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第九幕 全ての始まりと、そして、終わり

第九幕  全ての始まりと、そして、終わり

 

 湿った足音が聞こえるほど静まり返った穴倉を慎重に進む。いつ攻撃を受けてもいいように油断なく銃を構えたまま。

 しかし予想していたような迎撃はなく、ただ時折見かける電球が弱々しく明滅しているのみ。

 不気味に張り巡らされたケーブルはあちこちに伸び、ジーッと電気特有の音が聞こえる。

 時々に見える金属製の頑丈そうな扉は、古びてはいたが錆はあまり見られない。

 そして、そこここに書かれた天使の環と悪魔の尻尾のエンブレム。

 すべてが、ここが復讐の天使団の本拠地だということを示していた。

「おかしいな。静か過ぎる」

 カインは一流の狩人として幾多の死線を乗り越えてきた。長い経験から気配を察知したり、隠れた人間の息遣いを感じ取れたりするほどには感覚は研ぎ澄まされている。

 その彼でさえ何も感じられないほど、ここは静かだった。

「また捕まえ損ねたって事はないよね?」

 セミリオが押し殺した声で問う。カインはそれに首を横に振って返した。

「それはねえな。まだ電気は生きてるんだ。それに、奴らがここを捨てる理由なんかありゃしねえからな」

 いかにカインが腕利きとはいえ、大陸を股にかけその悪名を轟かせている天使団が本拠地を放置して逃げ出すはずもない。

 どこか奇妙な鼻をつく悪臭が漂ってきた。顔をしかめつつさらに進んでゆくと、大きな扉が二人の行く手をさえぎった。

 この扉を開けるか、後ろに戻るしか道は無い。

「罠、かな?」

「かもな。だが、どっちにしろ進むしかねえんだ。俺が開けるからお前さんはいつでも撃てるようにしとけ」

「了解。気をつけてね」

 両開きの扉の、片方にカインが手を掛けた。そしてセミリオに向かって頷くと、一気に開いた。

 中からは何もやって来なかった。しかし、その中の光景に、二人は息を呑んで足を止めた。

 そこは実験室のようだった。広く、無機質な白い部屋の中央に、巨大なコンピュータが鎮座しており、それから四方八方に無数のケーブルが伸び、岩肌の穴倉の中とは思えない光景を作り出していた。

 そして、そのケーブルの先にある物。

 壁際に整然と並ぶいくつもの円筒形の培養槽。その中には青みがかった液体と、肉片や人間のようなものが入っている。

 それらは身動ぎもせず、ただ液体にたゆたうのみ。

 液体に光が差し込み、ゆらぎもしないその中身がまばたきをしているように見えた。

 カインがようやく我に帰り、それに近づく。培養槽の下に付けられているプレートの文字を読み、彼は眉間にシワを寄せ、セミリオに手招きした。

『Bionoid type:Battle 欠陥品 No.29』

「見ろよ、リオ。こいつらがセラの兄弟ってわけだ」

 セミリオも近づき培養槽の中のバイオノイドを見た。すでに死亡してから長い時間が経っているようで、腐敗こそしていないものの、その肌は不気味な色に染まっている。

「ひどい……。こんな……。命を何だと思ってるの……?」

「何とも思ってないんだろ。見ろよ、他の入れ物を」

 カインはそう言って、周りに顔を向けた。

「人間になってねえ。No.29のこいつは人間になりかけたのに『欠陥品』って理由で殺されたんだろうな。下手すりゃセラもこうなってたって考えるとな……」

 セミリオは辺りに注意を払いながら、死者、いや、この世に生まれることすら叶わなかった者達に祈りを捧げた。

 顔を上げたセミリオの目には、それまでとはまた違う怒りが宿っていた。

 と、セミリオは唯一空になっている培養槽に気がついた。内部がすっかり乾燥したそれは寒々しさを感じさせる。

 それに付されていたプレートには、こう記されていた。

『Bionoid type:Battle 完成品 No.35 name:SERA』

 なぜか分からないが、セミリオの目に涙が浮かぶ。

「カイン……」

「ああ。……セラのもの、だな」

 天使団の道具として生み出され、ここを脱走し、追われ、疲労で倒れるほど逃げたセラ。彼女にとって、この世に生を受けたことは、幸せだったのだろうか。

「セラちゃん……。かわいそう、なのかな……」

 初めに会った時のセラのやつれようと、そして怯えた様子を思い出しセミリオがつぶやくと、カインは彼女の肩に軽く手を乗せ、言った。

「リオ、お前さん、ゾンビ・ヴィレッジでセラに言ったろ。『楽しく生きて笑うため』ってな。何が不幸で、何が幸せを決めるのは、産まれ方じゃない。産まれてから、どう生きるか、だ。セラはお前さんと会って、ノエラさんに娘として迎えられた時、幸せそうだった。それだけだ」

 母がセラを娘として迎えた時、彼女は抑えられない感情のまま泣きじゃくった。泣き疲れて眠り、しかしのその寝顔は幸せそうだった。翌朝会った時は、とても嬉しそうだった。

「……ありがとう、カイン。そうね、これから、だよね」

 彼女はカインに向かって頷いてみせると、再び前へ進み始めた。

 さらに進む。バイオノイド達の部屋を過ぎた時点から、通路は岩肌ではなく施設に相応しい物に変わっている。

 床は剥き出しの岩肌から金属へ変わり、冷たい音を響かせる。ひときわ明るくなった照明が周りを照らす。弱々しく点滅などせず、歩む者を惑わさないように照らしている。

 それから何度扉をくぐってきたか、しかし警戒は無意味に終わっていた。

 かなり奥まった場所にやってきた時、大きな扉が行く手を塞いでいた。それは今までの物に比べるとはるかに立派な作りであった。

 巨大な両開きの扉。銀色に輝く表面は、この岩肌の中にあって傷一つない。真っ白に輝く石材で施された装飾は、見る者の心を奪い、同時に底しれぬ恐怖を感じさせる。

 荘厳で、美しく、しかし恐ろしい。

 カインがセミリオを手で制し、自分だけ扉に近づく。扉にぴったりと身を寄せ、用心しながら耳をつける。

 と、カインの顔が変わった。身振りで、中に人が居ることをセミリオに告げる。セミリオも、緊張した面持ちで扉に近づいていった。

 セミリオが銃を握り直す。なぜかは分からないが、両手にじっとりと汗をかいていた。カインも片手に銃を握りしめセミリオに頷くと、最大限の警戒を払い、それでも思い切りよく扉を開いた。

 

 ――パチ、

 

 パチ、

 

 パチ、

 

 パチ。

 

 ゆっくりとした拍手が聞こえてきた。称賛の響きというよりは、高圧的な音が。

 

 その部屋は広く、高く、そして美しかった。

 巨大な柱がいくつも並び天井を支える様は、まるで神話の白骨化した巨人のようだった。天井は満点の星のように輝く石が埋め込まれており、その高さをより強調している。

 床は鈍い銀色に磨かれた金属であり、中央には漆黒の刺繍をあしらった純白の生地で織られた絨毯が広がっている。

 最奥は高くなっており、純白の座が据え置かれている。装飾は控えめながらも、それに座す人物を神のごとく高める存在感を放っている。

 そして、長身痩躯で白い法衣をまとった老人が座の前で手を打っている。

 豊かな銀髪。深く澄んだ銀色の目と、高く尖った鼻。引き締まり、強い意志を感じる唇。背筋はまっすぐに伸び、カインすら上回る長身。首には細い銀色の首飾り。そのどれもが、人を平伏させるほどの魅力を持っている。

 しかし外見よりも、その老人の持つ絶対的な雰囲気にセミリオはたじろいだ。

 銀色の視線はセミリオを捉え、まるで心臓を掴まれたように感じた。呼吸が浅くなり、我知らず胸に手が伸びる。

「ようこそ、我が復讐の天使団のエデンへ。歓迎しよう、カイン・ラステッド君、セミリオ・ジュノス君」

 老人は高みからゆっくりと降りてくると、両手を大げさな身振りで広げ、よく通る、低い魅力的な声で言った。

 視線は恐ろしく、しかしその声音はどこまでも慈愛に満ち。

 幼子を見守る親のような声を聞き、セミリオは脚から力が抜けるように感じた。

 セミリオとカインはとっさに銃を構え直し、老人に向かってポイントした。危険なものを感じた。物理的な危険などではない。精神を侵される危険を。

「焦る事は無い。銃を下ろしたまえ、二人共。君達とはゆっくりと話をしようと思っていたのだ。だから他の者は他所へ行かせ、迎撃などしなかった。だが、サウスまで来ることが出来たのは君達の実力だ、誇りに思っていい」

 老人の言葉にセミリオは反発を覚えた。しかしその温かいベールをまとった機械のような冷たい声音には有無を言わせない響きがあり、無意識に二人の銃口は老人から外れてしまった。

「わたし達を知ってるの……? あなたは、誰?」

 セミリオが震える声で問うと、老人は目を閉じ、深く呼吸をした。

「そうだな、ではまず私の名を教えようか。私の名はセルギウス。この復讐の天使団の創始者だ。ここでは『ゴッド』・セルギウスと呼ばれている」

 神と名乗る老人は復讐の天使団を作った男。

 老人がそうだろうとは予想はしていたが、いざ目の前にすると憎しみよりも怖れが勝っていることをセミリオは実感した。

「ゴッドだと? ご立派な呼び名だな」

 カインは吐き捨てたが、セルギウスは薄く笑い、さらに言葉を続けた。

「そうでもない。いずれそうなる身だからな。その前に君達と会うことが出来て本当によかったと思っている。さて、君達は狩人として、何かを求めて我が復讐の天使団を追っていたのだろう? 私の与えられるものなら何でも与えよう。何が望みだね? 言ってみるといい。カイン君、セミリオ君」

「お前の首だ」

 カインが素早く、鋭く言い放ち、セルギウスを睨みつける。セミリオもそれに頷き、再び戦闘体勢を取った。

「なるほど、性急なことだ。それはまだ与えるわけにはいかんな。まずは落ち着くといい。では、何故私の命を狙うのかね? 聞かせてくれ」

 セルギウスは、まるでそれが当然と言わんばかりの態度を取っている。セミリオはおろか、『悪魔』カインがこれほどの殺気を放っているのに、まるで動じている様子が無い。

「わたしがあなたを、復讐の天使団を狙うのは、父さんのためよ。あなた達に殺された、ガイア・ジュノスのために」

 セミリオがセルギウスをにらむ。チョーカーに手を伸ばし、指先でなぞりながら。

「ガイアの復讐か、古い話だな。君もかね? カイン君」

「そうだ。ガイア・ジュノスの命を奪ったお前らに復讐するために、俺は今まで生きてきた」

 セルギウスは憐れむような眼差しを二人に向け、掌を差し出す。

「あんな男の為にか? わざわざご苦労な事だな」

 あんな男。その言い方に、セミリオが怒りを爆発させた。

「……あなたなんかに、父さんの何が分かるって言うの!? あなたなんかに……あなたなんかに父さんの何が分かるって言うんだ!!」

 思わず声が上ずる。偉大な父親であり、目標でもある男を否定された気がして、悔しかった。

 しかしセルギウスの続けた言葉に、セミリオとカインは耳を疑った。

「理解しているとも、ガイアのことなど誰よりもな。セミリオ君、そしてカイン君よりも」

「……どういうことだ? 俺よりもおやっさんの事知ってる奴なんてのは、そうはいないはずだがな。それともただのハッタリか?」

 カインが静かに怒りを見せるも、セルギウスはその態度を崩そうともしない。

「ハッタリなどではない。よく知っている。話してあげようか、あの男が、私にどんな仕打ちをしてくれたかをな」

 セルギウスはそこでいったん言葉を切って、二人を見比べた。

「私は、あの男の親だ。と言っても、本当の親子では無いがな。ガイアがまだ幼いころ、孤児になったあの男を拾い、育てたのがこの私だ。復讐の天使団の組織を任せてからは、私の御子として実に素晴らしい働きを見せてくれた」

「うそだ!!」

 ガイアはかつて復讐の天使団だった。

 そう語るセルギウスに、セミリオは思わず叫んだ。

 嘘に決まっている。そう信じたかった。しかし、セミリオの気持ちのどこかでは、セルギウスの言葉が正しいという確信があった。何故かは分からないが、そう感じた。

「でたらめ言ってんじゃねえぞ……!」

 カインがかつて無いほどの怒りを見せて言う。

「おやっさんが復讐の天使団だと? おやっさんが、あのガイア・ジュノスが、こんな所にいたわけが、お前達みたいな汚ねえことに手を染めるわけが無いだろうが!」

 二人はこれ以上無いほどの怒りをこめ、セルギウスを睨みつけた。視線が熱を帯び、空気が震えるほどの怒りを。

 しかしそんな中にあっても、セルギウスは冷静だった。

 いや、冷静などではない。すべてのことは取るに足りないことだと思っているのだ。

「そうか、カイン君も知らなかったのかね? とっくに気付いていると思っていたのだが……。まあ、あの男は昔から隠し事が上手だったからな。まったく、姑息な所ばかりが成長していたようだ」

「だまれ!!」

 セミリオが叫び、我知らず発砲した。

 銃弾はセルギウスの顔のすぐ横を通過し、背後の壁にめり込んだ。それでもセルギウスは動じていない。

 彼は荒い呼吸を繰り返すセミリオに憐れみの視線を向けていたが、二人が少し落ち着くのを待ってから口を開いた。

「どうあっても信じたくないということだな。では、君達にある物を見せてあげよう。この先の部屋にある。私は先で待っている。決心がついたら追ってくるといい」

 そう言ってセルギウスは部屋の右手奥にあった扉を開け、先の部屋へと入っていった。

 二人には完全に背を向け、警戒するような素振りさえ見せなかった。

「大丈夫か? リオ」

 まだ肩で息をしているセミリオの肩に手を乗せ、カインが優しげに聞いた。セミリオは右手で強く涙をぬぐうと、カインを振り返り無理に笑顔を見せる。

「うん……。ごめんねカイン。心配させちゃったね」

「いや、俺は別にいい。リオ、あんな奴の言うこと真に受けるなよ。どうせ全部でたらめさ」

 そう言ったカインの口調には、しかし不安そうな響きがあった。

「うん……。でも………。ううん、何でもない。それよりもカイン、あいつを追わなきゃ。でたらめでも何でも、どっちにしろ……ね」

 セミリオ声にいつもの張りはなかった。セルギウスに会ってから、二人の調子がどこか狂っていた。

「そうだな……。じゃ、行くか」

 二人は、お互いの銃を打ち合わせ、互いの決意を改めて確認すると、セルギウスの後を追って扉をくぐった。

「ああ、もう来たのか。思いのほか早かったな」

 扉が開く音に、セルギウスは振り返りもせず、両手を大きく広げて言った。

 セルギウスの待ち構えていた間と同じ程の広さを持つこの部屋は、しかし対象的に装飾も調度品もない。

 ただ白く塗り固められた床に乾いた靴の音が響き、油と鉄の匂いがかすかに漂う。

 部屋の一番奥には、用途不明の巨大な機械が地響きを立てながら稼動している。

「この部屋に入れるのは、我が復讐の天使団の中でも非常に限られた者だけだ。無論、外部の人間でここに入ってきたのは、君達が初めてだ」

 誇らしそうにセルギウスは言う。セミリオとカインは彼の考えが分からず、周りを見渡すしかなかった。

 部屋の奥から、セルギウスが近づきながら話し始めた。

「さて、ガイアの話の続きをしようか。何、私としても教えてあげたいのだ。話を聞いた後、君達がどんな判断を下すか、興味がある。さてカイン君、ガイアが死んだ時に君が傍にいたと報告があるが、それは本当かな?」

「……ああ」

 カインが辛そうに答える。

 答える必要など無い。頭ではそう理解しているが、カインですらもセルギウスの超然たる圧力に飲まれ答えてしまう。

「ふむ。では、そのときガイアは『悪魔の泪』を三粒持っていたはずだ。それはどこに有る?」

「おやっさんの墓の中だ。だが、墓の場所は教えねえぞ。たとえ口が裂けたってな」

 即座にカインが答える。せめてもの抵抗だった。

「そうか。まあいい。今更そんな物は必要としないのでな。その悪魔の泪は、ガイアがこの部屋から持ち出したものだ。君達も知っての通り、悪魔の泪は非常に手に入りにくい。一粒たりとも見つけられないと言われているほどだ。それならば、ガイアがそれを所持しており、かつ、我が子達に追われていたということは、十分に私の話の裏づけとなると思うのだが」

「……なんで、何で父さんはそんなことを……?」

 セミリオもカインも、もはやセルギウスの言葉を否定できなかった。否定することのできない真実の響きが、彼の言葉には込められていた。

「そんな事とは何かな? 悪魔の泪を持ち出した事かね?」

「それだけじゃない! どうして父さんは、復讐の天使団なんかにいたの!? どうして教えてくれなかったの……?」

 セミリオは、セルギウスにというよりも、見えないガイアに向かって問い掛けるように言った。その手は、無意識にチョーカーを掴んでいる。

「先程も言った通り、ガイアは私が拾い、育てたのだ。子供が父親を助けるのは当然のことではないかね? 悪魔の泪を持ち出し、復讐の天使団を脱退した動機は私にも分からない。まあ、おそらく『良心の呵責に耐え切れなくなった』といった所だろう。私は持ち出された宝石を取り戻すために各地に我が子達を探しに行かせたが、同時にガイアにも戻ってきて欲しかったのだ」

 セルギウスは語りながら、部屋をゆっくりと歩く。何も知らない聴衆に教えを説く聖職者のように。

「何故だか分かるかね? あの男ほど優秀な人材は他にいないからだよ。それなのに、あの男は……。ガイアが去った後、私の子達は各地で悪魔の泪を探すことに全力を尽くした。そのかいあってそれが六粒、必要な数を揃えることができた」

 満足気にほほ笑みを浮かべるセルギウス。

「分からねえな、それだけじゃ。何でおやっさんやお前はそこまで、そんなちっぽけな宝石にこだわるんだ?」

「そうだな、それについても話しておこうか。セミリオ君、君は宝石狩と称しているようだが、悪魔の泪がどんな物質で出来ているか知っているかね?」

 会話の主導権は完全にセルギウスが握っており、セミリオとカインはそれに答えるだけになってしまった。

 しかし今はそれでいい。父のことがもっと知りたかった。

 セルギウスと争うのはそれからでいい。

 セミリオはそう思い、銃を握りながらもその問いに答える。

「核で何かの物質が変化した物って聞いたことがある」

 セミリオが答えると、セルギウスは満足げに頷いた。

「そうだ。残念ながら私もそれ以上の事は何も分かっていない。しかし、長い時間研究した結果、実に素晴らしい事を発見したのだ。核にさらされてきたせいか、ある特殊な条件で圧力をかけると、非常に大きなエネルギーを発することが判明した。これを使えば、一つのスクエアを滅ぼすことなど容易に出来る。それが、今君達が目にしているこの装置だ。その他にも用途があるが、それはここで言う必要はなかろう」

 セルギウスは、神の言葉を告げる預言者のようにとうとうと語る。その語り口と内容に、セミリオは悪寒を感じた。

「この大陸を滅ぼすつもりかよ、セルギウス」

 カインが憎憎しげに言う。しかし、セルギウスは首を横に振った。

「いいや。大陸や星ではない。すべての人間を滅ぼすつもりだ。そうしなければ、この星は滅びてしまう」

「そんな、そんなことあるはずが……」

 口が乾き、うまく言葉が繋がらない。

 セルギウスは目を細めて二人に向き合った。これ以上ないほどの慈愛の表情だった。

「この地上に、いや、この世に人間を残しておいて、いったい何の益があると言うのかね? 君達も知っている通り、かつて人間達が起こした核戦争によって、愚かな人間達は神が創造したこの星の形を変えてしまった。与えられていた支配権を誤用したのだ。それ以前に危機感を訴えていた者たちとやらも、いつか誰かが何とかしてくれるだろうと、甘い考えを抱いていたのだ」

 セルギウスが珍しく感情を少し込めて語る。セミリオが反論した。

「……分からない。人間すべてが滅んだほうがいいなんて思わない。まして、セルギウス、あなた個人がそんなふうに、人間を滅ぼそうとする権利なんて無い。何故そこまで……」

「権利などではない」

 再び鋭い銀色の視線がセミリオを切る。

「これは私の義務なのだ。今、この世界に生きている人間達を滅ぼし、そして私は天に昇り、新しい神となる。そこで私は新たな創造を行い、この宇宙を支配し平和にする。これは、神が私に語ったことなのだ」

「神様が語っただと? とんでもねえ盲言だな」

 カインが吐き捨てた。しかしセルギウスは哀れむような視線を彼に向けると、再び語りだした。

「信じられないのかね? ふむ、哀れなことだ。だがそれでもいい。私の子となればすぐにでも信じられるようになるだろう」

 セルギウスの発言に、思わずセミリオとカインは聞き返した。

「何だと?」

「カイン君、そしてセミリオ君。私は君達をとても評価しているのだよ。ガイアの血と知識を受け継いでいる君達なら、必ずやあの男以上の働きを見せてくれる、とな」

「……馬鹿を言わないで。なぜわたし達がそんなことを……」

 セミリオの声は、消え入りそうに聞こえる。畳み掛けるようなセルギウスの言葉に、彼女もカインも、混乱気味だった。

「言っただろう? 私は神となり、全宇宙を支配する。その前に、人間すべてを滅ぼすことが必要なのだ。君達の力が欲しい。そして、君達は私の新たな子供として、共に全地を支配してもらいたい。それだけの力と資格が有る」

「……寝言を言うな、セルギウス。そんな事が出来るわけがねえだろうが。いや、仮にそれが本当だったとしても、俺はお前なんかに従わない」

 絞り出すようにカインが言う。

「カイン君、どうにも君は頑固だな。ガイアにそっくりだ。しかし、君の気持ちは揺らいでいるように見えるが? 君もだ、セミリオ君。案ずる事は無い、二人共。ガイアの代わりに、私と共に全宇宙の支配者となるのだ」

 そう言うと、セルギウスはゆっくりと近づきながら、右手をカインに、左手をセミリオに向かって差し伸べた。

「さあ、カイン君、私の右に。セミリオ君、私の左に座りたまえ。神の子となり、永遠の平和を生み出そうではないか」

 両の手を大きく広げ、神を名乗る男は、セミリオとカインに語りかけた。圧倒的なその存在感に、カインでさえもたじろぐ。

「恐れることは無い。ただ、私の子となるのだ。そうすれば、天地を支配する資格を君達は得られる。ガイアは、あの男は愚かにもそれを退けた。神の子となる特権を。君達はそうでは無いと、私は信じている」

 セルギウスがまた一歩近づく。セミリオとカインが、また一歩後ずさる。

 そのとき、セミリオの手が、無意識にガイアのチョーカーに触れた。

(父さん。わたしは、どうしたら……)

 いつの間にかうつむいてしまった顔を上げる。すると、そこにあり得ないものが見えた。

 大きな男が、二挺の拳銃をセルギウスに突きつけている。

 まばたきをすると、その男は跡形も無く消えた。

(父さん……。そうだよね。父さんは最初は間違ってたかもしれないけど、でも、間違いに気付いた。それからの父さんは決して間違っていなかったはず。そして、わたしも……)

 セミリオはセルギウスを見据えると、大きく息をつき、彼の顔をかすめるように発砲した。それと同時に、今まで感じていた息苦しさが消える。

「……わたしは、あなたの子供なんかにはならない。わたしは偉大な狩人、ガイア・ジュノスの娘だから。そしてガイアの娘として、志半ばで殺された父さんの代わりに、あなたの狂った考えを打ち砕いてみせる!」

 ガイアの形見の銃を向けそう叫んだセミリオの瞳には、もう迷いや怯えなどどこにも無い、強い狩人としての輝きが宿っていた。

「……セミリオ君、残念だ。君はそんな愚かなところまで、ガイアに似てしまったのだな」

 セルギウスが、とても信じられないという表情でセミリオに言った。

 その時、再び銃声が轟き、セルギウスの法衣の肩が弾けた。

「リオ、悪かったな。俺としたことがこんな奴の雰囲気に飲まれかかってた。だが、お前さんの一発で目が覚めたぜ」

 硝煙が上がる左手の銃を握りしめ、カインが帽子を抑えた。

 そして二丁の銃を突きつけセルギウスを睨みつける。

「俺も、ガイア・ジュノスの意志を受け継いでいる。悪いが、セルギウス。お前が神様なんかになる前に、俺が天まで送ってやるぜ」

 カインがそう言うと、セルギウスの顔に落胆の色が浮かぶ。

「君もか。君までもか、カイン君。残念だ、とても残念だ。君達ならば、と期待していたのに………。なんと愚かな……」

 セルギウスが頭を振り、祈りの言葉を紡ぐように憐れむ。彼は心の底から自らの考えを信じている。神になる、という途方も無いことを。

 セルギウスは部屋の奥に戻っていく。セミリオとカインがそれを追う。

「……これを、君達のために使うことになろうとは……。だが、もう遅い。せめて安らかな死を与えよう。それが私にできる、唯一の憐れみだ」

 セルギウスはそう言うと、部屋の奥にあったレバーを引いた。すると横の壁が地響きを立てて開いていく。

 中から出てきた物は、二人の想像を絶するものだった。

 人間よりも、はるかに大きな体を持つ巨人。そして、その頭は人間のそれではなく、牛そのものだった。

 三メートル以上はあろうかというその巨躯は浅黒く、その肉はところどころひび割れている。体をぼろきれだけで覆い、手には巨大な石斧が握られている。首に乗った巨牛の目は悲しみで満ちているように見えた。

「ウヴォーオオオオオオオオオオオオォォ!!!」

 牛の頭を持った巨人が、部屋全体を震わせるような叫び声を上げた。聞く者の心を抉り取るような、恐ろしげな響き。

 咆哮の後その牛の目は二人を捉え、生臭く荒い息遣いがおぞましい。

「ミノタウロスって奴か……」

 ようやく驚きから立ち直り、カインが呟いた。

 二人が驚きで硬直している間に、戦いに巻き込まれない場所まで移動していたセルギウスが、悲しげに言った。

「カイン君、セミリオ君、残念だ。君達は、我が復讐の天使団が生み出したもう一つのバイオノイド、ミノタウロスの手にかかってもらう。心配はいらない。それに殺されれば苦痛はほとんど無いだろう。どうか、安らかに眠れ」

 その言葉が合図だったように、ミノタウロスがセミリオとカインに襲い掛かってきた。

 セミリオは右に、カインは左に大きく跳ぶと、銃を構え戦闘態勢に入った。

 ミノタウロスが腕を大きく振りかぶり、石斧をセミリオに向かって横薙ぎに振り回す。

 彼女はそれをすんでのところで転がってかわす。転がったまま三連射をミノタウロスの脚に見舞い、その反動で素早く起き上がる。

 ミノタウロスは一瞬怯んだが、多少の出血はあれどその動きに支障はないようだった。

「喰らいやがれ!」

 カインが両手で発砲し、ミノタウロスの腕を狙う。怪物の死角からの攻撃であり簡単にヒットしたが、それもまた多少の傷をつけただけに過ぎなかった。

「ヴォオオオ!!」

 ミノタウロスが両腕を振り回し暴れる。傷自体は大したことがなくとも、繰り返される攻撃が苛立たしいのだろう。

「これなら!」

 セミリオが四方八方に乱射する。それはあちこちで跳弾となり、ミノタウロスのまったく予想できない角度から怪物に襲いかかる。

 一発はこめかみをかすめ、そして別の弾は肘の関節にめり込んだ。

 更に別の弾はセルギウスが立っていた場所に着弾する。

「私を気にする余裕があることは素直に称賛しよう。それだけにとても残念に思っている」

 跳弾を難なくかわしたセルギウスは悲しげに頭を振った。

 間髪入れずカインが続けざまに四発発砲。セミリオの傷つけた肘関節をさらにえぐり、怪物はその石斧を取り落とした。

「グゥオオオオ」

 ミノタウロスは石斧を手に取ろうと身を屈めた。隙を突いてセミリオが接近したが、怪物は咄嗟に身を翻し、その巨大な足をもってして彼女を踏み潰そうとする。

 避けられない!

 セミリオが目を見開いた瞬間、爆発音にも似た銃声が響き、怪物が転倒した。

 悪魔の十字砲火ーー!

 縦横に銃を構え、カインがミノタウロスの足の腱を撃ち抜いたのだ。

「ありがとうカイン!」

「油断すんなよ」

 短く声を掛け合い、セミリオは大きくバックステップ。ミノタウロスは立ち上がると、無傷の脚で鋭く跳躍しカインに迫った。

「ちっ」

 怪物がその角でカインを突き刺そうとしたが、セミリオの弾丸がそれをへし折る。

 続けざまに三発発砲、ミノタウロスの手の指を撃ち抜いた。

「ウヴォオオオ!」

 怪物は荒く咆哮すると、カインから距離を取る。その目からは怒りが陰り、悲しみが増したように見えた。

 ミノタウロスが落ちていた石斧を手に取り、ひときわ大きな咆哮を上げた。

「ウヴォーオオオオ!」

 そしてそれで力任せに壁を数度殴りつける。憤怒の行動というよりも、怯えの色に見えた。

 その間素早く接近したセミリオが壁を蹴り大きく跳躍、ミノタウロスの上を取り空中で装弾すると怪物の両耳を撃ち抜いた。

 ミノタウロスがセミリオを見上げる。その瞬間を逃さず、カインがもう片方の足の腱を破壊した。

 怪物が倒れる。

 隙を逃さず、カインがミノタウロスに肉薄する。目の前には、いびつに歪んだ、自然にはありえない巨人の頭。

 そして、その牛の頭に向かって、カインが左手の銃をポイントした。

「……お前は悪くねえよ。そして、俺達もな……」

 乾いた音が響き、カインの銃から硝煙が上がる。

 巨人の額に黒い穴が穿たれ、ミノタウロスは、むしろ安心したようにその瞳を閉じた。

 

「まさか、ミノタウロスさえ退けてしまうとはな」

 高い所からセミリオとカインの戦いを観察していたセルギウスが、再び二人の前に下りてきた。

「今度はあなたが戦う番なの……? セルギウス」

 セミリオが銃を突きつけると、セルギウスは頭を振った。

「いいや。私は君達と正面から闘えるような力は持ち合わせていない。そしてこのエデンには、もう君達と戦えるものは何もいない。残念ながら、今は、まだな」

「そうか。じゃあ、お前はどうするんだ? 戦えない、そして逃げもしない。そのまま俺達に撃たれるのを待つか?」

 セルギウスはゆっくりと頷いた。

「そうだな。君達は私を殺す気だったのだろう? 私とて、このまま殺されるのは少々残念だ。まだやるべき事が、神になる前に果たさねばならない事が数多くあったのだからな。だが、こういう事になったのも、また運命だろう」

 セミリオは悲しげに頭を振った。憎い相手のはずなのに、なぜか悲しみがある。

「分からない! 分からない! 分からない! セルギウス、なぜあなたは……」

「セミリオ君、私は君にもカイン君にも、私の子になって欲しかったのだよ。しかし、分かり合うことなど、人間同士では不可能だったようだな。別の出会い方をしていれば、異なった思いを抱いていたかも知れない。人間とは、そういうものだ」

 セルギウスが言うと、カインが重たそうに口を開く。

「かも知れないな。だが、おやっさんを殺したことはやっぱり許せねえし、人間を滅ぼそうなんてお前を放っておくわけにもいかねえ」

「それが考え方の違いだよ、カイン君。さあ、遠慮は要らない。君達の信念を込め、撃ちたまえ」

 そう言うと、セルギウスは両手を大きく広げ、目を閉じた。その表情には怯えも恐れも無く、ただ悲しそうだった。

 セミリオとカインの銃がセルギウスをポイントする。しかし、セミリオの銃、エターナルゴールドが震える。

 手が震え、狙いが付けられない。

 すると彼女の手に、カインの手が乗せられる。

 セミリオがカインを見ると、彼はゆっくり首を横に振った。彼女の銃が、まるで重い荷を下ろしたかのように下がった。

(父さん……、ごめんなさい。でも……、これで、よかったのかな……?)

 セミリオの手が、チョーカーに触れる。

 ふと、カインがいる側とは反対の肩に暖かいものを感じた。それがたとえ幻覚だったとしても、ガイアの、父の大きな手だということが分かった。

(ありがとう、父さん。最後まで、ごめんなさい……)

 セミリオは一歩退くと、カインにその場を任せようとした。

 

 地震が起こった。

 いや、先ほどのミノタウロスの一撃に耐えられず、部屋が崩壊し始めたのだ。

 二人の頭上に天井の一部が落ちてくる。カインがセミリオをかばい、後ろに倒れ込む。

「大丈夫か!? リオ!」

「うん……、ありがとう、カイン……」

 二人が態勢を立て直すのを横目に見ながら、セルギウスが天井を見上げた。

「ミノタウロスの打ち据えた箇所、か。偶然か、あるいは……。もしかしたら、神は君達の方に味方したのかもしれない。君達がここに辿り着き、私の誘いを退け、ミノタウロスと戦い、これを退けた事。君達を生かしたかったのか、私を早く天に召したかったのか」

 エデンが崩壊していく。セルギウスが語り続けているうちにも、大小の破片が降り注ぎ、危険になっていく。

「リオ! 早く逃げねえと、俺達も岩の下敷きになっちまうぞ!」

 カインが叫ぶ。

「でも……、でも……!」

 でも、なんだろう。

 セミリオは、セルギウスを助けたいのか、殺したいのか、自分でも分からなかった。

 すると、セルギウスが、憐れみに満ちた目をセミリオに向けた。

「行きたまえ、カイン君、セミリオ君。生きてさえいれば考えも変わり、いずれ私の子となりたいと思う時も来るだろう。私はここで地上での命を捨て、天に昇る。君達は生き延びたまえ」

 そう言ったセルギウスの背後に、一瞬だけ、ガイアが重なって見えた。

 ――セルギウスは静かに、部屋の奥の方へと消えた。

 直後その場所に巨大な岩が落ち、恐らく、セルギウスは死んだ。

 神を名乗り、神になろうとした男は、永遠の沈黙に閉ざされたのだ。

 

「カイン、こっちがまだ開いてる!」

 セミリオとカインが、まだ瓦礫で埋まっていない場所を見付けながら駆ける。

 そうする間にもエデンは崩れてゆき、刻一刻と出口は縮まって行く。

「危ない!!」

 セミリオが叫び、カインを突き飛ばす。

 岩が落ち、セミリオの頭をかすめた。

「あっ!」

 側頭部から血が流れ、セミリオが屈み込む。

「セミリオ! 大丈夫か!?」

「大、丈夫………、じゃないかも……」

 カインは左右に目を走らせ、まだ通ることが出来る道があることを確認すると、セミリオを背負い走り出した。

 そのまま数百メートル。いかにカインといえども、息が切れてきた。

「畜生……、俺も年だな……。お前さんは重てえし……」

 いつもなら文句を投げつけるところだが、こんな状況に陥っても軽口を言うカインが、今は頼もしかった。

 それに怪我も痛む。自分で何とか抑えたが、思ったよりも傷口は深いようだ。

 血が目に入り、視界が赤く歪む。

 そして、さらに曲がりくねった道を百メートル前後――。

 瓦礫で半分以上埋まった隙間から光が、見えた。

「カイン……、外だ……!」

「出口か!」

 二人は、エデンから飛び出した。

 すぐさまバイクに乗り込み、崩壊に巻き込まれない場所まで急ぐ。

 少し行ったところで、後ろから轟音が聞こえた。

「カイン、見て……」

 セミリオが指差すほうにカインが目を向けると、エデンが在った岩壁が、ゆっくりと崩れていくところだった。

 離れた場所に立ち、二人はそれを眺める。

 神を目指した男が住み、後に偉大な狩人になる男が生活した場所。

 大陸中に恐れられた『復讐の天使団』の本拠地であり、命をいたずらに産みだし、苦しめた、冒涜の産道。

 それが、今、すべてが崩れ去ってゆく。

 それを眺めるセミリオの頬に、涙がつたった。

 悲しいのか、嬉しいのか。達成感か、むなしさか。安堵か、不安か。

 恐らく、それらすべての感情なのだと、セミリオは思った。

 涙を拭うこともせず、ただ、エデンを眺めていた。

 怪我のせいか疲れか、少し意識が薄れ、体がふらついた。カインがそれを支え、自分の体へともたれ掛けさせる。

「終わったぜ……。おやっさん……」

 カインの声の振動と、服から伝わる体温に眠くなる。

 もうすっかり日が落ちて暗くなった未知なる地サウスエリアで、崩壊してゆくエデンを、二人はいつまでも眺めていた。

 

 ――轟音が、鳴り響いた――

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