第十五話《分担戦闘─前半─》
王城の地下に繋がる道で、戦闘は開始された。
「オオララアアアアアアアア!!!」
青頭は一瞬でマイラに近づき、渾身の一撃を叩き込もうとする。
しかし、その一撃もマイラの物理結界により当然の様に弾かれた。
ガキィィィンという大きな音をたてるも、ひび一つ入らない結界に、青頭は驚愕の表情を張り付ける。
その打撃には〈結界殺し〉がついている。
どんなに丈夫な結界でも、二発は殴れば破れるという自負が青頭にはあった。
実際、今まで王位の結界でさえ破ってみせたこともある。
だが、破れない。傷もつかない。この先に用があるのに行けない。
当然である。王位結界とは比較にならない強度をもつ神位結界だからだ。
「くっそ……どきやがれメスガキィ!!!」
また一発、本気の打撃を放つものの、少女は顔色一つ変えていない。
その事実を認識し、青頭はひやりと冷や汗を流すのであった。
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一方、余裕の表情を見せる少女─マイラはマイラで少しだけ焦っていた。
(調子乗って神位結界にしちゃった……
早く殴るのやめて欲しい…)
神位結界の無駄遣いをしていた。
本来、このくらいのマイラから見ての青頭相手なら、難位の物理結界でも十分である。
神位の魔法はその絶大な威力の代償に、莫大な魔力を消費する。
いくら神族だといっても、神位魔法の持続時間は数十秒ほど。
つまるところ、マイラは全魔力の半分はすでに使ってしまったのである。
(捕まえないとダメ……あ、いいのがあった。)
いまだに攻撃を止めない青頭に対し、久しぶりの戦闘で忘れていた魔法をマイラは思い出す。
「ああ?なんだなんだ急に……まあいいか。ブチ殺すっっっ!!!」
突然結界を張らなくなったマイラに、青頭は超スピードで襲い掛かる。
("時空固定")
青頭の動きがピタリと止まった。
王位時空間魔法"時空固定"は、時属性と空間属性の融合魔法である。
指定した空間の時間を一定の間止める魔法。
指定した空間の大きさと止める時間の長さにより消費する魔力は多くなるが、今回は青頭とその周囲一メートルを六時間だけ。
普通に考えると、王位魔法─それも時と空という、上位の属性に必要な魔力と技術はとてつもないものなのだが、マイラにとっては些細なことであった。
青頭はすんでの所で、殴りかかる姿勢のまま硬直している。
「ふう……っ、あたま痛い」
神位結界で無駄に魔力を消費したせいで、眠気と疲労がマイラを襲う。
半分も魔力を使ったのが数百年前というのも大きい。
「んあ…にいのところ行こう……」
ふらっと歩こうとして、そのままポサっと階段にもたれ掛かるように倒れ、寝息をたて始めたのであった。
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俺は今、瞬間移動をしている。
すまない、半分嘘だ。
視認転移を連発して、超高速で移動している。
転移してから、また転移するまでに二秒ほどかかるようなので、ジョイの所に瞬間移動とはできない。
茶頭と戦ったのが二階であり、ジョイがいるのが一階。
だが、王城がかなり広く、曲がり角も多いので、移動に時間がかかるのだ。
「ジョイ大丈夫かな…」
マイラと分かれてからすぐ、ジョイたちが急に劣勢になった。
どうやら敵は一人にして何人もの兵士を薙ぎ倒したらしい。
「よし、もうすぐだな。」
あと十回ほどで到着する。
そう思い、どの魔法を使い戦うか考える。
その瞬間。
ものすごく大きな爆発音が聞こえた。
「あっぶな!!」
目の前の壁がズゴオオと崩れ、爆炎が迫ってくる。
「"土之壁"!!」
とっさに、頭の中に浮かんだ防御の魔法。
水か一瞬迷ったが、さらに爆発されても困るので地属性にした。
あやうく焼き肉ルート一直線になるとこだったぜ。
壁の向こうでは炎が燃え盛っている。
「ふう、何が起き……って、おい!ジョイ!大丈夫か!?」
俺の近くにドサッと人が落ちる。
どうやらジョイも一緒に吹き飛んできたようだ。
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・今日のマイラ
·性格:クーデレ
·目付き:眠そう
·身体能力:超低下
·魔法:すごい
·口数:少ない




