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妖精との出会い

 英雄少女シリーズにおける妖精とは、ファンタジーな異世界から、ガウディウムのターゲットにされた世界の支援をするために派遣されてくるマスコットみたいな2頭身の生物の事をさす。彼等の役目は、英雄少女に適した人物に力を与え、その世界の人物の意思で平和を守ってもらうことである。英雄少女システムを他所の世界に貸し出すための配達員という認識でいいだろう。

 彼らは異世界では普通の人間だが、世界を超えるため意識だけをマスコットに移してやってくる。

 え、俺たちが生身で世界を超えているのにどうして、妖精がわざわざそんな事してるのかって?まぁいろいろ理由があるんだよ。

 それはさておき、「英雄少女外伝プレイアース」に登場するマスコットは、今俺に体当たりを仕掛けてきた道化師じみたデザインの妖精、トリンプだ。とんがり帽子を2つくっつけたような帽子がチャームポイント。


 「こんな酷いことはやめるンプ!!」


 そんな彼が目の前でふわふわと浮いている。

 短い手足をぴょこぴょこ動かし怒りをあらわにしているが、はっきり言って全く怖くない。威嚇するチワワみたいでかわいい。

 ペシン

 思わず伸ばした手を払われてしまった。

 ちょっとショック。

 でも、ぜんっぜん手が痛くない。多分ちくわで叩かれた方が痛いと思う。


 そういえば、なんで出てきたの?妖精単体じゃ何もできんやん。徹底的に戦えない様に造られた体なんだから当たり前だけどさ。

 あ、もしかして英雄少女がいる?それなら早く呼んで来て欲しいんだが。

 アニメより早いけど、俺がいるしすでに原作崩壊してる可能性ワンチャンあるのでは?


 「……まだ見つけてないんプ」


 考えなしで出てきたの?うせやろ?

 これでも俺、戦闘用なんだが。もし今ここで君が俺に捕まったらどうすんのさ?


 「ボクはこの世界を助けるために来たンプ!見ないふりなんてできないンプ!!」


 はーつっかえ!辞めたらこの仕事。

 お前がいなくなったら原作が始まる前に終わるんだが?

 まじでどうしよう。捕まえる訳にもいかないし、見逃すのは……ありなんだろうか?

 ルール的には問題ない、はず。だが悪役キャラ的にはどうなんだろう。

 ……何もしないのは無しだな。

 とりあえず目の前にいるコレをガシッとつかんで見る。さて、どうするか?

 ジタバタしてる妖精が愛らしいが、このままとはいかない。


 「放すンプ~!このチビー!アホー!ブスー!」


 誰がブスだコラァ!

 チビとアホは事実だから許すが、ブスはダメだ。サングラスみたいに真っ黒なフェイスガードの所為で見えないかもしれないが、将来が約束された美少女やぞ!プレイアースに負けるから将来無いけど。こう、雰囲気で分かれよ。美少女オーラが体から出てるはずだぞ!魂が男だけど。

  

 「痛い!、痛いンプ~」


 おっと、指めっちゃめり込んでるじゃん。

 無意識に力を入れてしまったようだ。いけない、いけない。潰れてもらっちゃ困る。

 ほんとどうしようコレ。


 よし、放り捨てよう。


 遠くに投げてしまえば、ただ見逃したわけじゃないと言い訳も立つというもの。

 妖精も死なずに済む。俺も物語開始前に終わらせずに済む。winwinでは?

 しかもいい感じに悪役っぽくない?

 可愛い妖精を無造作に捨てるってさ。

 なんか名案な気がしてきたわ。


 またなトリンプ。すぐ出会えるだろうからさ、無鉄砲に来るんじゃあないぞ。


 「ンプゥ!?」


 ぐっと腕を振りかぶったから、トリンプが何をされるのかに気が付いて短く悲鳴を上げる。大丈夫、大丈夫、お前浮けるじゃん。しかもアニメで同じように投げられて、ポヨンポヨンボールみたいに弾んでたの知ってるからな。

 せーの。ぽーい。


 ……あっ、手が滑ったわ。女の子らしくデザインされた長い爪が引っかかったらしい。

 斜め上に投げるどころか、斜め下に投げる形になっちゃった。

 これはマズい。遠くに飛ばそうと力いっぱい投げたから、まるで癇癪起こした子供に叩きつけられるおもちゃをように、トリンプは地面に向かって飛ぶ。


 あわや激突といった瞬間、トリンプと地面の間に滑り込む影があった。

 桃色の髪の少女だ。

 駅内から怪物(テキダゾー)の足の間を走り抜けて、来たのだ。

 妖精の事なんて知らないだろう。彼が味方だなんて知らないだろう。テキダゾーだって怖くて仕方がないはずだ。

 それでも、俺に立ち向かったトリンプが地面にぶつけられるのを良しとしなかったに違いない。駅の2階の窓からでも見ていたのだろう。

 いや、そんなことはどうでもいい。

 俺はその子を知っている。そこだけが重要だ。


 やっば……


 テンション上がってきたわ。

 

 トリンプを抱きしめるように受け止めた彼女を、穴が開きそうなくらいじっと見つめる。

 彼女こそがこの世界の主人公(ヒロイン)

 方波見(かたばみ)天花(てんか)

 今この瞬間、原作通りでは無いけれど、第1話が始まったのだ。


 

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