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否定を否定しよう  作者: ライカンサモン
序章 魔王編
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闘争?のんのん、逃走

『いやぁ、喋れないって思っていたよりシビアでしたね〜、ホントそこのところ教えておいて欲しかったですよ。でもこの手さぐり感は楽しいかも?と自分は思っているかもしれないのかも違うのかもと自分で言ってて分からなくなってきました。にはは、それにしてもそこの黒髪さんには感謝感激カカンシャ感謝ですよ〜。沢山の獲物(ゴハン)、ご馳走さまでした。いや〜お腹減っている時に吸収の良さそうなものばかりで…やっぱりああいうのはとても手間の掛かるんですかね?お高いですか?自分あまりお金持ってないので払え言われても無理なんですが…あの、聞こえてますか?おーい!むむむむ、反応がない、ただの黒髪さんですね。おや?そちらに居るのは先程の銀髪さんとすごく優しいオニーサンではないですか?いやはやどーもさっきぶりです。助けて貰ったのに御礼が言えず申し訳ありません。遅ればせながらこの私めを助けていただき、ありがとうございます。とある事情がありといいつつあまりの空腹に口も利けなくなっていたのです。お粥とても美味しかったです。銀髪さん、看病されてた時の事は怒ってないので大丈夫です。はい、ところでオニーサン、自分結局かるま?というの知らないので教えていただけませんか?あ、後寝ていた時に聞こえてきたのですけどカモシカ居たのですか?私、カモシカ見たことないですから見てみたいですって言ってて思いましたけどなんだか皆さん大集合ですね〜。パーティーっすか?』

首を傾げる人形は天然モノ。


04.「闘争」

狂気的な行動をしていた小さなバケモノから人形へと姿を変えて人の言語を語り出したバケモノからは先程の不快な感覚が消え失せていた。

そして私とヴァンにお礼しているということはこのバケモノは少年なのだろうか?

ありえません。

狂獣(カルマ)となったモノは生物としての意識を完全に失います。

あのバケモノが少年を喰らったのだ。

少年の心を喰らってそれを吐き出しただけだ。

「ヴァン」

だから私は。

「ああ、分かってるよバカ姫…お前ら構えろ」

ヴァンが指示すると武装した部下達と町の警邏が各々武器を構える。

「犠牲となってしまった尊きものの為に、私たちは剣となりましょう」

「囚われし精神を解放する!」


猿は進化を遂げて粒子体から数段階上の結晶(エーテル)体へと至る。

そして彼がコトバを使った。

魔王様から話には聞いていた。

彼は魔王様がお探しされていた…。

捕らえねばならない。

だが駒が足りない。

邪魔(テキ)もいる。

だったら駒の強さで、速さで捕らえよう。

私は杖を取り出し背後の僕共にチカラを放つ。

私のチカラは僕共に取り付くと体表を食い破り内部へと至ると僕共を変容させる。

私が望む形へと。

サァ、始めようか、戦争を!


『あるぇ?皆さんどうしました?怖そうなお顔をさり』ドォン、一発の銃声が鳴り響き人形の頭を撃ち抜き言葉をかき消す。

倒れこむ人形を中心に両陣営が走り出す。

『ヒィ、イキナリ私の頭が無くなった⁉︎何処何処なん?ふにゅふにゅ…無い!』

人形は倒れる前に足を引いてバランスをとると自分の頭があった場所を掴もうとしているが両の手は空を掴むだけだ。

『どうしよう前見えないから新しく生やそうか』

そう言うと首元が液状になり盛り上がり頭大になると凝縮し、『歪な頭の完成〜どんどんパフパフ〜!て、皆さんが凄い怖い顔で迫ってくるわい怖いよ〜痛い目に遭いそうあらやだ怖いと言っている暇があるなら逃げろバカ!』

『逃げるなら変えましょうね』


新04.「逃走」

私たちがぶつかり合う瞬間、人形は逃げた。

いや、もう人形ではなく犬となって誰もいない方向へと走り去った。

敵の幹部に強化された狂獣は強く、死傷者が数多く出てしまった。

幹部は人形が逃げたことを知ると後を追って行った。

私たちは狂獣を一匹残らず駆除した。

塵となり辺りを漂う狂獣のシタイ、本来ならこれが正しい。

私は塵舞い血に穢れるこの場所に立ち歌を捧げる。

癒し歌、私の務め。

犠牲者は僅か三名、少ないけれども尊きものが無くなった。

民間人に被害者はいなかった。

後にある子供の証言で狂獣による共食いが起きてそれで助かったと知り得た。

涙が伝うのは少年の為、シタイを遺されず喰われた少年を囚われから解放してあげられなかった。

私たちは無力だ。

抗う力も、癒す歌も、届かない。

泣きながら歌っていると不意に頭を撫でられた。

歌を歌いながら誰かと見ると、いつ見ても顔が怖いヴァンでした。

いつもの怖い仏頂面でわしゃわしゃ撫でてくれました。

「バカ姫、テメェのせいじゃねぇ、だから背負うな、そんなもん背負うのは大人の仕事だ」

あのヴァンが慰めているのですか?

これはとんだお笑いです。

凄い、似合いません。

けれど、ありがとうございます、ヴァン。

少しだけ、ほんの少しですけど元気になれました。


『ブヒィ、スンマセン食い逃げスンマセンまじお金私持ってないだけどもそんな怖いやつで追わないで〜』

(負け)犬となって逃げた人形もとい犬形は黒髪の少女に追い立てられていた。

「逃がさない、捕らえる」

『ブヒィ⁉︎』

少女は繰り返しそのことを呟き、少女が駆る汚れた黒の獅子の爪や顎が掠め、犬形を傷だらけにしていく。

犬形の走る速さは獅子より遅い。

『げもる‼︎』

遂に獅子の爪が直撃し腹を裂かれ木にぶつかる。

『ふにゅ〜』

目を回す犬形に獅子はゆっくりと近づく。

「捕らえたわ、彼を魔王様に差し出せば…フフ、魔王様にいっぱい褒めて貰えるわ」

少女は己の妄想に浸り油断していた。

犬形が先程の猿であると、己の駒が汚れた黒の獅子だけであったことを。

「サァ、喰え、お前の腹の中に入れて持ち帰るぞ」

少女の指示に獅子は従い顎を開き犬形を喰べ

ようとしたまま動きを止めた。

「?おい、どうした早くしろ!」

少女は叩いて先を促すが獅子は顎から上が半回転して赤い目が少女を見、あと半回転して落ちた。

「‼︎⁉︎」

何が起きたか、少女には知覚出来なかった。

目の前に突然突きつけられた白銀の剣、それは犬形の尾が延び剣と為している。

人は言う、黒い犬の尾も白い、黒い犬尾も白い、と。

『わー面白いなーと棒読みだ』

ドヤァ面白くはない、白、銀だし。

犬形は起き上がり少女を見る。

犬形は狂獣達とは違い赤い目がない。

黒い目で無言の犬形に少女は問うた。

「どうしたの、殺さないの?」

犬形は言った。『えー人を殺すと面倒なことばっかりだし後味悪いし寝付けないし気分悪くなるから殺さないよ。そっちのゴハンは持ってくけど』

そう言うと剣を戻す(剣が液状になり体内へ取り込まれた)犬形は獅子の切り離した頭を咥え歩き去った。

少女は一人、大きなシタイと共に置き去りにされた。


『ふひゅう、一難去ってまた一難だったなぁ、だいぶ歩いてきたけど町見えて来ましたね。辺りもう暗いな、遅くなってるけどやっと帰れるかな?っと忘れてた忘れてた。このままだとさっきみたいになるかもだし戻ろ』

犬形は硬質な体表をグニリと歪ませ、液状化する。

黒い液状体は犬形から人形へ、子供程の大きさに形をとる。

黒い液状体は収縮し小さくなっていくと中から人の頭や手足、胴から腹と一人の少年が出てきた。

「行こう」

異形の時の口数とは違いただ淡々としている。

少年は足を町へと運ぶ。

見失った家に帰る為に。

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