表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

DESIRE

作者: 綾瀬たかし


蝶になる夢を、私は見た。




青白く燦めく月に照らされた

私の小さな身体はともに光り輝き

深く静かな夜にはばたいた。

いくつもの街の空を舞い

地上に散りばめられたネオンの星空を眺め

やがて私は

夜空を貫く高層ビルのてっぺんで羽根を休めた。


私の瞳に映る

眠ることを忘れた街の姿は

それはそれは酷く歪んでいるように見えた。

自分がこんなにも醜い世界に存在する理由

それさえも無意味で

私は泪を浮かべながら

目が覚めても自分は蝶でありますように、と祈った。

刹那の生命でも美しく燃やし尽くして果てる

有意義な存在でありたいと。


祈りは虚しく

自分の身体の一部である

一片の光り輝く羽根は剥がれ

夜の空に螺旋を描きながら堕ちていった。

粉々になった羽根は

もはや私の一部ではなく

鱗粉のひと破片さえも所有することを許してはくれなかった。

そして飛べなくなった私はひとり

その場所に残された。


目が覚めると

私は私であって

決して蝶などではなかった。




蝶になる夢を、私は見た。

明日はいったいどんな願望ユメを見るのだろう……




読んで頂き、ありがとうございました。

あなたの心に出逢えたことを感謝します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ