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ゆっくり異世界生活!(大嘘)  作者: 黒い鱸
第二章:ポラリス王国編
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第十九話《世界地図》




「うおっ!?」


 待ち合わせの場所まで転移し、目を開けるとジョイが超至近距離にいた。


「お、お待ちしておりました。サカタ様とマイラ様。」


 向こうも、突然目の前にふっと現れ俺たちに少し驚いたようだ。

……だってもはや密着していると言っていい距離だ。誰だって驚く。

 〈空間転移(テレポート)〉を使った本人も「ふぁっ」とか驚いてるし。


「マイ……ミスった?」


「………ごめんなさい。適当に飛んだ」


 マイがバツの悪そうな顔で謝ってくる。


「適当って……まあ、それはいい。それよりジョイ、ここに来いとは言われたけど、ここじゃ…」


 来たのはいいが、この場所には椅子も机もない。相談とかする場所ではないだろう。


「はい、ちゃんと別室がありますので、ついてきてください。」


 ちゃんと部屋があるみたいだ。


「マイ、行くぞ」

「……んっ今行く」


 しゅんとなっていたマイを連れて、ジョイについていった。





   ►►►





 案内された部屋は、案外広く、そして質素だった。

 きらびやかな装飾などないし、見える風景もかなり良い。

 まるで、一度だけみた銀閣寺かどこかの書院造を彷彿とさせる部屋だ。


 そして……


「ヌハハハ!!よくきたなサカタよ!まあ、ゆっくり話でもしようじゃないか」


 王がどっしりと座っていた。


(おい、ジョイ!王様が来るなんて聞いてないぞ!)

(それがですね…時間を貰うため、私がサカタ様と今後の話をする主旨を王に伝えたところ、『ヌッハハハ!サカタは余にも敬語を忘れるような面白いやつだからな、余も一緒に行こうじゃないか!』と言い出しまして……)


 小声でジョイと会話をする。

 なるほど、そういう流れか。


「王よ、今回はお…私の今後の予定について話すだけですので、あまり面白いものには…」


「よいのだ。どのみち、サカタはここを出るつもりであろう?いま話しておいて損などない」


 バレていた……というかそれが普通だもんな。

 俺もずっと世話になるのは迷惑なので、早めに出ていこうと思っていたのだ。


「それに、ここには余とお前たち、四人しかおらん。不敬罪もなにも気にせず、語ろうではないか!サカタも敬語など使わず友達のように接してくれ。」


「分かりま……分かった。じゃあそうさせてもらう。」


 そうして、なし崩し的に話し合いは行われた。



   ►►►



「まず、俺は王城を出て家を買おうと思う。」


「場所はどこにするのです?」


「ここポラリス王国の、キノスラかアルルカバのどちらかにしようと思っててな。」


「ほう、我が国にか。」


「ああ。金も稼がなくちゃいけないから、農地も買うつもり。」


「むむ……サカタの戦闘力ならば農民よりも兵士や冒険者のほうがいいんじゃないか?」


「それも思ったけど、しばらくはゆっくりしてたいんだよね……」


 これは本音だ。次々とトラブルが起きると、さすがに疲れる。異世界でスローライフしたい。

 マイラも、『にいと二人きりの同居生活……んふふ、楽しみ』と賛同してくれた。

 

「忘れておった。サカタとその娘には、剛…何ちゃら組の幹部を倒した報酬が出るぞ。それを使うがよい。」


「剛断会ですよ。王は昔から変わりませんね……。

 サカタ様とマイラ様への報酬は後でお渡しします。合わせてざっと大金貨4000枚の大金と、いくつかの魔道具です。なかなかすごいですよ。」


「よ、四千??」


 貨幣の中で最も価値の高い大金貨が四千枚。

 相場が日本円にして一枚100000円ほどなので、四億円の収入……

 正直、まだ高校生の俺には実感がわかない金額だ。宝くじの一等が当たった人はこんな気持ちになるのか。


「その剛断会とやらは、いたる国で問題を起こしていてな……正直強さもなかなかである。そのくらいの討伐報酬でも少ないくらいなのだ。

 サカタにはそやつらを討伐できる強さがあるというのに農民など、勿体ないと思うが……まあ、自由にするがいい。見かけたら倒すくらいの心構えでいてくれ。」


「分かった。あまりお関わりになりたくないけど、俺の邪魔とかしてきたら潰すようにするよ。」

 

 俺はそんな危ないやつらと関わるつもりは毛頭ないので、悪の組織と対峙する主人公みたいなことはしない。

 一応王の忠告は聞いておくが。


「サカタ様、いまだ記憶は戻りませんか…?」


「あ、ああ。なんかこう、霧がかったような風でオモイダセナインダ。」


 思わず棒読みになってしまった。

 俺は記憶喪失という設定なのだ。忘れないようにせねば。


「それでは故郷なども分かりませんね……一度地図を見れば何か思い出すかもしれませんよ?」


「地図……世界地図か?」


「はい。過去に伝説の測量士の方が命がけで描いたものを模倣したものですが……それでもかなり貴重なものです。どうしますか?」


 (異)世界地図か。この世界の国のことや形を知っておいて損はないだろう。というか気になる。

 

「じゃあ、見させて貰おうかな。」


「はい、それでは少しお待ち下さい。」


 そういってジョイが一旦部屋を出ていった。


「ふむ……サカタよ、少し愚痴を聞いてはくれぬか?」


 唐突に王がそんなことを言ってきた。


「別に構わないけども…」


「おお!聞いてくれるか。実はジョイのことなんだがな……」



 ジョイが地図をとってくる数分間、王の愚痴を聞いていた。






   ►►►






「それでだな、あやつめ、そんな状況でも言葉遣いを変えぬのだ。命がかかっておるのに、だぞ。」


「それは流石にダメだ。TPOくらいは考えたらいいのに。」


 王が話していたのは、『ジョイがいつになっても敬語を止めない』とのことだった。


 なんでも王は、昔冒険者だったらしく、その時ジョイ含め五人のパーティでブイブイ言わせていたという。


 王族が冒険者!?と思ったが、まあ壮絶なストーリーがあるのだろう。突っ込まないでおいた。


「ヌハハハ。サカタのように、軽く話ができる相手は良いものだな。王というだけで皆平服してしまうのだ。」


「王も大変なんだなぁ……」


 王に同情していた時、コンコンとノックが聞こえ、ガチャリと扉が開いた。


「申し訳ございません。少し遅れました。」


 右に大きな紙を抱えたおっs……ジョイが入ってきた。


「サカタ様、これが世界地図でございます。大きいので床に敷きますね。」


 パラパラと、ジョイが丸まった紙を伸ばしていく。


 (異)世界地図はどんなものだろうか。

 

 なんたら砂漠とかなんちゃらの大森林とかなになに大陸とか、やっぱりあるのだろう。



 そう思い、期待と好奇心に俺は心を染めていた



 しかし。描かれたものが見えてくると同時に、心は驚愕に塗り替えられていき、絶句する。



 そしてパラパラという音が止み全貌が明らかになった時。


 

 そこには俺の()()()()───“世界地図”があった。




 貨幣は、人族の国などでは共通で使えます。

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