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ゆっくり異世界生活!(大嘘)  作者: 黒い鱸
第二章:ポラリス王国編
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第十七話《戦いの終結》




「ヌハハハハハ!!!」


 笑い声がこの空間に響き渡る。


 声の主は、黒頭を踏みつけながら剣を掲げている。

 王だ。ポラリス王国の王が自ら戦線に出てきたのだ。


「お、王……だと…なぜ」


「む、まだ息があったのか。ほれ」


 戸惑いもせず、倒れ伏した黒頭にズスっと剣を突き刺した。


「グオオオアアア……アア」


 叫び声をあげるも、やがて黒頭は力無く気絶した。


「ふん……急所は外してやった。死にはせぬだろう。

 それにしても、皆して『侵入者が現れたから避難してください(裏声)』だの何だの……余とジョイで行けばすぐ終わるだろうに」


 王がぶつぶつ文句を言いながら、ツンツンと剣先で黒頭をつつく。痛そうだな。血がトクトクと流れ出ている。


「王よ……なぜ来られたのです。万が一なんてことがあれば…」


「ヌハハハ!なに心配には及ばん。お前が一番よくわかってるはずだろう。」


 ジョイが呆れたように王を注意する。


 そういや王って強いのか?黒頭のトドメはさして行ったが…

 超鑑定しよう。



 オマーグ·ポラリス

・称号:ポラリス十四世、国王、獅子王

・レベル:190



「ええ……」


 ジョイよりレベル高いですやん。


「ぬ、サカタよ。勝手に余を鑑定するでない。プライバシーの侵害であるぞ。」


「す、すみません!」


 なんかばれた。そういうスキル持ちなのだろうか。


 王はよいよいと言うように片手で制し、顎に手を添えた。


「して、侵入者はこれで最後か?三人と聞き及んだが…」


「おそらく。私の探索魔法には引っ掛かりませんが……サカタ様はどうでしょう。」


「俺も敵はいないと思うよ。」


 敵意を持つものはいなさそうだ。一安心……といった所か。燃え広がっていた炎も、ジョイが水魔法で消火している。

 倒れた兵士たちも治癒魔法をかけられ、何人か復活している。



「ふむ…サカタよ。神族の娘はどこだ?」


「ああ、三人の内一人を討伐しに行きましたが……」


 忘れてた。戦っていたのは分かったが、その後は知らない。


「地下牢への階段近くで倒れているようだが」


 マジ?ちょっと心配だ。


「様子を見に行きましょう。一階の東殿です。」


 ジョイの提案でマイラのところへ行くことになった。


「余もついていくぞ!」


 王も来た。




   ►►►



 

「……どういう状況だこれ…」


 マイラが階段にもたれ掛かるように倒れていたので焦ったが、杞憂に終わった。


 むしろ困惑する。


「眠るマイラに、物凄い形相で止まるお姉さん……ナンダコレ」


 いまにも殴りかかって来そうなポーズで硬直しているのは、侵入者の一人で、称号は『青頭』らしい。超鑑定した。


「とりあえず起きろー。おーい、早く起きないと遅刻するわよー。」


「……んんう、にい……。なにいってるの」


 お母さんネタをしらけた顔でマジレスされた。起きたてだし仕方ない、うん。


「おい、これどうしたんだ。」


「んう、それは……」



 何があったか淡々と説明してくれた。


 途中、神位の結果を無駄遣いで寝るとか、王位時空間魔法とか言う単語をだすもので、ジョイが苦笑していたが。


「ってことはあとちょっとで動きだすのか?」


「ん、そゆこと。アイテムボックスにでも入れられない?」


「それは難しい……空間の時が止まってるからなあ」


 この周囲一メートルは越えられない一線のようだ。びくともしない。

 確かに、アイテムボックス内は時間が止まるようだが、それとは別問題だ。

 空間なんて入れられたら、それこそ箱じゃなくて倉庫みたいなものだろう。あんま例えがしっくりこないが。


 まあ案の定入らなかったのだが、王とジョイが『ちゃんと檻にぶちこんでおく』と言ってくれたので、後始末は任せて良いだろう。

 アイテムボックス内の『茶頭』と、重症の『黒頭』も同様だ。



 そうして今回の騒動が終わりに近づいた時、すでに時刻は四時を指していた──




   ►►►




「ああ~疲れたあああ~。」


 あの後、王とジョイと話をしてから部屋に戻った。

 ジョイは後も忙しいらしく、兵士に一応の警備をさせたり、動きだした青頭の捕獲だったりと大変そうだった。


 皆疲れたようで、今後の話は一眠りしてからするようだ。


 マイラは部屋に入った瞬間、バタリと倒れそのまま寝てしまった。

 神族でも眠気には勝てないようで、仕方がないので布団をかけてやった。


 俺も速攻ベッドダイビングをして眠りに落ち、ノンレム睡眠を貪りたいのだ。



「色々大変だなあ……」


 突然異世界に来て、ゴツい男に会って、王に対面して、多面な神の少女が付いてきて、悪の組織的なのと戦う。


 長く感じたが、まだ三日目なのだ。


 もしこのイベント続きが、この〖主人公補正〗やらの仕業なら……


 嫌だ。面倒くさい。

 俺は元より、「もし異世界に行けたら、美少女とまったりスローライフとかしたい」と思っていたのだ。

 冒険とかもたまには良いと思う。実はめっちゃ強い設定も良いかもしれない。


 だが、俺はまだ事件に巻き込まれるばかりだ。もっと自由に異世界を満喫したい。

 いやジョイや王はいい人だし、マイラも可愛いのでいい。

 だが、なんとなくだが、親に進路を決められるような、そんな感覚がする。この感覚はあまり好きではない。




……考えても無駄か。俺は俺らしく生きればそれでいい。

 とりあえず今後の方針は考えて、おく…か……




 そうして、俺は深い眠りについた──



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