渡るが、その抵抗も空しく――
ブチィッ!!!
首がもぎ取られた。
その巨体が一瞬で灰になり、虚空に霧散していく。
静寂。
その場にいたすべての者が、ただ唖然とその一部始終を見つめていた。
「さすが……さすがです、父上様!!」
ベリアルは瞳を輝かせ、誇らしげに叫んだ。
岩の巨人――ラピス・デモニスは、満足げにうなずいた後、どこか照れ臭そうに呟く。
「ふふふ……では次は、お前の結婚式にでも召喚してくれよ……」
その一言に、戦場の空気が一変する。
「え……っ……け、け、結婚……!?」
突如として真っ赤になったベリアルが、ゴーレムの上で固まり、
「ちょ、ちょっとそれは父上様ッ!戦場で言うことじゃないでしょッ!」と取り乱す。
――かくして、父娘の絆は岩よりも堅く、そしてどこか滑稽に、戦場に笑いと畏怖をもたらしたのであった。
帝国軍の後方、高台にそびえる黒曜の指揮塔。その上に立つは、四聖賢の一角――サマエル。
顔色一つ変えず、カマエルとクシエルが敵陣に突撃する様を見届けると、彼は冷酷に口を開いた。
右手を天に翳し、呪文を紡ぐ。
「来たれ、獣神界の深淵より。我が最終召喚獣……テューポーンよ!」
風が止まり、大地が震えた。次元の裂け目が戦場中央に開き、異臭とともにそれは現れた。
――神獣・テューポーン。
その巨体はまさに“移動する山”。
全身は不気味な紫色の鱗で覆われ、蛸のような触腕が何十本も地面を這うように動く。
頭部には巨大な目玉が一つ、ギョロリと動いており、その下にある口は、鋭い牙を備えた巨大な裂け目であった。
「……あ、あれは……テューポーン……」
魔王連合軍本陣の幕舎にいたヴァルフォレが、低く呻くように呟いた。
その異様な表情に、傍らのトスカーナ大公の軍師・太公望が眉をひそめる。
「ご存知で……?」
「ええ……あれはキマイラやバジリスクのような下級獣ではない……
獣神界の“王”の一柱……他種族の神々すら葬る力を持つ、伝説の大災厄です……」
普段の軽やかな口調は影を潜め、ヴァルフォレの額から冷や汗が一筋流れ落ちる。
――その間にも、テューポーンは中央戦線を突進してくる。
左翼ではリヴァイアが空を翔け、右翼ではベリアルが石化の魔眼を放つ。
だがその“間”を、まっすぐ貫いてくる漆黒の悪意。
「くっ、中央が……空いている!!」
ヴァルフォレが咄嗟に前へ進み出る。
「我が獣人軍、前へ!! あの怪物を数で止めよ!!」
「オオオオオオ!!」
雄叫びを上げ、猛者たちが突撃する。だが――
ドガァンッ!!
突き出された触腕一本が、十数人の獣人兵を軽々と吹き飛ばした。
獣人たちの重装甲が音を立てて砕け、まるで虫けらのように宙へ舞い、そして叩き落とされる。
「くっ……止まらんのか……!」
本陣はすでに射程圏内。
このままでは大将たるケルの身すら危うい。誰かが、止めねばならない――!
ヴァルフォレは一歩、前へ進み出る。
「……みなさん、下がってください」
その声音は冷静だったが、瞳には鋼の覚悟が宿っていた。
「――我が名は百獣の王、ヴァルフォレ!」
そして、彼は叫ぶ。
「狂戦士ベルセルク、解放――!!」
稲妻のような魔力が彼を包む。
筋肉が膨張し、体格が二回り大きくなっていく。
全身を黒鉄の鎧が覆い、獣人の本能が暴風のごとく解き放たれる。
その咆哮は、まさに百獣の雄叫びだった。
「グオオオオォォォ!!!!!!」
すべての視線が、その咆哮に注がれる。
ヴァルフォレは、突進してくる神獣テューポーンへと、ただ一人で立ち向かっていく。
巨大な戦斧を構え、疾風の如きスピードで戦場を駆け抜ける――
「来い、化け物――この命に代えても貴様を止める!!!」
その背に、魔王軍の命運がかかっていた――。
一方
――王都カルカソンヌ城
白銀の城壁が高くそびえるその外縁、南の広場に突如として影を落としたものがあった。
――一匹のワイバーン。
竜の咆哮を上げながら着地したその背から、一人影が地を踏む。
獣人の誇り高き大将――旧獣王国軍総帥、ツァラトゥストラであった。
彼女を取り囲むようにして、旧獣王国の獣人兵たちが列をなし、背後にはビゼ率いる影偵軍がすでに布陣を完了していた。
ツァラトゥストラは一歩、城門を望む前へ出る。
その眼光は、長き支配に苦しめられてきた故郷を見据えるものであった。
「――さあ、今こそ王都奪還の時である!」
彼女の声は地を揺るがすように響き渡る。
「カルカソンヌには帝国の近衛騎士団四千が守備に就いている。だが既に、魔王軍の影偵部隊が内部に潜入している。
我らが城門に迫れば――あの堅牢の門が、内側から開かれる手筈だ!!」
獣人たちの顔に緊張と興奮が入り混じる。
「この戦いは、かつて帝国によって蹂躙された我ら獣人族の、誇りを取り戻す戦いである!」
拳を天に突き上げたツァラトゥストラに続き、獣人兵たちが一斉に雄叫びを上げた。
「オオオオオオオオオオオ!!!!!!」
長らく虐げられた民の怒りと希望が、咆哮となって夜空を震わせる。
そして、ツァラトゥストラの号令が下された。
「進軍せよ!王都カルカソンヌを、獣の民の手に取り戻せ!!!」
無数の脚音が、帝都の石畳を叩き始めた。
そしてその城門の奥では、すでに影偵軍の暗躍が始まっていた――。
王都の城門を目指し、地を揺るがすような勢いで獣人軍が突進していた。戦の咆哮と蹄の音が混ざり合い、荒れ狂う嵐のごとく大地を駆け抜ける。空には鉛色の雲が垂れ込み、重苦しい空気が辺りを包んでいた。
カンカンカンカンカン――!!
鋭く高い鐘の音が王都の空を裂いた。緊急の合図。それはまるで死神の呼び声のように、城内の者たちの心臓を鷲掴みにする。
「敵襲だ!!!敵襲!!!皆、配置につけ!!」
城壁の上から、帝国兵たちの怒号が響き渡った。鋼の甲冑を身にまとい、剣を引き抜きながら、兵たちは慌てて持ち場へと駆けていく。緊迫した空気が一瞬にして全軍を飲み込んだ。
すると、低く不吉な音が城門から聞こえてくる。
ギィイィィ……ギィイイイ……
まるで長く閉ざされていた封印が解けるように、重く分厚い門が、ゆっくりと開き始めたのだった。
「誰だッ!?城門が……開いていくぞ!!城門兵は何をしている!!!」
見張りの兵が叫び、すぐさま警戒態勢が敷かれる。しかし、その戸惑いに付け込むように、獣人軍が牙を剥く。
その先頭に立っていたのは、一際大きな体躯と軍総帥の風格を漂わせた一人の獣人、純白色のたてがみをなびかせ、片手に巨大な戦槌を持つ女将――ツァラトゥストラ・レオグラードである。
「さあ!門が開くぞ!!全軍、突撃だ!!」
その一声で、獣人たちは雄叫びを上げながら雪崩れ込むように城門へと突入した。土埃が舞い上がり、地鳴りのような足音が地面を揺らす。
「まずい……!」
城壁の上から、帝国兵が蒼ざめた顔で呻いたその瞬間――
ドゴオォォォォン!!!!!
凄まじい衝撃音とともに、先頭の獣人兵たちが空高く吹き飛ばされた。まるで見えざる壁に跳ね返されたかのように、彼らの体は宙を舞い、地に叩きつけられる。
その煙の中から、重厚な鎧に身を包み、まばゆいほどの殺気と威厳をまとった男がゆっくりと現れる。鋭い眼光、冷たい怒りを湛えた表情。見る者すべてを圧倒する、その存在感。
「我が名は、帝国近衛騎士団長、サン・ジョルジュ!」
「この門は、何人たりとも通させぬ!!」
その一声は雷鳴の如く轟き、戦場に凍りついた静寂をもたらした。周囲の獣人兵たちは、恐れと警戒から距離を取りながら、剣を構えて彼を包囲する。
しかし――その静けさを破るように、ツァラトゥストラが一歩前に出た。堂々と、そして笑みを浮かべながら。
「ふふふ……貴様が人族最強と名高い、サン・ジョルジュか。ならば良い――旧獣王国軍総帥、ツァラトゥストラ・レオグラードが相手いたす!」
二人の巨星が対峙する。兵たちが息を呑み、風さえも戦慄く中で、運命の一騎打ちが始まろうとしていた――。




