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ゆっくり異世界生活!(大嘘)  作者: 黒い鱸
第二章:ポラリス王国編
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第七話《城と王》




 ポラリス城の中に入った。


 中も門ように質素なデザインで俺好みだ。


「王との謁見までは待機場で待ちましょう。すぐ順番が回ってくるでしょうけどね。」


 苦笑しながらジョイは言う。

 ジョイは宮廷魔術師長であるのに、自らの仕事を忘れていた。となると、何らかの処罰が下るのは想像に難くない。

 その忘れてしまった原因は俺だろう。俺が「魔法使ってみたい」などと言わなければ、ジョイは仕事を忘れずにいたかもしれない。


 そう考えると何だか申し訳なくなってくる。


「ジョイ、その…ごめん。俺が魔法使いたいなんて言ったから…」


「いえいえ、サカタ様のせいではありませんよ。もともと私も、ど忘れしていましたし。それに、サカタ様のあんな素晴らしい魔法を見れましたから。サカタ様に罪はありません。」


 おっと、惚れちまうぜジョイさんよぉ…



 なんて冗談はさておき、案内された待機場に入る。


 中には、椅子に飲み物など、もてなしの用意があった。


「時間になるまで、この間にてお待ち下さい。順番が回りましたらお呼びいたします。」


 とメイドさんに言われた。

 そう、メイドだ。あっちではメイドカフェなんかあったが、この世界のメイドは本気でメイドしている!

 まあ、俺は行きたいとは思っていたが、見知らぬ人との会話はほぼ出来なかったので、テレビとかで見ただけだが。

 そんな俺でも、演技っぽさは微塵も感じない。いや日本のメイドさんたちが演技くさいとかでは決してないが。


 しかし、かわいいメイドたちを眺めながら出された紅茶みたいなのを飲む。実に良い。見つめられたメイドさんは少し不快そうだけども。




「…時間です。謁見の間へとご案内いたします。」


 時はきた。失礼のないようにしないとな。





  ►►►





 謁見の間に案内された。



「思ったより早いじゃないか。」


 ジョイに話しかけるのはこの国の王である。

 

 玉座に座り、いかにも王という感じだ。


「はっ。この度の私めの失態。上げる顔もございません。」


「よいよい、面を上げよ。というかお前との仲だろう。堅苦しいのとかいやなんだが。せっかく魔術師長にしていろいろ話せると思ったのに処罰とかしたら台無しだろうが…」



 なんだこの王。思ってたのと違う。


「しかし…」


「まあ、なぜ今日顔を出さなかったかの理由は聞くとして…。その隣の男は誰だ。」


 じっと王が俺を見てくる。

 〖主人公補正〗の英雄威風がなかったらビクついてたかもしれない。


「この方はサカタ様です。記憶喪失のようでして、なんというかいろいろありましたので、それも含め一連の流れを説明させていただきます。」


「サカタケンヤです。此度ジョイ殿には大変世話になっております。」


 王にも英雄威風のおかげで話せた。



  ►►►




 王にジョイが説明をした。



「ヌハハハ!普通に忘れていたか!相変わらずだなお前は!」


 愉快そうに王が笑っている。


「はい、ハーシェル草原にてサカタ様の魔法を見ている時に思いだしまして、顔が真っ青になりました。急ぎで戻りましたよ。」


「いや、魔術師長が仕事を忘れるなんて傑作だな。しかも客人扱いでここに来るとは。あぁ、サカタとやらも同行しているからか。それで、そんなに凄い威力なのか?低位魔法が。」


「恐れ入りながら、その普通の威力がどれくらいなのかわからず…」


「おぉ、記憶喪失だったな。ジョイも人がいいよな。そんなゴツい風体のくせに人助けするもんだから、よく子どもに泣かれていたな。」


「声をかけたら泣かれるというのはかなりショックでしたよ。後、サカタ様の低位魔法はアモンのアレを彷彿とさせましたよ。」


 ジョイの説明により、最初はスパイか何かと疑われていた俺も、王にちゃんと害はないと理解してもらえた。

 ジョイに処罰は下されないようだ。仲が良いそうで、小さいころから遊んでいたという。


「ほう、アモンの"火炎矢(フレイムアロー)"にか。それは一度見てみたいぞ。…して、サカタよ。記憶喪失となると行くあてなどあるのか?」


「いえ、残念ながらございません。何も思いだせないのです…」


 嘘だけどね、テヘペロ。


「うーむ…ジョイの認める魔法を操るならば宮廷魔術師団も良いと思うが、我がポラリス王国は自由を掲げているのだ。よく、それなら王制度を廃止しろ!と言われるのだがな。」


 王も悩んでくれている。


 よく考えたら、一国の王と謁見なんて、かなりすごいことだよな。いやジョイがすごいのか。竹馬の友って言ってたし。ってセリヌンティウスか。



 そんな時、バン!と音を立て、間の扉が開いた。

 


  …思わず振り向くと、そこにはみたこともないような美少女がいた。

 兵士やメイドが大慌てで止めようとしている。


 何事だろうと思った矢先、その美少女は言った。




「にい!!!」





 …俺を指差しで。




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