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第4話 三人称視点・いかにして彼は連中を煽ったか

 帝国の者たちは、画面を注視する。

 異世界人と巫女は、時間を余計に使うことなく第二階層へ移った……ように見えた。

 そこに、一切の不正のようなものは見受けられない。


「今度こそ……!」


「異世界人を殺してくれよ、スケルトンよ!」


「ここで駄目なら、アレを投入しなければならなくなる!」


「それはいかん! アレを投入したら滅びの塔が終わる!」


「我々の娯楽が!」


「だからこそ、スケルトンであの男を仕留めねばならんのだ。よし、第二階層開始!」


 帝国人たちには、マナビの能力を認識することが出来ない。

 いや、マナビと同行しているルミイ以外は、その力、ヘルプ機能とチュートリアルを認識できないのである。



「動きだしたぞ!」


「まさか横から突然スケルトンが槍で突いてくるとは思うまい」


「ここで終わるまでありますぞ!!」


 巫女と二人で、まったり歩いていた異世界人。

 スケルトンが出現するや否や、槍がどこに突き出されるかを完璧に把握した動きで回避した。

 回避の動きが、スケルトンの懐に密着する動きになっている。


 異世界人がスケルトンの手の甲をペンっと叩いた。

 スケルトンが槍を落っことす。

 異世界人がそれをキャッチして、そのままの動きでスケルトンを殴った。


 ガラガラと崩れ落ちるスケルトン。

 一撃で、腰のあたりにある要を的確に砕かれたのである。


 対面のスケルトンも、返す槍の穂先で要を粉砕されてガラガラ砕ける。


「「「「「「「「は!?」」」」」」」」


 異世界人が槍を持つ手付きは、素人そのもの。

 だが、繰り出した一撃は明らかに、達人のそれを凌駕していた。


 撃ち込むべきところに、最小限の力と最適なタイミングで撃ち込む。

 これを的確にやってのけたのである。


 防御機能があるはずのスケルトンが、一切守ることもできない。

 まるで、どこを突けば防御すらできなくなるのかをあらかじめ知っていたかのようだ。


 そして異世界人は、巫女の手を引きながら、妙なステップを踏みつつ次の場所へと進んでいく。


「こ、今度はスケルトンアーチャーの道だ!」


「逃げ場など無い! ハリネズミになるのがオチよ!」


「念のため、矢には毒も塗ってあるからな! 毒が無効化しないよう、ちょくちょく通ってメンテナンスした甲斐があったわ!」


「さあ、無惨に死んでくれ異世界人! あと巫女!」


 今度こそ、今度こそはと望みを掛ける帝国人たち。

 さて、不思議なステップでスケルトンアーチャーの道を進む二人。


 そこへ射掛けられる矢。

 だが、それは全て、まるで狙ったように二人を外す。


 巫女は「あひー」とか悲鳴を上げているようなのだが、それでも彼女のふわふわしたローブすら掠められぬ矢の雨。

 それはまるで、雨を避けてダンスしながら歩く光景。

 二人は降り注ぐ矢の雨の中を、優雅にステップを踏みながらくぐり抜けた。


 そして、明らかなカメラ目線で、手を振りながら満面の笑みを浮かべる異世界人。


「「「「「「「「ああああああああああ!!」」」」」」」」


 あまりの衝撃と悔しさに、帝国人たちがのたうち回る。


「なんなの!?  あいつなんなの!?」


「ありえない! 隙間が無いはずの矢の雨の中を、一発も喰らわずに駆け抜けるなど!」


「駆け抜けていない! なんかダンスしていた! おかしい! あいつはおかしい!」


「まるで、どこに矢が射掛けられるかを知っているような……」


「あり得ん! スケルトンアーチャーは、通りかかる相手を認識してから矢を放つ!」


「そうだ。自分たちに反応して放たれるものを、あらかじめ予測して避けるだと!?」


「避けたというか、こう動けば当たらないと分かっているようなというか……」


「それこそあり得ん……!!」


 ということで。


「次はスケルトンウォリアーの大群だ! これで終わる! 隙間なく敷き詰められたスケルトンウォリアーが、近づく者を的確に切り裂く! 一体一体が熟練の兵士と同じ強さを持つ……!」



 スケルトンウォリアー軍団と対峙した、異世界人と巫女。

 だが、歩みを止めない。


 スケルトンウォリアーギリギリのところを、二人でタイミングよく抜けていくのだ。

 ここなら攻撃が当たるだろ! というところでも、不思議なことにスケルトンウォリアーの攻撃はピタリと止まる。

 まるで、相手が攻撃できる範囲を正確に理解しているかのようだ。


 しかも、鎧によって阻害される腕の可動範囲まで把握されているような……。


 当たらない。

 当たらない、当たらない。

 当たらない、当たらない、当たらない。


 二人はスケルトンウォリアーに触れること無く、するりと群れをくぐり抜けてしまった。


「「「「「「「「おえええええええええ!?」」」」」」」」


 衝撃に打ち震える帝国人たち。

 だが、衝撃を受け続けてきたので、今回は回復も早い。


「お、追わせろ! スケルトンウォリアーにあいつらを追わせるのだ!」


「後ろから斬り殺せ!」


 急遽、下された命令に従い、スケルトンウォリアーは振り返った。

 そして一斉に異世界人たちを追おうとする。


 だが、彼らはみっしりとその場に敷き詰められていたのである。

 これが一斉に動いたら……。


 振り回した武器が、スケルトンウォリアーの体が、お互いがお互いを邪魔して、ぶつかり合って、絡まり合う。

 ガタガタカタカタと音を立て、彼らは身動きできなくなってしまった。


 そこへ異世界人が悠々と近づき、スケルトンウォリアーの一体をポコンと槍で叩いた。

 その腕がポロッと地面に落ちる。

 握られている剣ごとだ。


 異世界人は、剣を拾い上げた。


 そしてまたカメラ目線になり、槍と剣を構えて身構えた。

 へっぽこな演舞をしてみせる。


「な、なんだこれは!」


「どうしてこうなった!?」


「駄目だ駄目だ駄目だ! もう、スケルトンジェネラルで決めるしか無い!」


「ああ! 滅びの塔の通常モンスターで最強の存在! 熟練の兵士十人ぶんの強さを誇る!」


「これならば異世界人も……」


 異世界人はトコトコとスケルトンジェネラルに近づく。

 スケルトンジェネラルが、多腕に満載した武器を振り回しながら突撃した。


 その全てが、鎧のない異世界人ならば触れただけで真っ二つにしてしまうような必殺の一撃。


 だが、異世界人はどうやら、特定のタイミングを待っていたようだ。

 無造作に槍を突き出す。


 すると、スケルトンジェネラルの全ての腕が、武器が、そして体が、槍に巻き付くように絡み、こんがらがり、一瞬で行動不能になってしまった。


 これをぽいっと地面に投げ捨てる異世界人。

 剣でコツンと、スケルトンジェネラルの後頭部を叩いた。


 すると、兜を被った頭がぽろりと外れる。


 異世界人は、兜を自分の頭に載せた。


 巫女がこれを見て、笑顔で手を叩く。


「「「「「「「「うわあああああああああ!!」」」」」」」」


 帝国人たちは、その場に倒れて地べたをバタバタ叩きながらのたうち回った。


 全ての仕掛けが、突破されてしまったのである。


「も、もうダメだ……」


「あれを投入するしかない」


「滅びの塔を破棄するというのか!? 異世界人たった一人のために!?」


「ここまでコケにされて、黙っていられるか!」


「ヘカトンケイルを投入せよ!!」


 今、謎の技を使い、帝国人を徹底的にコケにする異世界人に向かって……ワンザブロー帝国最強のモンスターが解き放たれる……!

面白い!

先が読みたい!

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― 新着の感想 ―
[一言] こんな無駄な施設に手間暇かけてるからダメなんだよコイツら。 きっと多分似たような無駄で無意味で生産性皆無な施策がたくさん有るに違いない。
[一言] ぶははは! 舐めプ無双!
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