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ゆっくり異世界生活!(大嘘)  作者: 黒い鱸
第二章:ポラリス王国編
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第三十九話《中年霊の底力》




 さて、どうするか。


 正直、この戦闘で俺ができることは無に等しい。俺の最大能力値だけ見れば、まだ何かできたかもしれないが………二重に鑑定すると、俺の能力値は


 体力 32400/32500

 筋力 29500(3600)

 俊敏 58000(6400)

 物理防御 37500(4000)

 魔法防御 36500(3900)

 魔力量 10900000/11000000 +???down

 技術 570000(14000)


 となる。括弧内の数値が、今俺が引き出せる力……実質俺の能力値だ。必ずしも、この数値までしか引き出せない訳でもないが……詳しくは解らないが、俺は自身の力をフルで扱えないようである。経験の差なのか、はたまた異世界から来た影響なのか……

 もしかすると、能力値か爆発的に上がったのは、マイと初のアレをして限界突破した時なので、まだ身体が追い付いていないのかも。そこは本当に解らない。


 ちなみに、こんな括弧は〈超鑑定〉の時は出なかった。〈神鑑定〉でも最初は表記されて無かったが………レベルとやらが上がった影響か。補正シリーズも、[特大]とかの代わりにレベルになったし。



 まあ、なんだ………つまり、こんなん人間にどうこうできるものじゃない!


 どうやらマイは、無駄に多い俺の魔力を吸っているようだが…………てかいつの間にか切られたマイの腕が再生してる!傷もほぼ治ってる!自動再生すげえ!



…………ええい、とにかく行動だ!打開策を考えろ!

 そのためには情報が必要だが……とりあえず片っ端から鑑定しまくろう。



 結界を鑑定!


・神位複合異空壁……消費魔力40/s×25 魔術結界×物理結界×対神結界×衝撃結界×対波結界×対変結界×吸魔結界×反射結界×流転結界×25層


 魔術結界……魔素に干渉し発動した現象を相殺。

 物理結界……物理的な空間への干渉に抵抗。

 対神結界……神力のエネルギーを分散する。

 衝撃結界……あらゆる衝撃を緩和する。

 対波結界……波として伝わる存在を遮断。例外ー太陽光、念話

 対変結界……術者以外の結界の上書きを防止。

 吸魔結界……魔力を吸収し術者へ還元する。

 反射結界……外部より伝わるエネルギーを反射する。例外ー太陽光、念話

 流転結界……神マイラルディアの概念を反映。付与ー万物流転


 ぐっ、脳内で結界がゲシュタルト崩壊したっ……!

 だがまだやれる!ちょくちょく出てくる神力てなんぞや!


・神力……神族の扱う、魔力の上位互換のエネルギー。


 何だそれは!…………いや、心当たりがあるな。そうだ、洞窟で使った〖神之契〗による大幅な能力上昇。おそらくあれだ。


 そして、このエネルギーを家破壊男も使っている。マイも使用中だろう。魔力のように神力量の限界とかないのだろうか。男の魔力はほとんど減っていないのに対し、マイは俺の魔力も合わせてるとはいえ、一秒に1000以上魔力を消費している。ジリ貧だ。


………ふと思い、ついてきたデヌンを見る。




 霊力。


 これ使えるんじゃなかろうか。


・霊力……魂核の成れの果てのエネルギー。密度が高くなると、骨や死骸に浸透しアンデットやゾンビを作り出す。稀に自我を持つ霊が生まれることもある。


 魔力と神力とは別のエネルギー。超禍々しいが………


 結界は、外側ほどではないが内側からの魔法なども防いでしまう。

 なので、マイも結界の能力で対抗しているのだが……

 この神位複合異空壁には、霊力をシャットダウンする効果がない。


「デヌン!お前、なんか攻撃手段とかないのか!?」

『んなもん……あるにはあるけどよ、あんなバケモンに効くわけねーだろ!逆に殺されるわ!霊だけどな!』

「ほう………」

『……………ごくっ』


 なるべく神聖魔法の光に近づけた光属性魔法をデヌンにちらつかせる。俺は神聖魔法なんて使えないが、デヌンはそのことを知らない。


『だーっ!わかった!やりゃいいんだろやれば!』


 勘違いしてくれた。今後からはこれでいこう。



 吹っ切れたようにひとしきり叫んだ後、集中に入るデヌン。


 そういえば、屋敷が夜襲われるやらなんやら言ってたな。ということは戦えるのか。いや、攻撃しろっつったのは俺だけど。


『霊域権限解放……霊力集中…効果は束縛………オラッ!存分にくらいやがれ!冥霊技"魂妖舞"!』


 デヌンの周囲が妖しく光る。


 濃緑の光……いや、霧に近いそれは、デヌンの周りで渦を巻きながら集束していく。


 やがて一つの丸い玉と化したそれは……



 閃光となり、結界を無視してソグーへ突き刺さった。


「な、なに……?」


 マイはぽかんと唖然としている。


 俺もそうだ。


 まさか、デヌンがこんな技を使うとは思わなかった。なにこれ。


『オレが使える霊法の中で一番のやつだ。反動がすげえ……け、どな』

「おい、大丈夫か?」


 その半透明の身体をよろめかせるオッサン霊。


『でぇじょうぶだ。……"魂妖舞"は、そこら辺の霊と霊力を纏めてぶっぱなすんだが……意識ある中位霊に命令すんのが体力使うのよ……ま、そのかいあって、見ろ。』


 結界の外側のソグーを見る。


………光化までして、緑の閃光から逃げている。てか、生きてるみたいにパパパパパパっとソグーを追尾してるんだが…


『中位霊は自我を持つ。そいつに、あの男を追いかけろと命令したわけだ。』


 なるほど………光には届かないが、目に止まらぬスピードで追いかけてくる……にしても、ソグーの動きがやけに鈍い。


『あと束縛の効果もあるぜ。最初の不意打ちで少しは効いたみたいだな。』


 便利だなそれ!神にも効くってどんだけだ。


………もしや、デヌンって強キャラ?マジで?こんな小物臭漂うくせに?



(………今回は引く。次は逃さん。)


 急に念話が飛んできた。


 引く?ほんとか?………って本当にいなくなったよ。呆気ないな…

 あ、魂妖舞もついてくのか。


「……ケンヤ、どうする?」

「信じるなら、結界は解いていいんだろうけど………」

『引いたと見せかけてまた来るんじゃねえか?』


 念のため、そのまま結界を解かず三十分ほど待つ………も、ソグーは来なかった。気配もなし。光化して一瞬で来るかもしれないが、仕方ない。

 結界を解き、すぐさま屋敷へ転移する。


「あ~、疲れたあ」

「お疲れ。ほい、デヌンも。」

『お、サンキュー』


 マイとデヌンに水を渡す。デヌンは魔力を込めないと飲めないので、ちゃんと込める。

 この前、今まではどうしてたのか聞いたら、『苦労してきた』と返された。


 ………ん?まてよ?こいつ最初、屋敷から出られないとか言ってなかったか?


「デヌン、お前なんで屋敷でれたん?」

『え?………あ』


 そこで、俺は手に光を灯す。デヌンの顔は真っ青だ!

 何やら「ケンヤ神聖魔法使えないでしょ」と聞こえたが華麗にスルー。


「デヌン?」

『すいません嘘吐きましたごめんなさい』


 土下座!この世界にも必奥義DOGEZAはあったんだ!


「なんで?」

『いや……そうでもしないと、この屋敷に居座る口実が出来なかったからよ。お前ら追い出す気満々だったろうが。………まさか!』

「まさかも何も、もう追い出さないって。一ヶ月も同じ家にいるんだし。」


 ホッとした様子のデヌン。まあ、そりゃ今回みたいに役立つ時があるかも知れないし……見張り番として案外優秀だしな。これからも番犬ならぬ番霊を任せていこう。


「というわけで、よろしく。」

『お、おぅ………』


 いい笑顔でデヌンと握手。ちなみに、アーティファクトを守る義務がどうとかは勝手にして貰っている。

 最初こそ「アーティファクト!ヒャッハー!」とワクワクしたものだが、正直何なのかよく分からなかったので、デヌンの好きにさせているのだ。



………しかし、今回は危なかった。いきなりマイを連れ去るとか何なんだよ。既にマイとの暮らしは当たり前になっているのでやめてほしい。スマホをいきなり取られるみたいなものだ。………ちょっと違うな。あれだ。家族が失踪するのと同じだな。うん。


「……また来た時のために、対策とか考えないとな。」

「そうだね……」


 マイに魔力を吸われ続けて、魔力量が全体の5分の1ほど減った。 

 

 枯渇したわけでは全然ないが、少し身体がだるい。


「ちょっと寝てくる。」

「わたしも寝る。」


「じゃ、一緒に寝よう。」

「そうしよう。」


 そうして二人揃って寝室へ向かい、睡眠を取ろうと………



「サカタ殿!サカタ殿はいるか!?」


……屋敷の外から呼び声が。


 ちらっと見るに、王国騎士団。



……俺は無視して、そのままベッドで眠った。




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