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ルールはしっかりと聞きましょう

 「で、なんか違和感とかあるかしら」


 不満を吐き出してすっきりしたのか、アーフェがこちらの状態を確認する。

 手をグーパーしたり、足をバタバタさせたりしてみるが、思い通りに動くし

 特に感想は無い。

 俺の体だなって感じ。元の体だとこんなに動けんけど。

 冷たい鋼と温かい身体に差異を感じないのは驚くべきか慄くべきか。


 「そう」

 

 俺の答えにそれだけ彼女が答えると、不意に俺を持ち上げていたアームが動いて、俺はそのまま放り投げられた。

 は?いきなり何すんだこいつ。

 突然投げ出されたびっくりしつつ、無意識に体をひねり、体勢を整え、着地する。

 たたらを踏んでしまったものの、なんとか転ばずに済んだ。

 さすが幹部ボディ。運動神経がよろしい。


 「バランサーも問題なし、と」 


 テストなら前もって言って欲しいんだが。

 もしダメだったらどうすんだ。こんな重いもん背負って転んだら起き上がれんぞ。


 「言ったら反射的な動きにならないでしょう。それに、万が一ダメでもバーニア吹かすなりマニピュレーター使うなりすれば問題ないから」


 さいですか。

 確かに足、腕、マニピュレーター、バーニアと移動手段が豊富ですね。


 「戦ったらどこが壊れるか分からないから、手段は多いに越したことはないわ。特にアンタはね」


 へぇ、結構考えてくれてるんだな。

 まぁ作中の性格を考えればそう違和感のあることでもないか。悪の組織の科学者ポジションの割には優しくて、ツンデレ気質なんだよなアーフェは。


 「……なにニヤニヤしてるのよ。いいから他の部位も詳しくテストするわよ」


 はーい。


 ……………………


 ………………


 …………


 …… 


 で、長々とした検査が終わり、特に問題は無し。

 さすがだぜ。俺が痛みで転げまわっているわずか1時間でこの完璧な仕事具合、職人だね、お主。


 「あたりまえでしょ。だってアタシはアーフェ・シーツヴァイなのよ」


 ひゅーひゅー。さすがだぜ。はやし立てるようにおだててみる。


 「ンンッ、とりあえず形になって良かったわ。なんか問題出たらすぐに言うのよ。いいわね!」


 照れてる。かわいい。

 やっぱ美人だし似合うね、笑顔。誘拐犯だけど。

 それはさておき、これからどうすればいいのさ。

 仲間と顔合わせとか?


 「不正解。ルールとか再確認をしてからゲームスタート。あんた最初のプレイヤーね」


 早すぎぃ!俺生まれて1日も経ってないんだが。しかも最初のプレイヤーかよ。

 幼児虐待ですか?泣いちゃうぞ!

 見てくれは可愛いからきっと良心を痛めるぞ!いいのか?


 「意識は大人、身体は戦闘用、相手は世界渡航技術も無い未開人。どうせテキダゾー見てるだけなんだし問題無いでしょ」


 ぴえん。

 

 「ゲームの流れはいたってシンプル」

 

 ・テキダゾーを使って人に恐怖を与える。

 ・それによってできたBE(バッドエモーション)エナジーをテキダゾーを介して集める。

 ・テキダゾーが倒されたら帰ってくる。


 うんうん、良く知ってる。ヒーローもののテンプレートな流れだな。オタクならツッコまないお約束だ。


 「ルールもシンプル」


 ・プレイヤーは全力を出してはいけない。そのためリミッターがかけられる。

 ・基本的にテキダゾーが活動している間、プレイヤーは能動的な破壊活動などは禁止。攻撃を受けた場合は相応の反撃は可とする。

 ・敵勢力がある場合、その拠点を意図的に攻撃してはならない。

 ・テキダゾーが集めたエナジーの量によって上記ルールを緩和していく。

 ・プレイ中他のプレイヤーが干渉してはならない。

 ・敵に英雄少女が現れた場合、変身前の攻撃は禁止。また正体を知って居住地の特定、攻撃、干渉は厳禁。周辺人物に対する意図的な干渉も禁ずる。


 こっちは作中で言及があったな、アニメ的なご都合主義を緩和するためのルールだ。変身前に攻撃しないのかーとか、変身者が分かってるんだから身内攫えばとかのツッコミを無くすためのものだな。

 もともとガウディウムはプレイヤーが命がけの遊びをする組織だからな。戦って勝てばいいという話ではない。まぁ遊ばれる側としてはたまったもんじゃないが……


 「まぁこんなところかしら。集めたエナジーはルール緩和に使わず他に便宜を図ることにも使えるけど闘いが終わった後の話ね。理解したかしら?」


 おk把握。

 全部既知の話だったわ。

 問題は俺が悪事にためらわないかだけだな。


 「大丈夫よ、だってそれに適した魂を選んでいるもの」


 悲報、俺氏敵キャラにサイコパスと診断される。

 まじか、知らんかったわ。ニートだったからな。社会不適合者なのは知っていたが、まさか人間失格だとは思わなんだ。

 しくしく


 「はいはい、下手な泣きまねはいらないからさっさと行ってきなさい」


 ぴえん。

 アーフェが俺の前に魔法陣を作り上げた。ここを通ることでゲームの開催地に行くことができるのだ。

 いわゆるどこにでもいけるドア。

 こうして俺は敵キャラとしての1歩を踏み出すことになった。

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