27 推理ゲーム
こたつ机の上にカードを並べた。ダイニングテーブルに見立てたリモコンを囲むように、同窓会参加者たち十名のカードがある。
彼らを監視するかのように、少し離れた場所に四枚のカードを置いた。
トランプのマークと数字、福本郁実が記入した記号、名前を書いた付箋を整理すると、次のようになった。
【♠A】水元悟 ○✓
【♠2】中塚尚樹 ×
【♣3】岡林祐一 ○
【♣4】八木芳和 ×
【♥5】服部紹子 ○
【♦6】町田真衣 ×
【♦7】東原由夏 ○
【♦8】福本郁実 F
【♦9】洲崎倫子 ○
【♣10】立山紘一 ○
【JOKER】砂場信子 ?
【♠K】砂場重三
【♠J】仲達夫
【♦Q】日雇いの婆さん
岸本氏の見立てでは、砂場信子は黙秘を通すか、全てを砂場重三の犯行にして、自らの関与を否定する可能性が高い。
黎明館事件は、既に立山紘一が起こした殺人事件として解決している。また、仲達夫と日雇いの婆さんの死体は白骨化していて、外傷が無ければ死因の特定は難しいとの事だ。
三島孝史の殺害事件にしても、三島と砂場信子の結びつきが薄く、当時の捜査で犯人を特定出来るような物証は見つかっていない。
「まぁ現実はこんなもんだ。わしらは推理ゲームを楽しんでみようじゃないか」
岸本氏は苦々しい表情で煙草を吹かした。
改めて三人で討議した結果、次のような筋書きで話はまとまった。
砂場信子は息子の秀樹を溺愛していた。
クラスメートたちのイジメが原因で、徐々に息子が不登校になり、引き籠るようになっていった。
母親は何もできず暴力に怯え、父親は手に負えない息子の扱いに困っていた。
そして両親のクラスメートたちに対する憎悪は、日を追うごとに増していく。
ある日息子と父親は激しい喧嘩をして、その結果、息子が階段から転落し、命を落とす。
故意か事故か判断はつかないが、両親はそれもこれもクラスメートのイジメが原因だと結論づけた。
砂場夫妻は、息子の命と家族の絆を引き裂いたクラスメートたちに報復し、裏切り者の立山紘一を犯人に仕立て上げる計画を立て、実行に移していったのだ。




