自己紹介
盗みもあれば殺人もあったこのスラムを統制した英雄、ジンとヒトハ、そしてマリ、その三人についての話だ。
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「おい、ヒトハ起きやがれ!もう朝だ、ちんたらしてる暇なんてねぇぞ」
そんなジンの言葉に起こされた。
「わーってるよ。でも俺はすぐ学校に行くから」
「ああ、行ってこい。金は俺と子分たちが稼いでやるから行ってこい。俺は勉強ができねえが、お前はできるからな。お前にここのリーダーになってほしいもんだ。」
「タメなのに悪いな。」
「いいんだ。お前にはお前にしかできないことがあるからな。卒業したら恩返し?的なのをしてくれ。」
「もちろんだ」
俺は憶監という町のスラムに住んでいる14歳だ。そもそもこの国、日暮(元日本で、天皇制が廃止されて政治の仕方が大きく変わり国名も変わった。ifの世界です。)では義務教育というものがない。行きたい人だけがいくというスタンスらしい。俺は生まれた時から才能に恵まれていたが、学校にいけない状態だった。でも、幼馴染のジンがお金を稼いで学校に行かせてくれている。少し外の大人からの援助はあったが、ないに等しいぐらいだった。俺は7歳から学校に行っているが、中学入る直前までは、国が援助をしてくれていたのに急にやめたせいで行けなくなりそうだったが、ジンと、その下っ端たちがとび職でお金を稼いでくれていけている。彼らには感謝以外何もない。
そして今日も僕は学校に行く。
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「おはよ」
朝教室に入っても挨拶を返してもらったことはない。まぁ、イジメまがいな状態だしな。俺がスラム出身であるのにもかかわらず、学年首位だからだろう。それが気にくわないのだ。
「よぉ。おめぇら、今日は転入生が来る」
担任のサクラギが声をかける。
「入って来い」
廊下から入ってきたのは、とびきり美少女というわけでも、とびきり不細工というわけではないがまあまあかわいい女子が入ってきた。10点満点中7点といったところか(めっちゃ失礼なこと言って宇野はわかってるが)。俺は、6点ぐらいだよ。
「はじめまして、マリって言います。」
「残念ながら、空いてる席はヒトハの隣しかないがあそこでもいいか?」
「残念ながら?どういう意味ですか?」
「こいつがスラムから来てるやべぇやつってことだよw」
クラス中が大爆笑する。担任も笑っていやがる。どうでもいいが。
「スラム出身って悪いことなんですか?」
「え、」
「別に私気にしないので」
そういって彼女は俺の隣に座った。
これからの学校生活はどうなるのだろう、それだけが気がかりだった。