とある殺人鬼の恋
とあるところに殺人鬼の男がいましたとさ、ある日とある女の子をナイフ突き立て殺しました。
でも、あら不思議、生き返ってしまうのでした。彼女は不死身の少女。男は女を殺して殺して殺します。
『グサリ』
@「う…」
『男が女に刃物を刺し、女は倒れた』
:「悪いな嬢ちゃん、お前に別に恨みはねぇ。ただ殺したいから殺した、それだけだ」
『男は立ち去る』
『女は起き上がる』
@「ええ、いいですよ。別に私、死にませんから」
『男は振り返る』
『女はにっこりと笑っているのだった』
@「あなたですね。この界隈での連続殺人鬼というのは」
:「そうだ。嬢ちゃんそれを知って尚俺に近づき、まだ逃げず、話しかけているっていうのかい
い?」
@「そうですよ。あなたにお願いがあります」
『男は女の元に走り出し、刃物で何度も何度も滅多刺しにする』
:「ふ、さっきは刺し方が甘かったんだろ。これだけ刺しとけば」
@「だから言ったでしょう?私は死にません」
:「お前は化け物か?」
@「失礼な。ただ不死身なだけです」
:「不死身?」
@「ええ。それであなたにお願いです。私を殺してください。あなたも人を殺したい、私は殺されたい。どうですwinwinでしょう?」
『男、笑う』
:「winwinだ。だけれど、分かったお前を本気で殺してやろう」
@「ありがとう」
『場転』
@「ここは?」
:「ここに座れ」
@「はい」
:「今からお前を拘束し、腹を裂き、盲腸を全てだしリボン結びでもしてやる。それも死なねぇなら頭蓋骨にネジで横に二つに割り、ドリルでテメェの脳をシェイクしてやるよ」
@「なるほど、それはしにそうだ。ワクワク。ワクワク」
『時間経過』
@「あれ。どうしました、早く私を殺してくださいよ」
:「あぁ、目覚めたか。たく全て試した。けれど死なないんだなお前は」
@「ハハ、また…死ねなかったんですね」
:「お前なんで、死にたいんだ」
@「罰に。まぁこの前旅行があったんですね。それで、バスがまさかの転落してしまいまして。私のクラスメイトはあえなく死に絶えました」
:「そうか。まぁ俺も似た様な体験あるよ」
@「それで、私が不死身だと発覚したと同時に、死んでみたくなったのです。好奇心ってやつですね」
:「友達がいなくなった末の寂しさでとかじゃないんだ?」
@「悲しい?ま、悲しかったですよ。数日はね。でもそれに勝るレベルで死ねない事の方がおどきました」
:「それで?」
@「いろいろ試しました。電車に轢かれてみたり、山からダイビングしてみたり。でも死ねなかった」
:「そうか、残念だな」
@「だから私はあなたを新聞記事でみた時は少し喜びさえ覚えました」
:「なぜ?」
@「殺してくれる可能性があるじゃないですか?それに生き返るだけで、何度も生き返るは限らない。死に続ければいつしか本当に死ねるかもしれませんしね」
:「分かった」
『次の日』
@「今日は何するんですか?」
:「今日?君の筋繊維を剥ごうと思ってね」
@「ありがとう」
『次の日』
@「今日は?」
:「今日は君の血液を全て抜いてあげるよ」
@「ありがとう」
『次の日』
@「今日は?」
:「君の骨をすり潰して、粉々にしてあげる」
@「ありがとう」
『次の日』
@「今日は?」
:「今まで、やってきた筋繊維を剥いで、血液を抜き、骨をすり潰し、臓物を取り、脳をミキサーにかけ、そしてそれらを密閉し、鍵が掛けて、それぞれを単体に保管してみようと思う」
@「なるほど、それでも、死にはしなないとは思いますが、ありがとうございます」
:「あぁ、楽しみだ」
『次の日』
:「彼女はもう生き返ることはなかった。とはいってもそれぞれの部位はちゃんと生きているが」
:「代わりに誰かを殺さなくては…」
『次の日もその次の日も生き返ることはなかった』
:「彼女は生き返らない」
:「誰か…別の…彼女のような存在は…」
『次の日から彼は殺人をしなくなった』
『次の日もその次の日もずっと彼はそれぞれの保存した部位を顕微鏡で見る様になった』
『次の日、彼は働くようになった』
:「こんなお天道の下で生活する日が来るとは」
:「なぁ、君はどんな気分だい?」
『それぞれの部位に語りかける男』
:「まぁ、いずれ捕まる日が来るだろうが…」
:「この世はなんとつまらないのだろうね?」
『彼女は何も喋らない』
『何年も何年も彼は大切に彼女を保存し、ある時彼女の密封を解き、それぞれの部位を寄せ集めることにした』
:「なぁ、どんな気分だい?」
『彼女は生き返らない』
:「お願いだから、もう一度僕にありがとうといってくれ、もう一度笑ってくれ、君の生き返る姿を見せてくれ」
『次の日彼は自殺をした。彼女の上で』
後味の悪さ、ホラー描写。
骨太の構成。
キャラクタはあながちありがちな奴ら、弱いですね。成長の甲斐があります。