第二十二話《報酬受け取り》
「お待ちしておりましたサカタ様。すでに報酬は用意しておりますので、どうぞこちらへ。」
西殿の三階にある、大きな銀行のような所でジョイが待っていた。
俺たちがやって来ると、小さめの声で「昼間からお楽しみでしたね。」とか言ってくるジョイ。
なんで知ってんねん!王城内はワイの管理下や!ってか?実際そうなのかもしれんが。
マイは、ドヤァ!という感じで(控えめな)胸を張りながら、俺にくっついている。
ジョイはそんな俺たちを見て「ハハッ」と微笑み、「手続きをしてきます。」とカウンターに向かっていった。正直ゴツいおっさんの微笑みはキツかった。さっき見せたマイの天使の微笑みとは真逆だ。
ジョイが受付らしき人に紙を見せると、受付は紙と俺たちを交互に見てから『五番倉庫にございますね、どうぞお進み下さい。』と、ジョイに鍵を渡し、受付の向こうにある道を開ける。
おそらく、盗賊対策の工夫だろう。受付の人も一応筒状の武器を持っていた。
ジョイに付いていき、しばらく歩く。
やがて、こちらの言語で『5』と書かれた扉の前で立ち止まり、鍵を開けた。
「それでは、サカタ様、マイラ様。こちらが、例の報酬にございます。」
ガチャリという音と共に開かれた先に見えたものは…………
「……確かに言ってた額あるみたいだな。」
そこにはちゃんと大金貨4000枚があった。
ただ、思ったよりあんま大金感がない。
木箱に入っているせいだ。
「こっちのは魔道具か。……ってこれ…!」
魔道具に目を通すと、あるものに目が止まった。
それは、一見ただの黒いローブ。
だが、俺の超……いや神鑑定は、しっかりと能力を見透かしていた。
「これって、黒頭が着けてたやつと同じ仕組みだな。」
「流石、お目が高い。黒頭が着用していた魔導服を、捨てるのはもったいないので改良したものです。素材は龍山に住む黒龍の皮、最高品質でした。」
そういえばジョイは鑑定持ちだった。
ちなみに、〈神鑑定〉では……
名称:無し
等級:特殊級
・装備した者の背中を、あらゆる有害な魔法から守ってくれるローブ。黒龍皮製。
魔力を吸収する性質があり、魔力の貯蔵·放出ともに使用可能。
となっている。
魔道具かは関係無く、武具や衣服には等級があり、その能力の強さ、稀少さで分けられる。
一般に五段階あり、特殊級は上から二番目だ。その能力からも、かなりの逸品だと分かる。
ちなみに『龍山』は、位置的にちょうどヒマラヤ山脈にあたる。
「……早速着てみるか!シンプルだし、目立たなそうだから使えるな。」
今まで、ジョイに貸して貰ったり、異世界転移した時着ていた制服を洗いまわして着用していたが、どうしてもすぐ汚れてしまう。
「ローブとか欲しいな~」とうっすら思っていたので、ナイスタイミングだ。
「着心地は……悪くない。案外硬くないんだな。」
「はい。着心地も重視したものですから。売れば大金貨500枚はつきますね。」
ご、五百枚……
五千万円じゃん。
「この魔道具の中では一番みたいだな。全部貰っていいやつだよな?」
「全て討伐報酬ですので、好きにしてくれて構いませんよ。」
そうか。流石に全て装備は出来ないので、とりあえず中でも良さげなものを選び、残りの魔道具と大金貨4000枚をアイテムボックスに入れる。
マイは魔道具に興味無さそうにしているので、俺のだけ選んだ。
選んだのは、上質級の長杖に短剣、そして一定時間で中級ポーションを作ってくれるという瓶。
長杖は〈魔法強化〉と〈発動短縮〉、〈効率上昇〉のバフ付き。
短剣は〈斬撃強化〉に〈軽量化〉、〈落汚〉
のバフ付きだ。
そして、ポーション瓶は一時間に200ml、つまり一本分の中級ポーションが作られる。
アイテムボックスに入れると時間が止まってしまうため、仕方なく持ち歩きのカバンに入れることにした。
ちなみに、一本分できるとそれで瓶がいっぱいになるそうなので、できたポーションは入れ物に入れてアイテムボックスに突っこむことにした。
それに何より、売ればカネに成りそうである。たくさん作るに越したことはない。
「これでよし……報酬受け取りは完了だな。」
すっからかんになった倉庫部屋を見て呟く。
倉庫部屋を出て扉を閉め、来た道を戻る。
「サカタ様、この後すぐ移住先を探すのですよね?それなら、私の知り合いに不動産業を営む者がおります。一度訪ねてみては?」
「ジョイの知り合いか。その店の名前は?」
「ウヴァル不動産という、王城からすぐの所に店を構えるグループです。彼も昔、私と王と同じパーティーメンバーだったんですよ。」
ジョイが冒険者だった時のか。なら……
「じゃあ、ジョイのツテでちょっとさ」
その一言でジョイはわかってくれたらしい。
「もちろん、一筆添えましょう。気前が良くていい人なので、土地を半額くらいにしてくれるかもしれませんね。」
半額は流石に値引き過ぎだろう。だが、いくらか安くなるのは、期待していいか。
「少々お待ちを……できました。これをどうぞ。」
短時間で手紙を書いたようだ。
無くさないよう、一応アイテムボックスに入れる。
「ありがとう。ほら、マイも」
うとうとし始めたマイを起こす。
「……ん。ありがとう」
「どういたしまして。それでは、私は王に押し付けられた仕事があるので失礼します。いい家が見つかるといいですね。」
そう言って、ジョイは職務に戻っていった。
どんな世界でもブラック企業はあるようだ。
「よし…マイ、行くぞ。」
「ん、ケンヤとの新婚生活。舞台はしっかり決める。」
「まだ結婚してねえけどな。」
そんな一目惚れ神と一緒に、いざ不動産屋へと街へ出た。
►►►
ジョイによると、王城を出てすぐだという話だ。
なので、探索魔法を使いそれらしき店を探したら、目星をつけることができた。グーグ○先生のような使い方だが、探索魔法の使い手でそのように使う人は少なくないという。
マイの〈空間転移〉を使い一瞬で行くこともできるが、数日間あったとはいえ街に行ったことがほぼない。活気溢れる異世界の街を詳しく見てみたいのだ。
マイにそう言うと、デートだと返されたが、まあそういうことだな、と返しておいた。
そんな浅はかな考えで街に出てきた俺とマイだが、やはり『主人公』と銀髪美少女が堂々と歩いていて、何も起きないはずがなく……
「おい坊主。怪我したくなかったらその娘、置いていきな。」
「なに、殺しなんかしないから安心しな?俺らとちょっと遊ぶだけだからな…グヘヘ」
「あぁ、そうだぜ?遊んだ後は返してやるからよぉ……おっと、大人しくしねえとダメだからな?wギャハハ!」
三人の暴漢に囲まれていた。
畜生!めんどくせぇ!!!
ブクマありがとうございます。
誤字脱字等ありましたら、容赦なくお伝え下さい。




