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7. 誤解を招く言い回しになり、恐れ入ります

不安に思っていた2-Bの英語も、つつがなく後半に差し掛かっていた。

というか、とどこおりなさすぎ…理由ははっきりしているのだが、


「えーっと、では、この問題を―――」

「ハイ、先生《センセ―》!」

「…じゃ、じゃあシェリーさん、お願いできるかな」


何故か、シェリーさんがガンガン手を挙げて答えてくれているからな訳で。


「~~~。…あれ?合ってますよね?」

「あ、はい、完璧で…完璧過ぎるというか………えー、聞き取れなかった人の為に、もう一度、僕が繰り返しますね―――」


とどこおりなく授業が進められるのは喜ばしいことなのだが、他の皆の理解度が把握できない。それに、あまりに流暢りゅうちょう過ぎて、他の生徒の頭に「???」が浮かんでいるのが目に見える。さらには、完璧過ぎて、他の生徒が手を挙げ辛い空気になってしまっているのだった。


「あの、次は…簡単な和訳なので、誰でも、答えられると、思うのですが……」


あえて、そう前置きしてクラスを見渡すと、皆視線を逸らす。シェリーさんの後に答えるのは、ハードル高いよね。生徒たちのけん制し合うような雰囲気の中で、コソコソ話も始まる。


「…いいんちょ、シェリたん、なんで急にやる気満々なんだろ?あれかな、まっし―狙ってる??」

「…わたしに、聞かれても、」

「いいのぉ?いいんちょ、とられちゃうよー」

「っ!!べ、別に私は、日高く――先生とは何も!」


後ろの席の篠崎さんと話していた鈴木さんが、少し声を荒げて腰を浮かした。何を話していたかはわからないけど、答えてくれるって、ことで良いんだよね?


「じゃあ、鈴木さん?」

「えっ!?あ、はいっ。」


鈴木さんが緊張したように立ち上がる。後ろの篠崎さんは「『優等生の座を』って意味だったんだけどぉ?にししっ」と呟き、頬を染めた鈴木さんに睨まれていた。


「それでは、3行目の一文を。」

「はい、えっと、『私は、彼女よりももっと、あなたを、あ…愛して、います』…」

「…はい、正解です。比較級ですね。『like』や『love』は『more』と一緒に使われることが多いので―――」


いや、女子高生にセクハラしてる訳じゃないからね!

真っ赤になって席に着く鈴木さんの後ろで、篠崎さんが「うんうん、そうかそうか。」としたり顔をしていた。ちょっとらしめておこう。


「ちなみに、『more』の原級は?篠崎さん?」

「あへ?うちですか?………わかりませんっ!」

「ちょっと、考えようか、例えば、この文で言えば―――」

「“I love you so much”」


と、シェリーさんが急に代わりに答えた。


「意味は、「私は、あなたのこと、とても愛しています」、ね、先生《センセ―》」

「は、はい、ありがとう、シェリーさん、」


あ、違うよ?「答えてくれて」ありがとうだからね!


そんな訳で、疑似的に女子高生によるアピール合戦を味わいつつ、無事に1限の英語は終わったのだった。わざとじゃありませんからね…


早速、評価乞いにお応えいただき、ありがとうございます。


なんとか、更新頻度を上げるべく、少し文章量を少なく区切ってアップしていこうと思っています。「前くらいの方が良かった」「少なくたくさん上げた方が読みやすい」など、ご意見がございましたら教えてください。


ひきつづき、宜しくお願いします。


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