ー2ー 少女はゆいちゃん
壁に弾かれたから、仕方なく屋敷に戻って来たの…
いつかここから出られないかな〜
壁のところまで行ってわかった事があったの。
私、あの時少しずつ体が重くなっていく感覚があったの。
私の中にある「ちから」?みたいなのが屋敷から離れるほど弱くなっていく気がしたの。
でもよくわからないの。
(とりあえず私はこの屋敷を再び冒険するの〜!トレジャーハンティングなの〜!)
3階へとやって来たの。
初めは2階の部屋から玄関の方へと探索してたから3階は初めてなの!
この階は今までの廊下より広い気がするの。
レッドカーペットも引いてあって、とっても綺麗なの。
でも埃はすごいの…。
まずはたくさんの本が並んでいる部屋に来たの。
むずかしそうな本があり過ぎてよくわからないの。
有機化学の連鎖的爆発誘発実験…?
宗教と精神の繋がり…?
やっぱりわけわからないの…
奥の方に可愛い本棚があるの。
平べったい本がたくさん並んでるの。もしかして…
絵本がいっぱいあるの〜!
これなら屋敷から出られなくても飽きないの!
(嬉しいの!嬉しいの!くまさんもそう思うでしょ!)
嬉しすぎてつい、くまの人形とくるくるダンスしちゃったの!
あと、目が回って少し気持ち悪いの…
まずは何読もうかな〜
【ゆうれいのれいちゃんとなかよしなおにんぎょう】
これ私みたいな題名で気になるの!
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【ゆうれいのれいちゃんとなかよしのおにんぎょう】
あるところにゆうれいのれいちゃんとよばれるおんなのこがいました。
れいちゃんはなかのいいおにんぎょうたちといっしょにおおきないえにすんでいました。
おにんぎょうはれいちゃんをたのしませるためにいろいろなことをしてくれます。
かくれんぼでおにんぎょうはまけたことがなく、れいちゃんはいつもおにんぎょうたちをほめます。
おにごっこなられいちゃんはとくいです。
かべをすりぬけられるのでどんなににんぎょうががんばってもつかまえてしまいます。
あるひ、わるいおとながいえにやってきました。
「こんなにたくさんのおにんぎょうがあるではないか。ぼくのおともだちにしよう!」
わるいおとなはわがままにそういいました。
れいちゃんはおにんぎょうをまもるためにわるいおとなをいえにとじこめておにごっこをはじめます。
「わるいおとながつかまったらわたしのおともだちのまえからきえて!」
そういうと、れいちゃんはぜんりょくでわるいおとなをおいかけます。
しかし、わるいおとなはゆいちゃんをおふだをつかってとじこめてしまいました。
ゆいちゃんはぬけだせません。
ゆいちゃんはひっしにかんがえます。
すこしあきらめそうになってもおにんぎょうたちのためにひっしにかんがえます。
ついにゆいちゃんはおもいつき、ちかくにあったハサミをうかしておふだをきりきざみました。
わるいおとなはおどろきます。
そして、わるいおとなをつかまえ、わるいおとなはかんねんしたのかそのばからすぐにいなくなりました。
そうしてれいちゃんはおにんぎょうたちをまもることができたのでした。
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人生で初めて絵本を見たの。面白いの!
あ…私、幽霊だから人生じゃなくて「霊生」かもなの?
(それにしても、れいちゃんって勇敢であこがれるの〜。私もれいちゃんみたいに勇敢で友達がたくさんいたらな〜)
れいちゃんって名前可愛くていいなぁ〜
そういえば、私って名前思い出せなかったの。
名前考えても思いつかないし…
…思いついたの!
私の名前も「れい」にしてれいちゃんみたいな女の子を目指すの!
だったら今から私の呼び方は「ゆい」にするの!
(よ〜し!そうと決まれば沢山お人形探して、まずはお友達を作るの!)
ちなみに、くまさんはゆいの一番最初のお友達なの〜
あ、ここにもお人形さん発見!
うさぎのお人形さんで可愛いの〜
まだ絵本もこんなに沢山あるし、お人形さんたちにも一緒に絵本読み聞かせてあげるの。
「の」終わりの語尾で書く主観ってなかなかに難しい…