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クリエイター

作者: えあーこんでぃしょなー

「前のほうが好きだった」

「最近つまんない」




俺は28歳独身男性。俺はいわゆるクリエイターだ。曲を作ってSNSにアップしている。歴は3年。そろそろ新人を卒業してもいい頃だろうか?始めたばかりの頃は視聴回数も少なく、フォローワー数もいいね数もいつも『3』だった。

そう、ご察しの通り、母さんと父さんと俺自身だ。

そこからスタートして今はフォローワー678万人。

いいねは1000万を超えることがほとんどだ。まったく、よくこんなに成長できたものだ。我ながら素晴らしいと思う。

コメント欄にあふれかえる曲の感想や考察。考えていたことに気づいてもらえるのは嬉しいものだ。俺は毎日曲についたコメントを読んでから寝る。それが習慣だ。

今日もいつものように先日アップしたばかりの曲のコメントを読んでいただけだった。それなのに今日目につくのは批判的なコメントばかり。俺の何が変わったというのだ。わからない。そもそも俺の思いなど曲に一切入っていないのだ。それっぽい言葉を並べてそれっぽいリズムを付けてそれっぽい楽器を鳴らす。それだけだ。変わりようがないじゃないか。

俺の思いなど晒すものか。まあいい、ただのアンチになんか取り合うものか。とりあえず今日はもう寝て、明日また曲を作ろう。




朝起きたのは5時だった。いつもより3時間ほど早い。やはりアンチのことが気になっているのだろうか?とりあえずコーヒーを淹れて体も心も落ち着ける。そして作曲に取りかかった。が、思うように進まない。俺は自分が思っていたよりも心が傷つけられていたのだ。俺は気晴らしに散歩に出かけることにした。

つい最近、春一番が吹き、気温が再び下がっているところである。少し肌寒い。街を歩いていると女子高校生らしい人たちがこっちに向かって歩いている。何やら話が盛り上がっているようだ。その女子高校生たちとすれ違うとき、俺は聞いてしまった。「ーー最近つまんないよね〜」「え、それなー」俺のことだろうか、、、周りを見回すとみんながみんな俺の話をしているように思う。俺はすぐさま家に帰った。

それから何も食べずにベッドに入り、疲れていたのか、すぐに眠ってしまった。次に起きたのは夜中の2時半ごろ。俺は再び最初にアンチを見つけた動画のコメント欄を開いてみた。相変わらずアンチばかりだ。。。俺は人が信じられなくなってしまった。




それからしばらくなにもできなかった。ご飯を食べて、寝て、。それだけで精一杯だった。そんなある日、ここ数日一度も開いていなかった充電しっぱなしのスマートフォンが光った。なにかの通知が来たのだろう。またアンチコメントだろうか?…見てみるか、そう、本当にたまたま見たのだ。

それはフォロワーの人から来ていたDMだった。

『推しは神、勝手な自己解釈、有名になってほしくない、変わってほしくない、推しは聖人に決まっている。そういう私たちが創作者を苦しめるのかもしれないね。』

………

それを見て俺の目からは涙が溢れ出した。

今の俺をそのまま信じて応援してくれているひともいるんだという当たり前のことに今更気がついた。

そうか、アンチなんか気にしなくていい。いまありのままの俺を推してくれる人を大切にしていればいい。

それは今までも頭の中で思っていたことではあるが、実際のフォロワーのDMを見てできる気がしてきた。

よし、アンチとはさよならだ!

俺はもう気にしない!

新曲作ろう!!その前にDM返信しないとな

ありがとう。

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