第四十二話《異常》
おかしい。
昨日、マイがどこかへ行ったっきり帰って来ていない。今はもう昼に差し掛かっている。
なんだかそわそわする。日課のスキル狩りには行く気になれない。
『嬢ちゃん、まだ帰って来てねえのか。』
「ああ。何か聞いてない?悪寒以外に。」
デヌンも、マイが「悪寒がする」と言った以外、心当たりは無いらしい。
何処にいったんだ。……………むっ、雨が降ってきた。屋台モドキは一旦アイテムボックスに入れよう。
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今日も帰って来ていない。やっぱり何かあったんだろうか。
とりあえず、知り合い達に聞いて回ろう。
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ジョイやネル、ベアガーさんやルバーにも聞いたが、見かけていないと言う。ジョイは兵士達にも見ていないか聞いてくれたが、誰も知らないらしい。
……長い雨だな。この世界に梅雨とかあるかね。いや、土地的に無いか。知らんけど。
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まだ帰って来ない。流石に、探しに行った方がいいかもな。面倒なんて言ってられない。
どうやらデヌンは、霊であることを活かして街中を探してくれたみたいだ。もう遅いから、明日すぐに俺も探しにいこう。
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朝、カッパを羽織って家を出た。出た瞬間、雷が落ちたと思ったら、目の前に家破壊男が現れた。
「今日マイラルディアはいるか。」
「いない。数日戻ってなくて………今から探しへ行く所だ。」
そう答えると、驚いた顔をして何か考え出した。
驚いてる………ということは、こいつが原因じゃない?結構疑ってたんだけど。
ぶつぶつと「消失した?…いや、変化の概念はまだ……」と悩みこんでいる。埒が明かないので、さっさと捜索に出よう。
「おい待て。」
「……何だよ。」
「……………やはりよい。引き留めて悪かった。」
不満気に振り向くと、家破壊男は光の速さで去っていった。
くそっ。
そんな速いなら探すのも楽だろうな。
あー、無性にイライラして来た。
街は調べ尽くされてるし、郊外を探すか。
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マイが姿を消してから一週間が過ぎた。
キノスラの街……王都はもちろん、他の都市や郊外の村や森、山なども必死で探してみたが、結局見つからない。
『ボウズ………』
「……………………」
『……………』
黙々と、ポーションを瓶へ移し替える作業をする。
200本は詰めたな。もう慣れたもので、こぼすことも無くなった。
やけに屋敷が寂しい。雨の音はするけども。
何だろう。
過去に同じような気持ちになったことってあったな…………………ああ。思い出した。
兄が失踪した日だ。早めに帰ってくるとか言ったくせに。その後は一度も会っていない。あの日も雨が降っていた。
帰ってこない………ずっと。……もしかして、マイも……
思わず、身震いがした。
『………ん?誰だ?』
確かに、門が開く音が聞こえた気がするが………こいつの空耳じゃあ……
「…っ!」
探索魔法を使って、一瞬で分かった。
マイだ。
急いで玄関へ向かい、門へ走る。
「マイ!!!おい、どうし、た……」
そこには、虚ろな眼差しで、びしょ濡れになったマイがいた。




