表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黎明館殺人事件  作者: シッポキャット


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/45

8 宝探し

 岸本氏のご相伴(しょうばん)にあずかり、朝から愛車のアルトラパンで、立山紘一(たてやまこういち)の住所に向かっていた。

 岸本氏の調べによると、立山の死亡後、家は取り壊され駐車場になっているとの事。名義は奥さんに相続されていた。

 拘留中に一度だけ面会したと手紙に記されてあったが、自宅の処遇(しょぐう)も打ち合わせていたのだろうか。


「地面をアスファルトで舗装されていたら絶望的じゃないですか?」

ハンドルを握る岸本氏に問いかけると、窓の外に煙を吐いた後、赤信号になって停車した。

「逆に探しやすいんじゃないのか? アスファルト以外の所しか掘れないからな」

岸本氏はニヤリと笑った。


 スマートフォンのナビを頼りに登録した住所に向かうと、こぢんまりとしたコインパーキングに到着した。最寄りの駅からは、かなり離れていて利便性は良くない。それを証明するかのように、六台分の駐車スペースには一台も駐車されていなかった。

 駐車場の周りは道を挟んだ住宅地だったが、人通りは少なく、作業をするには好都合だった。


「見たところ、見事にアスファルトとコンクリートしか無いな」

岸本氏は周囲に目をやり、苦笑いを浮かべた。

「車止めの機械の設置とか、強度の面で仕方がないんでしょうね」

 コンクリートとアスファルトの境目などから多少の雑草が生えていたが、もちろん掘れるような場所は見当たらなかった。


「奥さんは姿を消したとはいえ、旦那(だんな)の意向を無下(むげ)にするとは思えないんだがなぁ」

岸本氏は(あご)に手をやり眉間に(しわ)を寄せた。

「ま、やるだけの事はやってみましょう。ここに(かつ)て立山夫婦の家があった訳ですから、何か記念碑的な場所があるかも知れませんよ」


 車を駐車場に止め、敷地内の側溝や車止め周辺、料金精算機周りを一通り()いつくばるようにして確認していったが、隠し扉や掘り起こせそうな場所は見つからなかった。


八方塞(はっぽうふさ)がりだな」

汗だくになった顔をタオルで拭きながら、岸本氏は言った。

「コインパーキングは宝探しに向いてませんね。宝を隠す前に隠し場所を作る必要がある。そうすると、すぐにバレますよね」

ごく当たり前の事を言うと、岸本氏は考え込んだ。

「この場所に埋めるのを諦めて、別の場所に隠した可能性もあるという事か。だとすれば、そのヒントがこの場所のどこかに隠されているはずだが」


 ふと(ひらめ)いて、岸本氏に言った。

「岸本さん、車を何番に止めましたか?」

「3番だが? 次の追加料金まで、まだ十分ほど余裕があるぞ」

 3番のボタンを押し、四百円と料金が表示された。硬貨を入れると、車止めのバーが下がり、続いて領収証のランプが光った。

「来場者に確実にヒントを伝える方法がありますよ」

領収証のボタンを押すと、利用証明書と記されたレシートがゆっくりと出てきた。


――――――――――――

 ■■タテヤマ*パーキング■■

  【利用証明書】

 ----------

 入庫日時 R5年5月20日9時07分

 精算日時 R5年5月20日9時53分

 駐車料金 ¥400

 ----------

 またのご利用お待ちしております。

 *落とし物、忘れ物、お探しの物は

  料金精算機上の拾得物入れに保管

  してあります。

  心当たりの方はお探しください。

――――――――――――


 精算機の上を見ると、スーパーの買い物カゴが無造作に置いてあり、【忘れ物】と張り紙が張られていた。


「岸本さん、中に何か有りそうですよ」

はやる気持ちを抑えて、買い物カゴを下ろした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 面白いです!(〃∇〃)! ドキドキしながら読み進めています……(^o^;/ 応援!♡♡(*ノ´O`*)ノ☆☆☆☆☆!☆!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ