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第5話 いつもの学校で (4/8)

「みさみさちゃんは、他にきなこもちについて知ってることはない?」

あゆの言葉に思わずビクリと肩を揺らしてしまう。

「ほ、他に……。あ、七色に光る石を食べてた……」

思わず思い出したままに答えれば、カタナが眉を寄せる。

「七色の石……?」

私は、遺跡での出来事を二人に話す。

「そういえば、確かにあの時何か言いかけていたな。聞いてやれなくてすまなかった」

「い、いいのいいの、急な事だったしっ」

謝るカタナに私はぶんぶんと首を振る。

「しかし、七色の石か……。光の大龍が祀られていた神殿の遺跡だな」

「暗闇の使徒をやっつけたっていう龍の伝説のやつ?」

あゆもその話は知ってるんだ? 首を傾げた私に気付いたのか、あゆが「そのうちメインストーリーに出てくるよ」と補足してくれる。

「七色の石……。鍵の話なら聞いた事があるが……」

「乙女が何とかってやつだよね?」

「ああ、巫女の心が鍵になるという話だな。俺ももう一度あの遺跡にまつわる伝承を調べておくよ」

「う、うん。ありがとう」

それがきなこもちにどれくらい関わる話なのかはよく分からないけど、とにかくそれはカタナに任せてみる。

あゆは、バグやウィルスについてもう少し調べてみると言ってくれた。


その後は、きなこもちをケースに戻して、あゆのおすすめの綺麗な海辺のマップで、一時間だけ貝殻を拾ったり敵を叩いたりして解散した。

20時半から外食に行くと言った手前、あんまり早くは戻れなかったから、カタナ達もそれに付き合ってくれた。


そうして結局、私は21時半頃からアイカ達の女子会トークに加わった。

カタナたちは行っておいでと言ってくれた……。

でも、きっと今頃あの二人はフニルーのことについて調べてくれてるんだろうなぁ。

そう思うと、私がこんなところでこんなに意味のない話に混ざっているのが、本当にもったいない時間に思えてしまって辛かった。


カタナ達に、夢の話もすれば良かったかな……?

でも、なんて言えばあの夢が正しく伝わるのか、あの夢に一体どんな意味があるのかは、私にもまだ分からない。


『みさきー? 聞いてるのー?』

言われて慌てて答える。

『あ、ごめん、電波悪かったみたい。なになにー?』

私の口からは、息をするほど自然に嘘がこぼれ出た。


***


土日は、DtDで過ごしつつフニルーのことを調べつつアイカ達とのグループ会話に顔を出して過ごした。

あゆは日中、狩りの途中で時々動かなくなった。

「これは完全に落ちたな……。すまない、ちょっと電話してくる」

カタナはそんな時、DtDを一度落として通話アプリであゆの親に連絡をしているらしかった。


「みさみさちゃん、ごめんねーっっ」

あゆは、数時間して戻ってくると、そうやって申し訳なさそうに謝った。

「ううん、気にしてないよー」

と私は返しながらも、一体どうしてあゆが動かなくなってしまうのかは、聞きそびれていた。

はっきり言わないってことは、もしかしたら何か、具合が悪かったりするのかもしれないし……。

以前カタナの言っていた、入院していた友達というのは、あゆのことだった。

もしかしたら、ゲームの中では元気そうに見えるけど、実際には車椅子とか、そんな元気に動き回れないような感じの子なのかも知れないなぁ……。


何も聞かないままに、私のあゆに対するイメージはそんな風に固まりつつあった。


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