表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢、母国を救う  作者: アンフィトリテ
191/322

第190話 悪役令嬢、ゴーテ辺境伯領城の執務室に向かいつつ、多嶋さんの姿勢に怒りを覚える

(悪役令嬢視点)

悪役令嬢は、軍議のため、ゴーテ辺境伯領城の執務室に向かいつつ、多嶋さんの姿勢に怒りを覚えてしまいます。


[『いいね』いただきました皆様方に深く感謝申し上げます]

 さて、ディキル君には、神の目を託した訳なのだけれど、まさかねー、本編の聖国からのモブ留学生がメリユ・スピンオフでこんな活躍をすることになろうとは!


 ……いや、本編こそがメルー・スピンオフで、もしこっちこそが本編なのだとしたら、本編にディキル君を『顔出し』させていたのも一つの仕込みと言えるんじゃないかしらん?


 全てはわたしがメリユ・スピンオフ改め(本)本編をプレイするための仕込みだったんじゃないかって思うと、そんな気がしてきてしまう。

 でも、メルー・スピンオフがそのために作られて、大勢の乙女ゲー・ゲーマーに楽しまれたってことを考えると、何とも言えない気持ちになるわよね?

 わたしだって、そのメルー・スピンオフのテスターをしていたのよ?

 事前知識なしで、選択肢に唸ってテスターを頑張っていたのは何だったのかって思ってしまうわ。


 まあ、でも、こっちこそが本命でしょ?


 わたししかプレイできず、セーブもできず、時間を巻き戻すこともできない(本)本編。

 ううん、硬派な中世ヨーロッパ風・異世界=(もう一つの)リアル。

 このリアルのピンチを救うために、わたしはメリユ=プレイヤーとして選ばれたってことなのよね?


「けど、多嶋さんの意図がなあ……」


 ヒントは出してくれているのは確か。

 でも、『なるようになれ』って感じもするの。

 わたしという管理者権限持ちプレイヤーを送り込んだから、それで様子見ってこと?

 多嶋さん自身は、ヒントを出す以上の干渉はするつもりないようよね?

 もし……もしわたしが失敗したら、それまで?


 この異世界・リアルはそれまでだったって風に思っているのかしらん?


「もしそうなら絶対に許すまじ!」


 わたしはもうメグウィン殿下、ハードリーちゃんたちも生きてここにいる『人』たちなんだって確信してる。

 そんな大事な『人』たちが命を落とすのも、『まあ仕方がないか』程度に考えているんだとしたら、このわたしが絶対に許さん。


 ミスラク王国も、セラム聖国もちゃんと救ってみせるんだからね!


 わたしはそう思いを強くしながら、ゴーテ辺境伯領城の執務室へと向かっているんだ。

 どうも、先にカーレ殿下、ゴーテ辺境伯様たちは先に軍議を始められているとのこと。


 いやー、乙女ゲーで戦争イベがあるのもあるっちゃあるけれど、本当に開戦直前で、軍議に参加するヒロインとか、マジ何なのよって感じするよね。

 普通に学園ものであって欲しかったんだが、まあ、学園ものなら管理者権限も要らないか?


「メリユ様?」


 おっと、いけないいけない、メグウィン殿下に心配をかけちゃいけないわよね。

 ミュート解除っと!


「いえ、何でもありませんわ」


「なら、良いのですが」


 くぅ、どうせなら、自分の腕を直接メグウィン殿下の腕でギュッとされてみたいものだわ。

 メリユアバターが羨まし過ぎる!


「猊下、殿下っ、少々お待ちくださいませ」


 そんなことを考えていると、その執務室の前に到着したようで、セメラさんが扉を護っている衛兵さんに声をかけにいっている。

 まあ、隣国の聖女様に王女殿下までいるんだから、衛兵さんがビシッとなるのも当然よねー。


 わたしもその中にカウントされているのかは分からんが。


 ……いや、こっちのメンツだと、メグウィン殿下とハードリーちゃんに挟まれているのがデフォになりつつあるけれど、他の『人』たちからしたら、今のわたしってどう見えているんだろう?

 多分、(王女殿下である)メグウィン殿下と(何度もお泊りに来ている隣領の)ハードリーちゃんはお顔が知られていると思うけれど、メルーちゃんに変身中のわたしって謎存在じゃないの?


 マジなんだコイツ、みたいに思われていそう。


 ……うん、ちらっ、ちらっとそういう視線、確かに向けられているわ。

 ははは……。


 わたしは乾いた笑い声を(ミュートに戻してから)漏らしながら、執務室に入ることになったのだった。






「「失礼いたします」」


「おはようございます、ゴーテ辺境伯様、お兄様」


「おはようございます、カーレ第一王子殿下、ゴーテ辺境伯閣下」


 メグウィン殿下、ハードリーちゃん、銀髪聖女サラマちゃん、ルーファちゃん、ディキル君とわたしというメンツ。

 あとは護衛の皆。


 いやー、女性陣強いな、これ……しかも皆若い!


 軍議するんだよね、これから。

 ……うん、これは乙女ゲーだわ、マジで。

 リアルだけれどね!


「これはこれは、猊下に殿下、ようこそいらっしゃいました………」


「……まさか、そちらが、メ、メリユ嬢なのか?」


 おおう、どういう反応これ?

 って、わたしが変身しているせいか!

 まあ、メグウィン殿下とハードリーちゃんに腕組まれている時点で、メリユ以外あり得ないよねー……で、姿がメルーちゃんと!

 そりゃ驚くわ!


「おはようございます、カーレ様、ゴーテ辺境伯様。

 この通り、メルー様のお姿をお借りしておりますものの、わたしがメリユでございます」


「は、はあ……メグウィンに変身しているときも驚かされたが、本当に別人に変身できるのだな」


 カーレ殿下、やけにショック受けているっぽいんだが?

 まあ、婚約者候補の姿がころころ変わったりしたら、んー、まあ困惑して当然かな?

 メルーちゃんとメリユじゃ、かわいさの質が大分違うしね。


「そ、それが神より下賜されし、もうお一人の聖女猊下のお姿ですか!

 いやはや、それでお力が戻られたということでしたら、何よりでございますが」


 マルカちゃんのお父さんらしく、ウェーブがかった癖毛を掻き掻きされながら、ゴーテ辺境伯様も混乱してるっぽい。


「ありがとう存じます」


 取り合えず、お礼を言っておく。


「それで、メグウィン、ハードリー嬢、その、メリユ嬢のお力は完全回復したということで間違いないのだな」


 まあ、軍議前(実質始まっているのかもしれんけど)に確かめておきたいことではあるよね。

 メリユに聖力なかったら、タダの小娘だし!


「「はい」」


「聖なるお力をメルー様より譲渡され、不足分を補われましたので、今のメリユ様は十全の状態でいらっしゃるかと」


「そうか」


「それは何よりでございますな」


 ホッとされたご様子のお二人に、こっちまでホッとしちゃうよ。

 良かった良かった。

 ま、イケメンがハラハラしているところを見ても、全然うれしくないしね?


「軍議の席はそちらに用意している、皆座ってくれ」


 にしても、カーレ殿下って、やっぱ偉そうよね?

 まあ、偉いか、偉いね。

 第一王子殿下で、もうすぐ王太子になる直前のタイミングだっけ。

 うん、(旧)本編=メルー・スピンオフでも、こんな感じだったわ。


「では、失礼いたします」


 はい、という感じで、軍議が始まることになったのだったー……はあ。

『いいね』、ご投票で応援いただいております皆様方に深く感謝申し上げます。


ファウレーナさん=悪役令嬢メリユの考えている通り、多嶋さんは必ずしもあちらの世界が救われなくても良いと考えているのかもしれません。

もちろん、ファウレーナさんにとっては、許せないことでありましょうね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ