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転生先は悪の幹部(幼女)

 ある日の昼下がり、春休みも終わりに近づいてきた3月も末と言った時期の話である。

 温かい気温は絶好の外出日和だ。

 ここは繁華街。そこは休日ともなれば浮かれた学生休みが終わる前にと遊び、新生活を迎える人がその準備に出かけ、会社員が足早に電話をしながら歩く光景が見られる場所。にもかかわらず駅にほど近い場所にあるはずの繁華街は今、静寂に包まれていた。

 店先は壊れ、雑居ビルの窓は割れて散らばり、舗装されていた道も今は見るに耐えない有様となっている。

 原因は空間を割って現れた童女と、それが作り出したバスとティラノサウルスが合体したような怪物である。

 童女はまるで人形。SFじみたスーツに身を包み、その上から鋼鉄を身にまとって状況を見守り続ける。

 怪物は妙に漫画チックなデザインと色、しかしてその大きさはビルの2階に背が届くほどの巨体。こちらがこの光景を生み出した元凶だ。

 できの悪い空想を体現したような侵略者は突如として出現し、瞬く間に平和を壊したのだった。


 平和を取り戻すことのできる者は誰だ。警察?自衛隊?否だ。

 なぜか、それは相手を知らずにこんな大胆なことをできるやつは居ないからである。

 もしそうであればどれだけ良かったであろう。しかし、残念なことに侵略者は気狂いでは無い。いま世界にある何が来ても打開されない、それをよく知っているが故の行動だった。


 ならこの世界は侵略者に滅ぼされてしまうのか。否だ。

 なぜか、それはこの世界を助けるために、侵略者とは異なる世界から使者、妖精が来ているからだ。今この世界にある何が来ても問題ない?ならこの瞬間に異世界の技術を以てして打開しよう。妖精もまた別の世界で侵略者と戦う者であるのだから。しかし世界を超えてきた代償は大きい。妖精の姿は2頭身のマスコットキャラクターのような姿になってしまっていた。

 だからこそ、侵略者でも、妖精でもない者がいる。


 静かな繁華街にいるのは童女と怪物、妖精と1人の少女。

 少女はこの世界の人間である。たまたま遊びに来ていただけの一般人だ。特別力が強いわけでも無い。しかし、こと勇気だけは人一倍持ち合わせていた。

 ならばこれは、ここにいることは運命(決まっていた事)である。


 「もし、キミに戦う意思があるのなら、このカードを引いて欲しいンプ。資格があればキミはあれと戦える力を手に入れられるンプ」


 「私に、あの怪物を倒す力が?」


 妖精の問いを受け、少女は幾ばくかの逡巡する。

 迷っている訳ではない、ただ深呼吸するように、思考を落ち着かせているだけだ。


 「……分かった。引くよ。私には、迎えたい未来がある!だからっ、こんなところで日常を奪われてなんて上げられない!!」


 少女は英雄(メインヒロイン)になる。


 妖精の差し出した束から1枚のカードを引き、少女こと方波見(かたばみ)天花(てんか)は眩い光に包まれた。

 変身するのだ。魔法少女、いや英雄少女に。


 新たな物語、闘いの幕開け。

 侵略者たる童女は、街頭の上からそれを食い入るように凝視していた。

 その心中はいかなるものか、敵が現れたことに対するいらだち?好敵手になりそうな予感への興奮?


 (やっべマジの生変身だ!録画録画、戦闘シーンもきっちり見なきゃ!それにしてもこの身体超便利!後で見返そっと。しっかし変身バンクはアニメのまんまでたまりませんなぁ!別アングルから見れるとか英雄少女シリーズファンの中でも俺だけやろドヤァ。オタク冥利に尽くぜぇ!!)


 とても気持ち悪かった。

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