32話 1泊2日旅行(20)~ガラス工房編(2)~
駐車場で相原は、ガラス工芸館の吹きガラス体験の空きが今日あるか電話で問い合わして見た所、昼過ぎに2名だけであれば出来ると言う話しだったので、すぐさま空いている時間に2名分の予約を入れてしまった。その為僕達は、ログハウスの施設を後にして、一路ガラス工芸館を目指す事になった。
遥に手作りのコップ渡したらって言うけど、絶対上手い事出来ないよなぁ。
そんな不格好なコップ渡されても嬉しいのかなぁ。
相原の言葉に半信半疑になった僕は、信号待ちの時に直接、遥に聞いてみる事にした。
「ねぇ、遥」
助手席に座っている遥は、『うん?』と顔を傾げた。
「7月7日、誕生日だっただろ。何か欲しい物でもある?誕生日プレゼント」
遥は、『う~ん!?』と少し考えた仕草をしてから、スマホに文字を入力し、それを僕に見せてくれた。
『別に物と言うよりも、ここに連れて行ってくれた時間が何よりも大切なプレゼントです。だってこうして、片瀬さんといられる事になったんですから』
それを読んでから遥の方を振り向くと、彼女は、笑顔で頷いてくれた。
遥のそう思う気持ちが嬉しいよなぁ。
お互い目が合って微笑むと、僕の座席の背もたれから、ドンと鈍い感触を感じたので、運転席の後ろに座っている相原の方を振り向いた。
「何だよ」と僕がそう言うと、相原は「信号~」と少し不機嫌な顔をして一言言った。
ほんと、女心が分かってないなぁ。と相原は頭を振った。




