The Answer is
「あなたはどうしてこんなことするの!?」
自分を客観視して勝手に自己弁護していると、バスティラノと追いかけっこをしているルルディからいきなり質問を投げかけられた。
う~ん、どうもまだしっかり戦おうとは思ってないらしいな。
カードを引けた以上、命を賭けて戦う覚悟はできているが、いきなりこぶしをふるうのは間違っている、言葉で止まるならそれがベストと考えているのだ。
1話でのこの問いかけの時に心の声でそんなこと言ってたな。
俺が相手でも同じ問いかけをしてくれるのか、うれしい。さすがプレイアースのルルディ、敵にも優しい。
でもどうして、どうしてか~。
う~ん。
返答しない、というのもありだ。ミステリアスな敵幹部はピーシーズにいないし。
いやいや、やっぱ好きなキャラから質問されているのに返さないとか無理だわ。
真面目に考えよう。
まぁ、考えるまでもなくシンプルに死にたくないからだけど、そんなこと言えないっての。なんだかんだ躊躇なくテキダゾー作ってけしかけてるからね、俺。
この躊躇いの無さが悪事に躊躇いの魂を選んだと言ったアーフェの言葉の証明になっているのが何とまぁ……
だから猶更言えない。相手はこの世界の主人公、正義のヒーローやぞ。死にたくないですなんて馬鹿正直に言ったら、どうにかしてこっちを助けようとするに決まっている。
それは俺の望むところではない。だって主人公の手を煩わせられるほど立派な人間じゃないからさ。
とりあえず俺の事はどうでもいいので、ルルディにはぜひピーシーズ撃破を目指していただきたい。
そうだ、勝利とでも答えてしまおうか?そうすれば嘘じゃないし、ルルディに勝ちにこだわる敵と認識される。実際は貴女の勝利を願っていますなんだけど。いい感じに勘違いしてもらえそう。
うん、これはいいんじゃないかと結論を出そうとした時、不意にこの身体で目覚める前に見た夢が脳裏をかすめる。
赤い空、燃える町、血だまりに座り込み微動だにしない天花の姿。
ゾッとしない話だ。
劇場版に繋げるためにバッドエンドにするって聞いてるが、もし夢みたいな結末を迎えるんだとしたら笑えない。それはなしだ。
あ、そうだ。
もし、この世界に俺というイレギュラーが来た意味があるとするなら。
もし、この世界で俺が悪の組織の幹部として力を得た理由があるなら。
それはきっと……
見たいモノがあるから。
「見たい……物?」
これが答えだ。
ルルディが俺をじっと見ている。表情は真っ黒なフェイスガードがあるため分からないだろう。だからこそ本心からの言葉で宣言しよう。
この高揚感を。
俺の今生の命がけの目標を。
伝わる必要は別にない、だってこれは俺が勝手に描いた夢だ。俺が中ボスである以上見届ける事の出来ない夢だ。
だから、テキダゾーは止められない。時間いっぱい暴れさせる。
「……」
プレイアースに少しでも力をつけてもらおう。
そのための敵を用意できる立場に俺はいる。君達が常に苦戦するような、嫌らしい障害を用意しよう。きっと挫けそうになるだろう。辞めたくなるだろう。
でも、俺は知っている。英雄少女は負ける事はあっても折れる事はない。何度だって立ち上がって、最後には勝利することを。
だから戦え、この世界の英雄少女。でないとバッドエンドを迎える。
「……わかったよ」
ルルディがぐっとこぶしを握る。その眼にはしっかりとした闘志が宿っている。話し合いではどうにもならないと伝わったのだろう。空気を読む力はどの世界の日本でも共通だってはっきりわかんだね。
そうだ、戦えレイルルディ。この世界は思いと力があれば救われる世界だ。