第4話 白いウサミミ (1/5)
カタナと一緒にEサーバーのワールドセレクトルームに現れたのは、明るいピンクのツインテールの、可愛い女の子だった。
「はじめまして、みさみさちゃんっ、話はカタナから聞いてるよーっ♪♪」
えっ、女の子!?
私はてっきりカタナが連れてくるのは男友達なんだと思ってて、予想外の事態にしばし固まる。
「みさみさ、ウィザードのあゆゆだ。俺と一緒で呼び捨てにしてくれたらいい」
「あゆって呼んでねーっ。これからよろしくっ!」
「あ、はい。よろしくお願いします……」
「あはは、敬語いらないよー」
あゆゆさん、じゃなくてえっと、あゆは、黒いウサミミを揺らして笑う。
パステルピンクの髪はツインテールになっていて、大きなフリフリのピンクのリポンがついている。
背中には小さめの黒い鳥の羽のようなものがパタパタしていて、黒猫のような長い尻尾にも金の鈴がついたピンクのリボンを結んでいた。
「か、可愛い……」
どこから見ても誰が見ても、文句なく可愛い女の子だ。
思わずこぼしてしまった言葉に、あゆは水色の瞳を細めてにっこり笑う。
「ありがとー♪♪」
「お前は、相変わらずのキメラっぷりだな」
苦笑するようなカタナの言葉。
言われてみれば確かに、耳も尻尾も羽も別の生き物だよね。
「可愛いからいーのっ」
と答えて、あゆはぷぅと小さくほっぺをふくらませる。
うーん。仕草も可愛い……。
「カタナも可愛いの大好きでしょー?」
カタナはあゆに肩へ寄りかかられて、視線を逸らして言った。
「余計な事を言わなくていい」
あ。照れてる。珍しい。
仲良いんだなぁ……。
カタナと私のパーティーに、あゆが加わる。
「でもほんと、カタナの姿見るのも久しぶりだねー。あれ? レベル1つしか上がってない?」
……あ、それはきっと、私の面倒ばかり見てたから……。
私はその事実を申し訳なく思う。
「お前は上がりすぎだろう」
カタナの言葉に見てみれば、あゆのレベルは78だった。
「夜中は廃人さんが多いんだよねー。あちこち連れてってもらっちゃった♪」
「……そうか……、……よかったな」
カタナは、ほんの少し苦しげに言った。
「うんっ」
あゆがそんなカタナを励ますかのように明るく頷く。
「じゃあ早速、お菓子のワールド入ろー♪♪」
ぴょぴょんと嬉しそうにスキップをして、あゆが言う。
そっか、お菓子のワールド。ついに入れるんだよねっ。
私もドキドキしてきた。
「みさみさちゃん、お菓子のワールド入るの初めてなんでしょ?」
ピンクの髪をさらりと揺らしてあゆが私を覗き込む。
水色の瞳がピンクの髪の下からチラチラ覗いて、すごく可愛い。
「う、うん」
「今日はいっぱい楽しもうねっ♪」
にっこり微笑まれて、私の心が弾む。
「うんっ」
そうして、私たちは三人、念願のお菓子のワールドに入った。