表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/45

第4話 白いウサミミ (4/5)

「仲良いんだね……」

思わずそう言ってしまって、慌てて息を呑む。

やだな……、なんか嫉妬してるみたいだったかな……?

私の言葉にカタナは苦笑して、あゆはにっこり笑った。

「ああ。こいつはリア友なんだ」

「もうずーっと仲良しだよねー」

えっ……、と、それって……二人は付き合ってるって事……?

いやいや。いとことか、そういう可能性だってあるよね??


「小学生の頃体操教室で一緒になって。あゆは元から体が弱かったし、俺は粗大運動が苦手だったから」

「好きなキャラが一緒で、全く同じパンツ履いてたんだよねーっ」

「そんな話はしなくていい」

「ええー? この話出てくる流れじゃなかった? それで仲良くなったって話でしょ?」


え?

ええと……いや、でも……。

低学年だって、習い事なら更衣室って男女バラバラ……だよね?

んんん……? まさか、その子……。


「あゆって、もしかして……」

「?」

カタナが首を傾げる。逆にあゆはピンと来た顔をして答えた。

「ボク、中身は男子だよ」

「えええええええええっっ」

驚く私に、今度はカタナが不思議そうな顔で尋ねる。

「何だ? みさみさも中身は男なんだと思っていたが、違うのか?」

えっ、えっ、えっ!?

そうなの!?!?!?

そういうものなの!?

「ええ、と……」

「MMORPGの女キャラのうち、8割は男だと言われているからな。女キャラの中身はまず男だと思っておけばいい」

そ、そうなの……?

「女性プレイヤーもいることにはいるが、女だと知られれば変な奴に付きまとわれたりすることがあるからな。男キャラを使う人が半数らしい」

なるほど……。

「みさみさは男じゃなかったのか? 俺が勝手に勘違いしていたなら、申し訳ないな……」

しょんぼりと赤い瞳の視線が地に落ちる。

ど、どうしよう。カタナが私を男なんだと思ってたなら、そう思ってカタナが色々してくれてたなら、ここで女だなんて言わない方がいいのかな……。

「う、ううんっ。わ、私も男だよっ」

私の言葉に、カタナが顔を上げる。

黒髪の向こうで、赤い瞳がちょっとホッとしたように細められた。

「そうか、良かった」


その姿に私もホッとして、それからじわじわと後悔が押し寄せてくる。

お、大嘘をついてしまった……。

これからカタナは私のこと、ずっと男の子だと思って過ごすのかな……。

うう、どうして私って、いつも嘘ばっかりついて逃げちゃうんだろう。

……本当は、嘘なんて一つもつきたくないのに……。


そんな私たちを、あゆがちょっと困った顔で見ていたことに、私たちはどちらも気付かなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ