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ただ、君だけをみつめて  作者: 新木 そら
75/136

75話  2人の写真


 バイクで去って行く片瀬の後ろ姿が見えなくなってから、遥は家に入って行った。


『さぁ、洗濯して、布団干して、昼迄に晩ご飯の下ごしらえしよ』


 あたふたしながらも、どうにかこうにか昼迄に用事を全部終わらせ、ひと息つこうと洋室にあるソファに腰を下ろした。


 ふぅ~、前もってどこに何があるのか聞いとけば良かったなぁ。でもこれで、大体何が何処にあるかもう分かったし。明日から大丈夫。さ~て、卒業制作展の為に幾つか下書きしとこ。


 そう思った遥は、邪魔にならない様に部屋の隅っこに置いてあった鞄の中から、スケッチブックを取りに行こうとした。途中、換気の為に開けてあった押し入れに気付き扉を閉め様とした時、アルバムが入った封をしていないダンボールが目に止まった。

 

 あっ、そうだ。片瀬さんの子供の頃の写真が仕舞ってあるんだっけ。


 しゃがんで両膝をついた遥は、ダンボールの中から古びたアルバムを3冊取り出した。


 ページをめくると、赤ちゃん用の浴槽に、無垢な瞳でおしゃぶりをしているまん丸とした赤ちゃんが写っていた。


 わぁ~、可愛い~。


 何枚かページをめくってみる。

 3歳、七五三、神社の境内の前で金太郎飴

 5歳、初詣の屋台で、ホットドック

 6歳、高速道路のパーキングで、ソフトクリーム

 7歳、旅館で、バイキング


 はははは、片瀬さん食べてばっかり。中学生や高校生のは殆んどないのね。反抗期だったのかしら。他には・・・。

 

 遥は、ダンボール箱の中を覗いて見ると、ポケットアルバムが何冊か入っていた。

 取り出してみると、~2人の足あと~と表紙に黒のマジックで書かれていた。

 

 この字は・・・。

 

 表紙をめくると、片瀬と女の人と並んで写っている写真だった。


 若しかして、麻衣さん!?


 最初の写真の下には、~大学の廊下にて、私から悠に初めて声を掛ける~と書いてあった。

 その他の写真にも、同じようにその時のコメントが書かれている。

 ~春、大学構内での桜の木の下。歩いている人を私が急に声を掛けて写真を撮ってもらった~

 ~夏、初めてのドライブ、海へ~

 

 そこには、穏やかそうな海に裸足で足首まで入り、水に濡れない様にロングスカートの裾を右手で膝まで上げ、肩の辺りまで伸びている髪の毛を左手で押さえながら前屈みになって、海の中を見ている写真が写っていた。


 綺麗な人・・・。


 ~秋、紅葉にて~

 ~冬、温泉旅行にて~

 そして最後の写真は、~夏、7月2日、飛行場にてプロポーズされ、OKを出した場所~

 

 2人一緒に並んで写っている写真。片瀬さんも麻衣さんも、凄く幸せそうな笑顔・・・。


 ふと、遥は、部屋の壁に吊るされたコルクボードに目を向けた。そこには以前、向日葵畑やバーベキュー、そして、吹きガラスの工房で撮ってもらった写真が何枚か貼られていた。


 2人っきりで写っている写真って、コップが完成した時に相原さんが写してくれた写真だけ。あの時は、皆の前ってのもあったから、何だか恥ずかしくて無理して微笑んでた顔だったなぁ。2人っきりの写真かぁ・・・。


 それから遥は、もう1度、幸せそうに笑っている片瀬と麻衣との最後の写真を静かに見つめていた。
















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