表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

2. 今回は、ご縁が有ったということで

それから2週間ほどして、俺は高校の2-B(2年B組)教室の前に立っていた。いや、人生やり直した過ぎて乗り込んだとかじゃないよ?


5月初旬、俺はここ『私立 青興学園高校せいこうがくえんこうこう』の臨時講師として赴任したのだ。


大学に入る時、両親が何か資格をというので、教員免許を取得していたのが良かった。一般企業に勤め始め、一生使わないと思っていた資格だが、こうして役立てることができた。俺が再就職を決意したのが3月という中途半端な時期だったため、常勤講師としての枠は埋まっており、たまたま4月に不祥事を起こした教諭の後釜として、残りの11ヶ月を任されることになった。非常勤で教科担任という形なので、週に3日ほどで、それ故、バイトの掛け持ちも許されているし、逆に単体では生活できない給料なのだ。


ふう、と大きく息を吐き、落ち着かせてから扉を開ける。


かつん―――


と、黒板消しが降ってきた。


古風な。しかも「黒板消し」といったものの、この学校は黒板ではなくホワイトボードを採用しているため、白板消し?である。黒板消しより硬くて痛い。どうでも良いが、後にネットで調べたところホワイトボードの黒板消しは、「ホワイトボードイレーザー」というらしい。長いね。ただ、チョークの粉が付かないというのは利点である。いや、そもそも、人に降らせちゃだめだけど。


「ひっかかったー!」

「うわ、だっさ」

「ねえ、いきなり可哀想だよー」


教室がわずかに盛り上がる。そして俺はというと、


「はじめまして。すっかりひっかかりました。」


と、へらっと笑うのだった。

前職の経験で学んだことだが、こういう「意地悪してやるぞ」という行為に対して、下手に激昂したり、必要以上のリアクションを取るのは逆効果なのである。それに、出社したら椅子が水浸しだったり、休憩で喫煙所から戻ったら頭からファブ○ーズをぶっかけられたりするのに比べたら、こんなのは………あれ、今思えば結構ブラックだったな、前職。


「誰よ、こんな子どもみたいな…」


女生徒がそれを非難するようにクラスを見渡した。どうやら、クラス全員で新任をはめてやろうというより、一部の生徒の悪ふざけのようだ。不良学級だったらどうしようかと思っていたので、少し肩の荷が降りた。


「初日から、すみませんでした!せんせ―――!?」


女生徒が、改めてこちらに向き直り、驚きの表情を浮かべる。目を見開き、口をパクパクさせて………あれ?



その少女は、俺のバイトの先輩、鈴木彩音さんだった。

早速、ブクマを頂きありがとうございます。

並々ならぬご厚意、感謝申し上げます。


厚かましいお願いではございますが、

引き続き、ブクマ・評価・感想などにご助力頂きますこと、

重ねてお願いを申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ