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第3話 嘘と事実と友達 (5/6)

それから五日。

私はあれから夢の中でDtDをすることはなかった。

かわりに、暗いところで助けを求める何かの夢は毎日続いていた。

気になって夢占いで検索すると『あなたはその人を助けたいと思っています。けれども今は、それができないという現実を抱えています』なんて出てきて、正直なんの役にも立たないなと思ったりした。


クラスのグループ会話は相変わらす眺めているばかりで、ズッ友のグループ会話もなんとか不審がられない程度に返信しつつ、私はDtDを続けていた。


私のレベルは30まで上がった。

「これでお菓子のワールドにも行けるな」

言われて、ちょっと驚く。

「行きたかったんだろう?」

「……知ってたんだ……」

「まあ、ワールドセレクトに来ると、いつもチラチラあっちのワールドばっかり見てたし、最初の日に俺に聞いてきたのもお菓子のワールドのことだったからな」

「覚えてたんだ……」

嬉しい気持ちと、なんだか食いしん坊みたいで恥ずかしい気持ちが混ざり合う。

「明日は俺の友達も一緒でもいいか?」

突然の言葉に驚く。

なんだか、このままずっと二人で遊べるような気がしてたけど、そんなはずないよね。

だって、カタナは最初からギルドにも入ってたし、他にもいっぱい友達がいるんだろうから……。

断る理由もなくて、私がコクコクと頷くと、カタナがちょっとホッとしたのが分かった。

「俺よりずっとレベルも高くて強いんだ。あ、いいやつだよ」

そう言われて私もちょっとだけホッとした。

こんなにまっすぐな人の友達なんだもん。

悪い人じゃないだろうとは思う。


……じゃあ、私はどうなのかな。

私の友達は、私にとって人に紹介したいと思える人じゃない。

それって、どうなんだろう……。


私にとって、アイカ達は本当に友達なのかな……。


本当の友達って……。

胸に浮かんだ友達の顔は、去年やそれまでに同じクラスだった子たちだった。

小学生の頃仲の良かった子とはクラスが離れた今でも通話アプリで話をしたりするけど、それも週に1、2度くらいだし……。

今の私が本当の友達だと言っていいのかは、よく分からなかった。


***


今日は大縄大会だった。

中学生にもなって縄跳びか。と思わなくはないんだけど、意外とみんなそう言う割には本気だったりする。

だから私も、足を引っ張らないように精一杯気を付けて跳んだ。

じゃないと後でクラスのグループで何を言われるか分からない。

C組には残念ながら2回差で勝てなかったけど、無事に学年2位が取れて、ほとんどの人は満足してたみたいだった。

坂口くんは三日前から学校に戻って来てたけど、結局体育は全部見学していて大縄にも参加しなかった。


昼休み、坂口くんは冬馬くんの席のところでDtDの話をしていた。

あの二人って、あのゲームやってるんだ……。

冬馬くんの席は廊下側の一番前。出入り口の近くだから、扉を通るときにたまたま聞こえてしまったんだけど、一度耳にしてしまうと、ついつい気になって聞き耳を立ててしまう。


あの精霊の飛び立つ樹を、誰かに見せてあげたって話みたい。

喜んでもらえて良かったとかそんな話をしてる。

うんうん、そうだよね。あの光景は本当に感動するよね。


いいなぁ、私もDtDの話したいな……。

でもひまりと遥はもうやってないみたいだし、アイカもこの三日はほとんどログインしてないみたいだった。


二人の会話は、今度お菓子のワールドに行くから……。とか、どの属性でどの敵を叩くかという話になっている。

うう、私もその話興味ある……。

でも冬馬くんとも坂口くんとも全然話したこともないし、あの二人はひまりに嫌われてるから声をかける勇気は出ないなぁ……。


「みさき?」

「え? 何?」

「ちょっとー、聞いてなかったのー?」

アイカの言葉にひまりと遥が笑う。

玲菜もその後ろで苦笑していた。

うう……。向こうの会話に夢中で、全っ然聞いてなかった……。



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