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スラム帝国  作者: 檸檬
2/2

喧嘩上等

「ねね、ヒトハ君」

「なんすか?てか、あんまり僕話しかけないほうがいいっすよ。あんたも虐められるだろうから」

「え、イジメられてんの?」

「たぶんそうすね」

「なんで敬語なの?」

「うるさい奴だな。お金持ちのあんたには分かったことじゃねぇよ」

「ねぇ。なんでそんなこと言うの?ていうか私のこと忘れたの?」

「は?初対面なのに気持ち悪いな」

「私も憶監から来たのよ?」

「あんたみたいなかわいい奴はいねぇよ。昔はいたが」

「え?最後なんて言った?」

「なんでもねぇ」

「あっそ。私ね、8歳のころに悪い大人にさらわれたの。何をされるかわかんなくて怖かったの。でもねそれを助けてくれたのが名門財閥の阿形家だったの。だから私は阿形家の養子なの」

 なんでこんな大事なことを忘れていたんだ。あの日じゃないか、スラムに大人がいなくなった日じゃないか。マリがいなくなった日だったじゃないか。

「お前だったのか」

「やっと思い出してくれた?」

「ああ。久しぶりだな、マリ」

「うん!久しぶり」

 これが感動の再開というものなのかと余韻に浸っていると、後頭部に激痛が走った。そしてそのまま椅子から転げ落ちる。

「お話は終わりましたかな?」

「マリさんと軽々しく話すとかスラム出身なのに生意気」

「死ねよお前。この世界にいらねぇんだよ」

 腹に重い蹴りが入った。

「よええなお前やっぱ」

「てめぇらいい加減にしろよ」

「は?」

 全員キョトンとしていた。僕も驚いた。自分でもこんな声が出るとは思っていなかった。

「スラムスラム言いやがってよぉ」

 周りにいたやつらは顔がこわばっている。

「てめぇらにけがさせないために何もしてこなかったが、スラム出身だから喧嘩だって強いんだぜ。タイマンでもいい、束になってかかってきてもいいぜ」

「じゃあ、遠慮なくやらせてもらうぜ」

 右から頬に向かってこぶしが飛んできた。殴りかかってきたやつの足にけりを入れた。奴は足がもつれて盛大に転んだ。そこから思い切りけりを腹に打ち込む。

「グハッ」

 僕は倒れているそいつを見て、

「一番強いのは失うものがないもないものだ」

「ふざけるな!どうせタイマンしかできないんだろ?」

「お前ら一気に行くぞ!」

 掛け声に合わせて5人ぐらいの男子が走ってくる。1人は椅子を持って走ってくる。

「っけ」

 僕はまず、椅子を持ったやつを狙った。椅子を振りかぶっておろしてきた。

「遅いな」

 すぐさま僕は身をかがめ、腹にタックルをした。奴は椅子を落とした。足の付け根に椅子が当たっていたむ。だが僕はお構いなしに突き進んだ。運よく後ろにいたもう1人にもあたって、ロッカーまで押していった。

 ゴンっ、という鈍い音が響き2人は倒れた。

「おいおい、隙を見せるとは舐めたものだな!」

 背後から声がした。僕はすぐさま後ろに回し蹴りをし、横っ腹直撃させた。机に彼は直撃した。しばらくは動けはしないだろう。

 他2人が来る様子はない。勝てないとわかったのだろう。

「お前らに聞く!誰が悪い!?」

 返答はない。

「聞いてんのか?答えろ!」

「僕たちだ、僕たちが悪かった。だから許してくれ」

「お互いのために、今回のことは先生に言うな。お前たちが言わなければ僕は言うつもりはない。お前らのけがはじゃれていてできたものだといっておけ」

「わかった」

「お互いのためだ、伝えるなよ」

 そして僕は席に着いた。みんなの驚いたような声が聞こえてきた。そのまま僕は、無視をした。

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