表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黎明館殺人事件  作者: シッポキャット


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/45

17 封印した話

 荒川は煙草を(くゆ)らせ缶コーヒーを口に含んだあと、当時を思い出すように語った。

「これは本格的におかしいと思って、砂場の母親が買い物に出掛ける機会を見計(みはか)らって待ち伏せした」

「信じられない。コワ過ぎる!」

東風が顔を(しか)めて言った。

「まぁまぁ、先を聞こうよ」

愛想笑(あいそわら)いをして荒川を(うなが)した。


「砂場の父親は、少しクセのある人だったからな。私も事を荒立(あらだ)てたくは無かった。嘘をついた理由と、あのノートパソコンのメッセージの件が一体どういう事なのかを知りたかったんだ」

荒川は空気清浄機に向かって煙を吐いた。


「私は交通事故の情報と救急車の目撃情報の事実を母親に突きつけ、砂場の死因の嘘とメッセージの疑問を問い(ただ)した」

ゴクリと岸本氏の(のど)が鳴った。

「砂場の母親は、主人の言う通りにしただけだと言った。私は何も知らないと。ただ、息子が階段から落ちた時、主人と二階で言い争っていた。ひょっとしたら事故ではなく、息子を突き落としたのかも知れないとも言っていた」


「先生から見て、砂場の親子関係はどんな感じだったんですか?」

質問すると、荒川は目を(つむ)って上を向き、必死に思い出すような感じで言った。

「母親は()れ物に触るような感じで息子に接していた。正直(おび)えていたな。父親は息子の存在を()(あま)していた。これは余談だが、私とクラスメートに相当(うら)みを持っていた。息子の性格を(ゆが)めた原因がクラスメートのイジメと放置した担任の所為(せい)だと」

荒川は煙草を揉み消して、煙混(けむりま)じりのため息をついた。


「先生の印象が正しいとすると、通夜のあとに見た手紙とノートパソコンのメッセージは、復讐のために砂場の父親が書いた創作かも知れないって事?」

東風が両手でこめかみを押さえて(つぶや)いた。

「そうとも考えられるが確証はない。だが、その後に開かれた同窓会を考えると、息子の死を利用して報復の舞台を設定した可能性が高い」

荒川は大きく息を吐いて続けた。


「砂場の母親から()いた話は、その場限りで全て封印(ふういん)する事にした。私にも砂場の家族にもデメリットはあっても、メリットは一つも無いからな。そして同窓会が開かれ、()()()()が起きた」

荒川の顔が思い出したように再び蒼白(そうはく)になっていく。

「あの別荘で、立山紘一(たてやまこういち)に何があったのかわからないが、(ひど)い状況だった。私は惨殺(ざんさつ)された教え子たちの身元確認をさせられた。思い出したくもないのが正直なところだ」

荒川は冷静に語っていた事が嘘のように、両手で顔を覆い隠し、只々(ただただ)震えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ