第十話《小さな決心》
マイラが付いてくることになった後、今度王に俺の"炎球"を見せる約束をし、謁見(?)は終わった。
途中でマイラが入って来たため話がよくわからなくなってしまったが、元はといえばジョイが王の護衛を忘れたため王城へきたのだ。
ジョイはこのまま王城に残るらしく、俺も行く所がないので今日は王城…というより王宮の客室に泊まらせてもらう。
にしてもどんな部屋かと思ったが、想像していたのより十倍くらい豪華だった。
百数畳はあるだろうし、ベッドはふかふか、風呂も付いてる。しかもトイレは何と水洗。よくみると魔法陣が描かれていて、魔力を込めると水を供給するようになっている。
さらに、最初入った時気づいたのだが照明がある。案内してくれたメイドによると、中位光魔法"永光"の魔法陣が張ってあるそうで、こちらも魔力を込めると光り、魔力を抜くようにすると消える仕組みである。
魔法陣には二種類ある。
一つは、このように紙や物体、空間に描くもの。これは魔力を通すことで効果を発揮するが、描くには多くの知識と技術が必要となる。
もう一つが、魔法を使用した時浮かび上がるもの。これは感覚的なものだ。そして描いた魔方陣に魔力をこめる時よりコスパが良い。
なので、人々はいちいち描いた魔法陣に魔力を込めるより、自分で即座に使ったほうが良いとの理由で魔法を覚えるという。
描いた魔法陣もトイレや照明に使うなら便利だけどな。
「ねえ、にい。お腹すいた。」
夕食がまだだった。というか神も腹が減るんだな。
マイラは、俺が付いて良いと言ってから俺のことをにいと呼ぶようになり、何かなついた。
それでいいのか?と聞いたら「にいはにいだから。」と返事をもらった。切り替えの早い子なんだろう。
「そうだな。ジョイにはここでメイドに頼んでもいいって言われたけど…。一度街に行って見たいから外で食べよう。」
昼は走って通ったのでよく見てなかったが、キノスラの街には活気に溢れていた。
これぞ異世界!みたいなものを感じたので、早く行ってみたい。
「それに、今の俺には主人公補正がある!対人の会話でキョドることもアガることもないからな!逆らうものは皆ごろ」
「にい、それなんだけどさ…そのスキルの効果切っといた方がいいと思うよ?」
途中で遮られた。てか何だって?英雄威風を?
「理由をお聞かせ願おう。」
「えっと、英雄威風は、使う人が相手を意識して会話とかをすると勝手に何かしら圧をかけちゃうみたいなの。この国の王とあのおじさんは耐えてたけど、メイドの人とかは怖がってたよ。」
英雄なのに怖がらせてたのか。
「何かしらってことはいろいろあるのか?」
「うん。英雄っぽく尊敬の目で見られたかったらそう意識するんだって。でも考えなしに発動させてると大抵ろくなことにならないから使わないって前のにいも言ってたよ。」
そうか。俺は面倒は避けたい。能力管理でオフにはできるが…これを切ると俺は多分会話がおぼつかなくなる。マイラやジョイとは普通に話せそうだが…。
いや、俺が慣れればいいんだ。切ろう。マイラもいるし大丈夫だろう。
そう考え、俺はマイラと街へ夕食を食べに出掛けた。
陰キャモードで。
知ってる人とはよく喋れるそうです。




