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第4話 白いウサミミ (3/5)

隣のマップに移動した途端、モンスターが溜まっていた。

「あゆ!」

瞬時にあゆが眼前に炎の壁を出す。

「オッケー! カタナはちっちゃいのを!」

「おう」

壁の内側から、敵を四方八方に散らすような技で、敵を壁の向こうに追い出す。

その間に、カタナがやたらと攻撃の早い、素早い敵3匹のタゲを取っていた。

地面に大きな魔法陣か浮かび上がる。

詠唱が長い。これが大魔法ってやつかな。

次の瞬間、魔法陣に囲まれた範囲に、数え切れないほどの雷が降り注いだ。

「ひゃあ」

バリバリと響く音と光に思わず耳を塞ぐ。

ぎゅっと閉じてしまった目をそろりと開けると、もう敵は1匹も残っていなかった。

「みさみさちゃん、驚かせちゃったね、急にごめんね」

あゆが気遣うように言う。

「あ、ううん。大丈夫……」

「あゆ、今のは仕方ない。みさみさ大丈夫か?」

カタナも、あゆを励ましながら私に声をかけてくれた。

「うん、大丈夫だよ」

スマホの音量もそんなに大きくしてなかったから、ちょっとびっくりはしたけど、それだけだし。

「そうか、良かった。人によっては、急な音や激しい光で具合が悪くなる事もあるからな」

そう言って、カタナは少しホッとした表情を見せる。

「そうなんだ……。私が知らないだけで、そういう人もいるんだね」

私の呟きに、カタナがちょっとだけ目を細める。

「ああ……。知っていれば、できる対策もある。白いノートが眩しくて困ってる奴とか、ちょっと暗い色のノートを使えば楽になったりするからな」

「へー。覚えとこう……」

カタナは色んな事を知ってるんだなぁと思いながら、その横顔を見上げる。

突然、横からあゆにぎゅっと抱きつかれた。

「みさみさちゃん素直っっ!! 良い子っっ!!」

「えっ、ええっ!?」

あゆがなでなでなでと私の頭を撫でる。

「ボクもみさみさちゃんと友達になりたいなぁ、ね、フレンド登録しようよっ」

「う、うんっ。私も、あゆと友達になれたら、嬉しい」

「わあーい、うれしいっっ♪♪」

手を取って、あゆがぴょこぴょこ跳ねる。

嬉しいと飛び跳ねるなんて、なんだかきなこもちみたい。

今日は狩場が高レベルで危ないから出してないけど、後であゆにもきなこもちを紹介したいな。


フレンド登録をお互い済ませると、あゆが取引ウィンドウを出してきた。

「良かったらこれもらって!」

なんだろう。と『はい』を押す、ウィンドウに入ってきたのは白いウサミミだった。

「あ、これ……」

「えへへ、お揃いーっ♪♪」

あゆが嬉しそうに笑うので、ありがたく受け取る。

「ありがとう」

「お近付きのしるしだよっ♪」

早速装備してみる。ウサミミはふかふかしていて、雪のような白い色は黒髪にも赤いリボンにもよく映えた。

んーっっ。可愛いっっ!!

視界の端で、カタナが一歩下がった。

「?」

振り返れば、カタナは籠手の甲で顔を半分ほど隠している。

「あれね、顔が赤くなっちゃったから隠してるんだよ」

あゆがそっと私に耳打ちする。

「え?」

「カタナ、可愛いの大好きだから。特に、ウサミミ大好きなんだよねー?」

からかうように、あゆに下から覗き込まれて、カタナが顔を逸らす。

「――っ、余計な事を言わなくていいっ!」

あ、本当だ。カタナはマスクで鼻から下が隠れてるけど、その目元がほんのり赤くなっていた。

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