花の魔人の苦悩
<キューリアム王国>
王国の主、いや今となっては主の忠実な下僕である王代理←ここ重要!
・・・・となったダングラム8世
その王代理であるダングラム8世は今日も苦悩していた。
その原因は目の前にある黄金でメッキされた防具一式等にある。
無論メッキといえば聞こえは悪いが、普通の防具に多くの金箔を貼り付けいくら表面だけの金
とはいえ価値はそこそこある品だ。
無論、こんな悪趣味な防具 突然にょっきりと机から生えてきたわけでない
無論外から持ち込まれた物。
しかも持ち込んだのが砂の魔人であり、送り先があの未来の魔人いうのだから余計に対処に困る。
無論ダングラム8世と一緒にアルバートも頭を抱えていた。
「王代理よこれはいったいどういうことなんでしょうか?」
「…王代理って・・・まぁ事実だが、まぁ・・・そうなんじゃが(泣)」
「その部分は受け入れましょう、その覚悟がないと今後やって行けません」
「・・・むむ、そうじゃな、まぁ確かにそうなんじゃが・・・」
「それよりの手紙ですよ」
「・・・それよりもって・・・( ノД`)シクシク…)
そう、防具もそうだが同時に届けられた手紙が問題であった。
実は手紙、部屋に落ちていたのである。
簡潔にいうと
(無の魔人倒しました、結果砂の魔人が仲間になりました。なので協力は暫く大丈夫!! ごめんね(๑´ڡ`๑)) By未来の魔人
というものであった。
「うむ、手紙の内容は理解できる、でなんで黄金の防具が手土産なのじゃ?」
「それは私も・・・一瞬黄金の魔人を倒したと聞きましたが、何せメッキですし。なんの意味があるんでしょう?」
2人は頭に?マークを浮かべるが、分からないものは分からない!
「しかも、あの砂の魔人の、どうも話が通じぬ」
「えぇ本当に、一応研究では砂だけにさらっとした性格で、また熱血気質であるとおりますが聞いてはいますが、それ以上にお頭が宜しくないように感じます」
「じゃの」
「・・・・はい」
「うむ、親分? である未来の魔人が無の魔人を倒した事を自慢そうにしていたので、とりあえず褒めちぎっておいたが、なんか急に(それなら花の魔人も兄貴にやってもらおう)とか言い出すし」
「えぇあれは本当に意味が分かりませんです。どういう意味なんでしょうか?」
「そちが分からぬなら ワシが分かるはずもないではないか」
「ですもんね代理」
「貴様 代理 代理としつこいぞお主!」
「こうなったのはアンタの自業自得でしょうが!!」
2人は喧嘩を始めるが、周りの重臣はそんな2人の喧嘩を止めることなくため息をつくばかり
とりあえず本日はキューリアム王国は平和であった
<別の山の山頂付近>
西の山脈にそびえ立つ7つの連山。その山の1つに、その城は在った。
それは誰もが感嘆の声を上げるほどに美しい城。
だが、その城は美しいと言っても、大きな湖が存在する白亜の城というわけではなく、明美な風景があるわけでもない、単純な山の頂上に建てられた土の城だ。
そう、土・・・その城は石でも木でもなく土で出来ていた。何の変哲も無い普通の土。
しかし・・だからこそ、その城は美しく彩られた城に変貌を遂げている。
なぜならその城は様々な色彩、実に多くの花々で全身を飾られ、まるで花束のような城だからだ。
美しく咲き誇る花の城。それがその城の姿だ。
そんな花で飾られた城の中で、その城の主が 配下の魔族から報告を受ける
。
「ご主人様 砂の魔人から果たし状が参りました」
その魔族は執事服を着た美しい女性の上位魔族。非常に落ち着いた雰囲気の女性魔族だ。
「懲りない奴ね。もう何度目なの?」
その魔族の報告に呆れるように答えるのがこの城の主人、そしてこの城の魔族を束ねる存在、つまり魔人だ。
「4度目ですね」
「はぁ、面倒だわぁ。実にうっとうしわね」
深くため息をつく女性の魔人。
その魔人の髪は白く、蒼色の瞳をしていた。
年齢は20代前半ほど。そして、その魔人の周りに多くの花が魔人を称えるかのように美しく咲き乱れている。
それも当然と言えよう、その女性は花の魔人。
それら全ての花は魔人自らがその能力で咲かせていた。そんな花の美しさを持つ花の魔人。
そんな魔人に声をかけたのは彼女に使える執事魔族、名をキキョウという上位魔族だ
「ですね、いっそのこと城を放棄して 逃げ出しますか?」
「まさかぁ 冗談ポイよぉ」
この辺りは十分に理解しているらしく、花の魔人は手を振りつつ笑顔でキキョウの言葉に返事をする。
「ですね」
「いっその事 砂の魔人を殺してしまえば 楽なんだけど・・」
「はい、しかし相手は砂、それはかなり困難な道かと」
砂の魔人、その多様で汎用性のある多くの能力を持つ。
使い方次第では実にやっかいな相手である事はキキョウも自覚している。
しかもそれは攻撃よりも防御や逃亡に便利な能力が多く、花としても攻めあぐねているのが実態だ。
本人の性格とはある意味逆の能力が多いのは皮肉かもしれない。
「だよねぇ。あの魔人、けっこう身持ちが堅くやっかいなのよねぇ」
「身持ちって、恋愛じゃないですから」
「あら恋愛も、戦いも同じようなものよ」
「はぁ」
相変わらずの花の魔人の答えにキキョウは苦笑する。
「しかし 砂は面倒よねぇ。馬鹿だけど、強いし。でも馬鹿だから読みやすい」
「はい、戦闘そものは単純なので、楽なんですけどね」
「まぁ確かにね アイツは単純正面戦闘馬鹿だから本当に次の手が読みやすいのよ」
「はい、しかし・・あの能力を防御に使われてしまうと・・」
「そうなのよ。アイツ本当に逃げ足だけは早い」
「ただ、今回の手紙を見ると何やら様子が変ですが」
「ん? 奴が変なのは今に始まった事じゃないわ」
「それは そうですが・・・いや、どうやら加勢をつけた様子です」
「えっ? 加勢 誰なの?」
今まではあり得ない状態に 花の魔人の頭に疑問が浮かぶ。
奴は正々堂々を好む、こちらが1人なら向こうも1人だと考える魔人だ。なのに加勢というのは奴の性格にそぐわない。
「それがよく分からないのです」
「どういうこと? 手紙を見せて頂戴」
「はい、こちらになります」
その手紙はたった一文、一行だけの手紙。しかし実に砂らしい単純明快な内容だった。その内容は・・・
前回は負けたけど今回はそうもいかん、。今度は俺に変わって兄貴がその勝負受けて立つ。
それだけだった。
「兄貴?・・・・だれ?」
兄貴と言われても全く心当たりが浮かばない。氷? 鋼?
「さぁ 私にはさっぱり」
「なんか変ね、偵察蜂を飛ばし 情報収集しなきゃあね」
「やはり気になりますか?」
「無論よ。砂の奴でもまぁ良かったんだけど、アレは頭がねぇ。 でも実力はあるし正直迷ってたのよねぇ。でも自分より弱い男をカレシっのはねぇ」
「・・・一体なんの話ですか?」
花の魔人はその性格上 恋愛という感情が強い。それは魔人の宿命みたいなものだ。花というのは植物の繁殖の為の存在。
従って花の魔人ともなればどうしても恋愛感情が強くなる。
魔人自体 生殖行為が必要でないにも関わらず、花の化身の魔人である以上どうしてもその感情は強く存在してしまう。
それを分かってるからこそキキョウもそれを強く否定する事ができない。
「兄貴って事だから 性別は男に決まっているでしょ。しかも砂の奴より上!
今度こそ運命の旦那なのかもしれないじゃない。チェックするのは当然よ」
「まぁ お気持ちは分かりますが、しかしご主人様は理想が高うございますから」
「そう? そんなでもないわよ。そこそこの色男で、個性があって、頭が切れて、冷酷で、しかも私より強い男がいいわぁ」
「だから高いのですよ。噂に名高い花の魔人である貴方様より強いなど かなり限定されるのでは?」
「でも、そーゆー男じゃないとねぇ ここまで待ったんだから理想は高くないと」
「いっそ北の極炎の魔人とかどうですか? 顔もそこそこ、強く、頭も切れますが?」
「貴方・・私の話を聞いてる? 私は”男”といったのよ。極炎の魔人確かに条件に合うかもしれないけど、アレ性別が存在しない精霊系の魔人じゃない」
「ですが、ほかに」
「いえ、今度の砂に兄貴と呼ばせる存在 気になるじゃない」
「ですが、その兄貴とやら『無』や『黄金』、『鏡』『牙』『鋼』あたりの魔人かも知れませんが」
「大馬鹿と雑魚、それにナルシスト、獣、そしてジジイに興味はないわ。まぁ鋼のジジイがあと40才程若気りゃやばかったけどね」
「はぁ・・・」
「まぁいいわ、お眼鏡にかなわないからそのまま叩きき潰すまで。
正直、魔人っってのは力を過信した馬鹿が多いからね。正面からくるなら私の敵じゃないわ」
「それはもう十分に」
「では 急ぎ偵察蜂を各方面に飛ばして情報収集を」
さて、花の魔人が部下から砂の魔人の手紙を受け取った少し前
ここ未来の魔人の城 つまり我が家『命名:ポチの家』では・・・今日も今日とて、様々な悩みで苦悩の日々をを送っております。
まぁ見た目としては、自分・・・城の玉座に偉そうにふんぞり返っているだけなんですけどね。
でも、内心はどこか此処ではない何処か見知らぬ彼方へ思いを馳せている最中なんです。
はぁ、遠くに逃げたい。海がいいかなぁ それとも湖がいいんだろうか?
ってな感じです。
でもそれは不可能に近いんです。まず逃げれません
でも、逃げるなら何処がいいんだろう。まぁ無理だろうけど・・・。
出来れば追っ手の来ない場所がいいなぁ、まぁ無理だろうけど・・・。
うん、現実逃避です。
でもそうでもしないと自分の精神は持ちません。一時の安らぎ、そして希望が欲しいのですよ!
相変わらずの日々、いつになったら心休まる日は来るのでしょうか?
無の魔人との抗争・・・あの時は自分の死を覚悟しました。
が、結局 すこし自分の苦悩の時間が伸びただけだったようです。
なんでしょうね、この次々に降りかかる災難は?
ハーレムは惜しいけど、今はそんな事考える暇はございません。
何としても花の魔人との戦闘を回避しなくてはなりません!
多分 無理だろうけど・・・うん。
砂と無の次は花ですか?
なんか呪われてません?
今頃、時の魔人は腹抱えて笑ってんだろうな。
もう、なんか疲れたよ。
なにか何もかも放り出して逃げたい、でも多分逃げられないだろうなぁ
なに、この何なんでしょうねぇ、この自分の詰んでる人生は!
「どうしたんです兄貴? 花を叩く算段でもつきました?」
砂の魔人であるスプームの声に意識は現実に戻される。
そう・・・ここは自分の城、自分は大勢の魔族と砂の魔人を従えるこの地方の強者の1人、魔人なのだ(建前はね)
しかし実際は唯の人間。
こうして今日も、玉座において現実逃避しながらも、毎回スプームの一言で直ぐに現実に戻されるわけです。
どうしてこうなったの?
何なんでしょうね? 自分は現実逃避する時間も頂けないのでしょうか?
これなら奴隷時代の方が精神的に楽です。
見た目は城の玉座とやらに座ってますけど、こんな辛いもんなの? 玉座って・・。
そして側に居て離れない砂の魔人であるスプーム君のプレッシャーも辛いんです。
いいなぁ馬鹿は、悩みがなさそうで・・・
自分を花の魔人と戦うようにけしかけておいて、お前は・・・あれ?
自分と花が戦うとして、スプーム君は? 何してんの? お留守番?
あれ?
「さぁ兄貴、ちゃちゃっと花の魔人をやっちゃってください」
「・・・・・・・・お前・・・・・来ないの?」
ここで、先ほどから抱いていた疑問をスプームにぶつける。
もしかして、自分を戦わせておいてお留守番を決め込むとは・・・実に不届きな奴である。
「えっ なんで?」
「なんでって・・・なぜお前の城の奪還に 自分が出ないといけないの?」
「いや、どーせ兄貴は未来の力があるんだし」
「でも未来を決定しても、相手が直ぐ死ぬわけじゃないし、その間に護衛はいるでしょ」
「あぁ そうでしたね兄貴 すいやせん」
「うん、分かればいいのよ分かれば・・・では2人でいこか?」
本当に、こんな面倒をもってきやがって。出来ればコイツも道連れにしてやる!
「それは卑怯ってもんです、正義の名の下に正々堂々と一対一で対峙すべきかと」
「・・・・」
お前がこの戦いをけしかけて放置っすか?
そーすか 卑怯っすか・・・何だろな、この腹立たしさは。
ホントコイツが魔人じゃなかったらぶん殴ってやるとこなのに!
「さぁ兄貴」
「で、肝心のお前はどーすんの?」
「うーん、とりあえず宣戦布告は済みましたし、後は兄貴の晴れ舞台の戦いの日時を決めるべきですかね。大丈夫俺はしっかり兄貴の応援させて頂きます。」
「・・・・・」
既に戦闘決定なんだ・・・ そして肝心のお前は観戦か?
本当に腹立つなコイツ。
「とりあえず、近日で適当な日を決闘の日時にしましょうか?」
「・・うん 出来れば準備もあるし、少し、いや、出来れば、なるべく先の日がいいなぁ」
「了解しました じゃ明日あたりにましょうか、」
「いや、できれば・・・」
「よし、早速 花のとこに行ってきます」
話し聞かないのね・・・相変わらずコイツは・・ってもう行きやがった
相変わらず・・・うん もうどうしようもないね
うん・・詰んだね。
しかしどうしよ
砂の居ない 今のうちに逃げちゃう?
でも逃げれるの?
どーしましょ?
ポチが城の中でスプームと不毛な会話をしていた頃
花の魔人の城では、配下の魔族や、偵察蜂からの情報が続々と集められていた。それをキキョウ達配下の魔族が情報を整理し、主の元に報告をする。
続々集まる情報に花の魔人は満足な笑みを浮かべた。
「で、どうなの兄貴のとやらの正体は・・・そろそろ分かった?」
その情報を確認すべく花の魔人がキキョウに声をかける。
「どうやら砂の魔人が言う『兄貴』とやらは ここ最近魔人となった新人のようですね」
「新人?」
確かに予想外ではあるが、しかし納得できる答えだ。
それならば自分の知らない魔人奴が兄貴と呼んでもなんら不思議な事は無い。
「他の魔族からの情報ですと どうやら転生を果たした未来の魔人のようで」
「えっ?未来。復活してたの?。あいつ転生直後で すぐ私と戦うつもりなの?」
「どうやらその様子ですね」
キキョウは答える。
「でもあいつの能力じゃ 精々刺し違えるくらいでしょ? あいつは未来視以外は能力なーんもないんだから」
「いえ、だから砂の魔人と組んだのでは」
「あーー 確かに砂人形に 砂城などで砂の魔人が防御すれば・・・確かにね」
「そうなると実にやっかいな事になりますね」
「・・・うん、実にやばいわ」
「はい」
「そもそも、なんで砂に未来が協力するのかしら?」
「それに関してはまだ情報収集中です。肝心の情報が錯綜していまして、真実が今一把握しきれてません」
「ん、となると無難に援軍を引き込むのが1番ね。例えば無の魔人をこっちの陣営に引き入れるとか」
「いえ実は残念ながら無の魔人は先日死亡が確認されました」
花の魔人の考えに対しキキョウが残念な知らせを告げる。
「えっ? 嘘」
その予想外の答えに暫し、花の魔人は固まってしまう。
「先日 無の魔人は砂の魔人を加勢につけ攻撃をしかけました。
だが、未来の魔人の返り討ちに遭いまして・・・無の魔人の死亡が確認されました」
「はぁ・・・なんでそれで無が負けるのよ。能力無効化できるんでしょ。さらになんで攻撃した砂が相手に寝返ってるのよ」
「さぁそれは私にはさっぱり。それに未確認ながら黄金の魔人など多くの魔人が組んで未来に対抗したようで・・・」
「なんで、それで未来が勝てるの? 意味わかんないなんだけど」
いったいどのような状況なの?まったく分からない
確かに未来の魔人の能力は強大で、対抗は難しい。
だが未来の能力は魔人相手ではタイマン専用でしかない。複数の魔人で挑めば攻略はしやすい。
複数の魔人の死を未来の魔人が予想するのは可能だ。しかし、それでは能力が分散し、確定した未来の確定は困難になる。ゆえに1人しか死の未来を決定できない。
だが複数でかかったとしても、その魔人の誰かには確実な死が待っている以上、安易に攻撃もできない。誰もその1人になるのはイヤなのだ。
だが、今回は能力無効化の能力を持つ無の魔人も居たのだ。
さらに、今回は砂の魔人や、いや黄金の魔人など複数の魔人も居たというのでないか! それで未来の魔人が勝つ要素が全く見当たらない。
いったいどのようにして対抗したのだ?
戦いの内容が全く予想できない。
「ですよね。自分も情報を集めれば集めるほど訳分からなくなってきました」
「なるほど、今度の未来はそれほどの強敵、強い男って事ね。俄然興味がでてきたわ」
「どうします そんな魔人相手では少々マズイのでは?」
「ん~どうしよ? 正面から戦いを挑むのは私の流儀じゃないし でも戦わず逃げてはプライドが許さないし・・・。よし、私も偵察にいくわ」
「えっ 主自らですか?」
「えぇ 奴の城の近くにも花が生えているでしょ。そこに意識を移して外から見るだけだけら危険はないわ。それにこんな状況だもの、少しでも情報を集めないとね」
「かしこまりました。しかし、その能力いくつかの制限も多数ありますし、お気おつけて。特に今回の未来の魔人、得体がしれません」
「わかったわよ。注意するわよ」
さて 久しぶりに転移し、未来の彼の顔を拝むとしますか!
戦いの高揚感と同時に、まだ知らぬ恋の予感につい未来の魔人の頬は緩むのであった。




