本日2度目
この世界について考えていると、アーフェがボックスを抱えて戻ってきた。
その中にジョイントが入っているのだろうか?
「えぇ、神経接続用ジョイントゲルの素材が入っているわ。ナノマシンに受け口の情報とアンタの血と入れてくっつけたい箇所に塗ると有機コネクタができる優れものよ。動く義肢には必須ね」
机の上にボックスを置いて、中からボトルやなんやを取り出しながらアーフェは答えてくれる。
SFいいね。神経接続、ロボットアニメとかで見るやつだ。機械を意のままに使えるようになる便利システム。ちょっとだけ怖いけど。
世界を渡る技術を持っているだけあって、ほんとに科学技術もすごいんだなぁ。
……もしかして俺の腕にドリルとか銃つけたりする?
「つけないわよ。モチーフとコンセプトからずれすぎるもの。……なんだか分かる?当てたら心臓の自壊装置を外してあげてもいいわ」
彼女はこちらには一瞥もくれず黒い液体に電極を入れて、SFによくある空間投影ディスプレイに何かを入力しつつも端的の答え、俺に問を投げかけた。
マジっすか!?めっちゃ考えるわ。
モチーフにコンセプトか、やっぱりあるよね。ガウディウム所属のプレイヤーだって肉体改造時に、ライオンとか戦車とかくじ引きでモチーフ決めてたらしいし。
パッと見た目でわかるものだけじゃなくて、裏モチーフとか、そういう設定資料集に乗ってる情報ってワクワクするよね。デザイナーってスゲーなぁてなるもん。憧れるわぁ。
ピーシーズはその辺わかんなかったな。何というか、ぱっと見でこれってものが見えなかった。俺も同じだ。
というか今の状態だと、ただの可愛い女の子にしか見えない。
うーん、天使か人形でどうだ。
「はずれ、正解は冠婚葬祭の婚と電光石火の光」
かんこんそうさいって……冠婚葬祭か。それと光。
なるほどな。ってなるかぁ!
神話とか、生物とか無機物モチーフじゃあないんかい!
わかるかぁ!
正解させる気ないだろ!!
「当たり前でしょ。なんで自分でつけたセーフティを自分で外さなきゃいけないのよ」
さすが敵キャラ。ずるい。
期待だけさせやがってこの卑怯者!ぺったんこ!
「……ゲルのもとができたからつけてあげる」
お、もう出来たの、早いな、さすがナンバー2のコピー。天才っぷりは同じなのな。
そうして俺の腕や足にぬるいゼリーがくっつけられる。
じんわりとした温かさが気持ちいいと思ったのは束の間、徐々にチクチクとし始める。
嫌な予感がする。
もしかして、これって痛い?
「神経につながるのだから当然よ。でも安心しなさい、1時間で終わるわ」
なんで前もって説明してくれないんですかねぇ?
あと麻酔とかありません?結構痛くなってきたのですが。
「痛みのピークはだいたい20分後、まだ序の口ね。あと、麻酔はあるけど人の胸を揶揄したから無しよ。アンタはそこで悶えてなさい」
魔法でマットをだし、そこに俺を寝転がすとアーフェは机に戻っていく。嘘だろ?ほんとに麻酔無し?
ギャー!
寝起きほどじゃないけど滅茶苦茶痛い!!!
この後めっちゃ転げまわった。