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第158話 解き明かす謎からの世界の真実

『魔法文明と呼ばれる時代になっておろう。だが、そんなものはない』


 いきなりショッキングな発言来た。

 しかし、謁見の間の連中は特にショックを受けている風でもない。


 彼ら、マニュアルに従って役割を果たしていただけだものな。

 魔力の星が落ちても生活が変わっていないっぽい様子が、混乱の無い生活ぶりからも伺える。


「つまりこの国、魔力の星の恩恵を極力排除して運営されてたってことか」


『そうだ』


「うおっ! 記録だと思ってたら返答してくるのかよ」


 俺はかなりびっくりした。

 鏡に映し出された男は、じっと俺を見ている。


『私は魔導石の中に、私の記憶と意識を焼き付けた。フォーホース地方を管理する魔導石が、即ち私と言っていい。異世界から来た者よ。私はお前のような存在を得るために、彼らに命じて何度も異世界召喚を行わせた。各国にその技術を伝え、異世界召喚を行わせた』


「世界の答え合わせが始まっていくな」


 映像になっている男は、恐らくは魔導王と同じ時代を生きていた魔法使いだ。

 魔力の星など無くても、自力で魔法を使うことができた魔法使い。


 で、そいつは魔導王の存在に危機感を覚えていたと。

 だから、魔導王が魔力の星を開発し、地上が無限の魔力に満たされた時も、あえてそれを利用しないシステムを作り上げた。


 魔導石というのがそれで、そう言えばスリッピー帝国も似たようなものを使っていたような……。


『あれは我が地方から輸出されている。それをスリッピー帝国が加工し、使用している。魔導石は平行世界から魔力を汲み上げ、結晶化させたものだ』


「当機能の中にも魔導石がありますよ」


「アカネルが衝撃的な事を言ってきた。つまりこの国、ある意味ではアカネルの生みの親でもあったわけか」


「そうなりますね。彼は古代の魔法使いユーリン。ヘルプ機能によると、彼こそが異世界召喚技術を生み出した天才だと言われています。己の人格と記憶を魔導石に移し替えながら、ずっと研究を続けたようです」


『そうだ』


「いちいち律儀に返答してくるぞ」


『魔導王は私が召喚した。最初に召喚した四騎士を、彼は圧倒し、その力を見せつけた。魔導王の力とは、魔法そのものだ。想像し、創造しうるありとあらゆる魔法は、彼によって行使される。魔導王は世界に無限の魔力をもたらすと言って、魔力の星を作り上げた。あらゆる魔法の使い手である彼をもって、数十年を掛けてだ。その気になれば世界を束ねる神にもなれた男が、慈善行為か? いや、違うだろう』


「一人で話が完結してるじゃん」


「マスター、ツッコミは無粋ですよ」


『あれは、人間たちが無限の魔力を用いて何をするのかを見ているのだ。私が魔導石に意識を宿したように、あの男もまた、自らの肉体を捨て、意識を魔力の星に移し替えた。私はそう睨んでいる』


 なるほどなあ。

 ユーリンとしては、自分がこの世界に呼び込んでしまった怪物である、魔導王を放っておけなかったのだろう。

 それで、フォーホース帝国を作って魔導王を監視することにした。


 この国が謎に包まれていて、外部からの侵入を許さなかったのは、ここがいつか再来する魔導王に対抗するための場所だったからだ。

 多分な。


「その辺りどうなの、アカネル」


「間違いありません。国全体が、魔導王に対抗するための仕掛けになっています。従来の魔法とは全く違う理論で作られています」


「ははあ。ということは、ユーリンは魔導王が絶対に戻ってくると確信してるんだな。そして繰り返される異世界召喚の中で、魔導王に対抗できるやつが出てくるのを待ってたと。俺と、オクタゴンと、コンボの達人か?」


「三人も同じ時代に出てきましたね。オクタゴンはずいぶん前だと思いますけど」


 そうなるな。


『時は来た。それだけだ』


「以前の俺みたいな事言ってるな。だが確かにそうとしか言いようがない。で、俺に何を期待するんだ。俺は異世界召喚について色々知るためにこっちに来たんだが……」


『知識は開示しよう。魔導王めの魔力を目減りさせるために私が仕掛けた策だ。案の定、魔力の星はその魔力を枯渇させて堕ちたか。こうなれば、魔導王が出てくるより他ない。奴の計画は水の泡だ』


「マスター、こうは言っていますが、ユーリンは魔導王の計画について正確には知らないようです」


「ほんとかあ」


 なんとなく推測してるだけか。

 だが、確証が無いからと何もしないよりはずっとマシだろう。


「魔導王が何するのか知ってる?」


『人間に魔力を与え、試した。試しの結果作り出された世界を、あの男はずっと見ていた。そして、人間に価値なしと判断したなら……再臨した魔導王は人間を滅ぼすだろう』


「神様みたいなことするじゃん」


「魔導王についてヘルプ機能で調べました。神と言っていい権能を持っていますね。大陸一つを空に浮かび上がらせる、その大陸を成形して星の形にし、中央には幾多の魔法使いを魔力化して束ね、核としています。魔力の星は、魔導王が住んでいた大陸そのものだったようです」


「とんでもねー。なるほど、オクタゴンが現在進行系っぽい感じで、最強の異世界召喚者に魔導王の名前を上げた理由がよくわかった」


 真の敵は魔導王、というわけである。

 まだ影も形も無いんだが。


 いや、俺に気づかないところで、徐々に影響を及ぼしてたりするんだろうか?

 ちょっと、そこのところを調べねばなのだった。

面白い!

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― 新着の感想 ―
[一言] え? 星の製作者が黒幕!?
[一言] 神のごとき力を持ってると神様気分にもなるよね… ただ召喚されて手に入れた力で無限に調子に乗ってると解釈すると小物になるぞ
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