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悪役令嬢、母国を救う  作者: アンフィトリテ
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第164話 悪役令嬢、晩餐会が終わるのを待ちながら、とんでもないものを見付けてしまう

(悪役令嬢視点)

悪役令嬢は、貴賓室で晩餐会が終わるのを待ちながら、とんでもないものを見付けてしまいます。


[ご評価、『いいね』いただきました皆様方に心より深謝申し上げます]

 ヤバイ、寝落ちしそう。

 いや、まあ……メグウィン殿下たちには休んでいろと言われているし、晩餐会が終われば、今日やることも終わるんだけれど、うーん、そろそろ待つのが辛いな。

 もういっそのこと、ワールドタイムインスタンスを停止して、ゲームポーズ状態にして寝ちゃっても良いんだけれどさ……でも、どうせならきりが良いところで止めたいじゃない?


 わたしはHMDを外して置時計の方を見る。

 時刻は午前二時半。


 あと、一、二時間で『今日』を終えて、寝られるかな?

 テスターとして完徹でゲームし続けることはあるけれど、これだけぶっ通しでやっているとねぇ。

 しかも、リアルタイムでゲーム内キャラ……ううん、向こうにいる皆と会話をしているんだから、気も抜けないし、精神的疲労も大きいんだと思う。


「ふわぁ」


 うーん、欠伸が止まんない。

 部屋にいるのはハナンさんだけで、前のことがあったせいで、すごーく監視されちゃってるのよね?

 いや、ハナンさんの視線を感じていても、眠いものは眠いわ。

 普段ならこれだけ見られている感あると、もう少し目を覚めるはずなんだけれど。


 あー、なんか目を覚めるようなことないかな?


 晩餐会もすぐには終わらないだろうし。

 眠気覚ましにHPが目立って減らない範囲で、なんか刺激的なことをして目を覚ましたい。


 いやいや、それはダメだろ?


 メグウィン殿下やハードリーちゃんたちに心配かけちゃう。

 あー、もう手持ち無沙汰が酷い。

 普通のゲームならこういうところはスキップが入るはずなのに、わたしが『これはゲームなんかじゃない』って自覚すればするほど、オートスキップが働かなくなってきているような気がする。


「あ、そういえば、クラウドのファイル、もう一度確認しておくか?」


 わたしは、HMDを少しずらしたまま、ノートPCの方の管理者ツールでクラウドに上がっているVRMxファイルを確認することにする。

 メリユの複数バージョンファイルに、メグウィン殿下やミューラのVRMxファイル、上がっているんだけれど、まだ何か見落としているものがあるかもしれない。


 頭文字“m”ねぇ。


 この共通性、何か意味があるのかしらん?

 正直、よく分からないんだけれど、多嶋さん、一々することに意味を持たせてくるようなことするからなあ。

 わたしは今にも瞼が落ちてきそうになるのを感じながら、クラウドのファイル群を眺めることにする。


 ………?


 いや、なんか、メグウィン殿下のVRMxファイル、増えてるや?

 え、待って、なんで、メグウィン殿下のファイル増えてるの?

 また、メグウィン殿下のアクター用VRMxファイルをメリユに適用することが出てくるってこと?


 ん?


 ……は?


「メ、メメメ、メルー!?」


 わたしは思わず声を上げてしまっていた。

 名前変更も可能なヒロインちゃんのデフォルト名。

 それが、メグウィン殿下のファイル群の下に一つだけあった。


 “Meru_ver1.vrmx”


 うっわ、今のでマジ目が覚めた気がする!

 いや、こんなの、目が覚めるに決まってますやん!!


 メルー・ヴァイクグラフォ・ダーナン子爵令嬢。


 『メルー』部分だけユーザー変更可だったんで、テスターの皆も変更している子が多かったはず。

 なんで、ヒロインちゃんって皆呼んでいたんだけれど、わたしはデフォルトの『メルー』でやり通していたから、こっちの方が馴染み深いんだ。


 え、なんでメルーのデータあんの?


「マジ、意味分からないんだが……」


 “ver1”ってことは、本編用ではなく、メリユスピンオフ用……ううん、今のこの時代のメルーよね?

 タイムスタンプは……う、さっき退社前の多嶋さんと話していたときの時間じゃん!

 メグウィン殿下のファイル群もそう……ついさっき、多嶋さんがクラウドにアップしたんだ。


 いや、これ絶対何かしら意味あるっしょ!?


 メルーに近々何か起きる?

 もしくは近くにメルーがいる?

 何だろ、マジ分かんない。

 うーん、メルーがこの世界にいるのは間違いないんだろうけれど、アクターID分かんないと、場所特定もできないんだよね?


 もし分かっていたら、絶対アクターID、保存しておくし。

 メルーの動きだって監視もできるんだけれど……いや、そもそもさ、メルー、メリユスピンオフに関わってくんの?


「はあ」


 そもそも、十一歳のメルーって、まだダーナン子爵の娘(庶子)って認められていなくて、母親の商家で育てられていたはずよね?


 いや、商家……商家か。


 メルーがゴーテ辺境伯領に関わっていたって情報はなかったはずだけれど、商家ならゴーテ辺境伯領との取引があってもおかしくないし、本来なら、キャンベーク街道沿いは安全なはずだったから、何かしらの理由で連れて来られることもあるかもしれない?


 うーん、実際どうなんだろう?


「あー、ちょっと目ぇ覚めたけど、頭回んないよ!」


 いや、でも、メルーのアクター用VRMxファイル、適用してみたいな。

 今までメリユスピンオフの方じゃ、悪役令嬢メリユのアクターデータでやってきた訳だけれど、やっぱ、ヒロインちゃんで本編やってきた人間としては、気にならない訳がないよね?


 どうしよ?


 ワールドタイムインスタンス、一旦止めて、適用してみるか?

 まだ、子爵令嬢になる前のメルー。

 どんな感じだったのか、見てみたい!


 それに、まだこの時間帯なら、メルーのアクターデータで通りを歩いても、ぎりセーフなんじゃないかな?


 ゴーテ辺境伯領の領都イバンツを地上でじっくり見てまわりたいものじゃない?


「うん、せっかくだから、メルーになって散歩して時間潰すか」


 最悪、わたし一人ローカルタイムインスタンスだけ動かして、HP回復させれば、HP残量も誤魔化せるだろうし。

 うん、リアルのわたしが寝ている間にワールドタイムインスタンスだけ止めて、ローカルタイムインスタンスを動かし続ければ、回復しちゃうよね?


「よし!」


 わたしはまたメリユの身代わり(ガワ)をベッドに用意して、抜け出すことに決めたのだった。

ご評価、『いいね』、ご投票いただきました皆様、心よりの深謝を申し上げます!

お仕事の都合でやや更新が遅れており申し訳ございません、、、


はい、ついにヒロインちゃん=メルーが登場しそうな気配が!?

どうなってしまうのでしょうか?

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