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ただ、君だけをみつめて  作者: 新木 そら
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34話  1泊2日旅行(22)~2度目のキス~

 ガラス工芸館を後にした僕達は、住み慣れた町に向かう事にした。

 長谷川さんと相原を最寄りの駅で降ろし、次に高野さんを家まで送り届けてから、最後に遥の家を目指した。


「ふぅ~、やっと着いたぁ」


 遥の家の近くで車を止めた時には、既に17時前になっていた。


 遥はスマホに言葉を入力して。

『ずっと運転していると疲れますよね』


「ちょっとね。でも一時はどうなる事かと思ったけど、たまにはこうやって何人かで和気あいあいと1日過ごすっていうのも楽しいもんだね」


「うん」と、遥は頷いた。


「最初は、どうなるかと思ったけどね」

 わざと恨めしそうな顔で、遥の方を覗いて見る。


 遥は肩をすくめて、苦笑いしながら『隠していて、どうもすみませんでした(笑)』

 そう言った後、僕達は笑いあった。


 それから僕は、運転席の背もたれの部分を倒して、一息つこうと「う~ん」と背筋を伸ばした。


 このままだと、寝てしまいそうになるなぁ。

 大きな欠伸をしてから、シートの背もたれをもとに戻す。


「それじゃあ、そろそろ帰ろうかな」


『あの~、片瀬さん』

 

 少し顔を傾けて、僕は「うん?」と返事をした。


『あの~、確か明日も仕事、お休みでしたよね?』


「うん、明日は午前中、洗濯とか部屋の掃除でもして、昼からはちょっとゆっくりしようかなって考えてたんだけど、遥は大学だろ?」

 

 僕がそう聞くと、少し沈んだ表情になったが、直ぐまたいつものに遥に戻った。


「どうかしたの?」


 うううん、と彼女は頭を振る。


『昨日と今日が何だか楽し過ぎて・・・』


 無理に笑顔を見せようとする遥を見て、僕は彼女に話し掛けた。


「ねぇ、覚えてる?今度、この車でドライブに行こうって言ったの?」


 顔を上げた彼女は、「うん」と頷いた。


「またメールするから、いくとこ決めよ」


 今度は、笑顔で「はい」と頷いた。


「じゃあ、お互い宿題と言う事で」と僕は言ってから右手を出し、遥と約束の握手を交わした」


 夏の日の太陽が街の中に沈みかけ様とした時、僕達は車の中で、2度目の軽いキスをした。


 車から降りた遥に、僕は、「おやすみ」とそう言って車を静かに動かし、ルームミラーに映る手を振る彼女を見ながら僕は家路に向かった。



    ****************


 

 それから1週間後、遥の家にピンポーンと呼び鈴の音が鳴り響いた。


「すみませ~ん、宅急便で~す」


 朝の9時過ぎに荷物が届くなんて誰だろう、と対応に出た遥は送り主を確かめる。

 

 あっ、片瀬さんだ。


 急いで家に戻り箱を開けて見た。そこには、スカイブルーの空の様に綺麗な色のコップと封書が中に入っていた。封書を開けて見ると、1通の紙が入っていて、遥はそれに目を通してみた。


「コップが完成しました。コップの縁が太かったり細かったりしておかしい所あるけど、それでもジョンがそこまで綺麗にしてくれた方だね。

で、遅くにはなったけど、これを誕生日プレゼントとして贈ります。もし良かったら使って下さい。

それと、車の保険変更しました。いつでもドライブ出来るから。宿題よろしく」


 封書にはもう1枚の写真が入っていた。

 コップが完成した時に、相原が撮影してくれた2人で並んだ時の写真がそこに映っていた。


 それと同じ頃、僕の家にも小包が届いた。


 え~と、送り主は、遥だ。

 

 箱を開けて見ると、向日葵色の黄色い綺麗なコップと、そしてもう1枚手紙が入っていた。


「片瀬さん、出来はどうか分かりませんが、もし良かったら使って下さい」


 遥、同じ事書いてる。と思い何だか笑いが込み上げてきた。


「それから、これからも宜しくお願いします。遥より」


 僕は、めいいっぱい背伸びをしてから、心の中で遥に話し掛けた。


 こちらこそ、宜しく・・・。











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