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一品目 グラタンコロッケバーガーはグラタン?

『グラタン』――


 それはオーブンなどで焼目をつける調理法である……。


 皆さんよくご存知のベシャメルソースにマカロニ。エビやチキン。

 じゃがいもをスライスし、牛乳、調味料を入れ、煮詰めた物。

 ちょっとオシャレなオニオングラタンスープ。

 世の中には様々な『グラタン』がある。


 但しグラタンコロッケバーガー、君の何処に焦げ目があるというのか?

 君はオーブンは使ったのかい?

 君はグラタンを名乗るべきではない。そう、有罪(ギルティ)じゃあないのかい?


 グラタンコロッケバーガーに対する疑念を抱かずにはいれなかった。


 ――その時である。グラタニスが(作者の脳内に)生まれたのは。


「私はグラタニス。私はあなたの手となり、足となり、剣となり、罪を断罪しよう。」


 透き通るオニオンスライスの様な髪。ベシャメルソースの様な白き鎧。マカロニの様な腕当て。チーズの焦げ目の様なちょっとダサい柄のマント。手には聖剣サラマンダー。


 ※焦げ目、焼き色をつけるサラマンダーという調理器具があるよ。聖剣サラマンダーは(主に罪人を)焦がすよ。


 おお……グラタニス。では早速グラタンコロッケバーガーを裁いてみせよ。


「御意。」


 そう答え、グラタニスは何処かへとワープした。


「後は任せたぞグラタニス……。私は退場するよ。」


 作者は全てをグラタニスに押し付ける事にした。


 ――――


 某飲食店


「今年もグラタンコロッケバーガーの季節だね。」


「うん。毎年楽しみにしてるんだ。」


 男女のカップルであろう。グラタンコロッケバーガーが二人とも大好きなようだ。


 彼らが入店しようと思った時、グラタニスは突如現れた。


「きゃ!」


「え?どこからか出てきた?」


 驚く二人を物ともせず、グラタニスは二人にスマホを見せつける。

 そう。催眠アプリだ。

 相手が不審者が現れた事を気にせず会話するためだ。

 けしてHな事に使うことは無い。


「単刀直入に聞こう。グラタンとは焦げ目が無くてはならない。それを踏まえて、グラタンコロッケバーガーはグラタンを名乗るべきでは無いと思うのだが。」


 グラタニスは考えを押し付ける前にちゃんと聞き取りをする。

 頭ごなしに否定するのは人として良くないと一応思っているからだ。


「え?グラタンってそういう意味なんだ。知らなかったね。」


「うん。でもうちらの知ってるグラタンってやっぱりマカロニ入ってて、エビとか鶏肉入ってるやつだよね。」


「グラタンコロッケバーガー食べたら、知ってるグラタンの味するから、別にいいんじゃないの?」


 なんという事だ!グラタンを否定する悪魔どもめ!

 ……いいだろう。全身全霊をもって、徹底的に叩き潰してやろうではないか!


 有罪になった暁には、聖剣サラマンダーで焦げ目を付けてやろう!


「焦げ目が無いグラタンはグラタンではないのだ!例えば……似たような味のクリームシチューにマカロニを入れ、上にチーズをかけ、焦げ目を付けずにとろけさせる。これを貴様らはグラタンと呼ぶのか?見た目チーズ乗せシチューの、味は貴様らの言うグラタンだぞ!」


 そう。焦げ目あってのグラタン。味ではない。調理法なのだ。


「うーん。それはどちらかというとシチューかなぁ?でも味はグラタンか……。」


「それならやっぱりチーズは焦げ目付いてないとだよね。あれが醍醐味だよね。」


「じゃあグラタンコロッケバーガーはグラタンじゃない……?」


「パン粉茶色いけど、焦げてるわけじゃないしねえ。それならグラタンとは呼べない……?」


 よし。子奴らは悪魔の呪いから解き放たれたようだ。光あれ!


「汝らに祝福を授け……」


「でもおじさんはオーブンで焦げ目付いてたら、何でもグラタンって言うの?」


「え?」


 何だ。何を言っている。


「ローストチキンとかさ、いやケーキ……そう!バスクチーズケーキとか焦げ目凄いけど、おじさんはバスクチーズケーキグラタンって言うの?」


「…………。」


 なんという事だ。脇汗が止まらない。

 盲点だった……。


 オーブンで焦げ目の付いたものをグラタンと言うのであれば、確かにバスクチーズケーキもバスクチーズケーキグラタンと言わなければならないはずだ。 


 だが言わない。確かにそこには焦げ目があるというのに。


 焦げ目が無い物はグラタンを名乗ってはいけないと押し付けるならば……。

 私はオーブンによる全ての焦げ目に、グラタンを付けて呼ばなければいけない。


 A(グラタン)B(焦げ目)である。

 と言う事は

 B(焦げ目)A(グラタン)である。


 しかし『バスクチーズケーキ』その焦げ目を、私はっ……グラタンと認めて……いないっ……。


「私の負けだ……。」


 膝を付き崩れ落ちるグラタニス。


「うっ……うぁぁあ゛あ゛ぁ……。」


 ああ、可哀想なグラタニス。泣き崩れながら、彼は霧のように消えていった。


「何だったんだろね?今の人。」


「ね。美味しくて何となく雰囲気がユーザーに伝われば、それでいいと思うんだけどな。」


 グラタニスは敗北した。


 しかしまた料理に関する争いとか、疑問とかそういうのが起きそうな所に彼は現れる。

 頑張れ!グラタニス!


 ――次回予告――


 どうも。グラタニスです。


 アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ。通称ペペロンチーノ。

 イタリア語でアーリオはニンニク、オーリオはオリーブオイル、ペペロンチーノは唐辛子を意味する。

 つまり!ペペロンチーノ注文時に、唐辛子抜きで注文する人は最早ペペロンチーノを食べていると言えるのだろうか……。


 そんな中、ペペロンチーノにこだわる人、ペペロンチーニスト(適当)には乳化過激派が多数存在する。


 だがグラタニスは乳化が全てとは思わないのだった。


 そんな乳化過激派にグラタニスはどう立ち向かうのか……。


 次回!グラタニス食戦記


 二食目 油ギトギトのペペロンチーノもいいじゃないか。


 食のこだわりはあんまり押し付けるなよ!

意見が合わなくてもいいじゃない。

好き嫌いがあってもいいじゃない。

否定はするけと認めるよ。

だって僕はあなたじゃないもの。

ただ、お互い世界が広がればいいと思うんだ。

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