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第151話 入国からのバーバリアン

 平行世界とか異世界召喚を司る国、フォーホース帝国。

 相変わらず、たくさんの異世界召喚者を抱え、国を守らせていたようだが……。


 結構な数を、コンボの達人に倒されてしまった。


 ということで、再入国はとてもスムーズだったのである。


 バギーを運転するのはアカネル。

 助手席にナルカ。

 後部座席にルミイ。


 並走するのは、ルサルカラバーと、その背に俺。

 俺の後ろにカオルンがくっついている。


 ルミイとアカネルが、羨ましそうにカオルンをチラチラ見るのだ。


「ううー、わたしのお尻がもっと強ければマナビさんの後ろに乗れるのにー」


「当機能なんかすぐにやられましたからね! カオルンの肉体能力が羨ましいです!」


 そういうことである。

 事のキッカケは、カオルンがこう言い出したことだ。


「カオルン、マナビの後ろに乗ってみたいのだ! しがみつけばいいのだ?」


「なんですってー」


「抜け駆けですよ!」


 沸き立つルミイとアカネル。

 これを見て笑うナルカ。


 結局、順番に俺の後ろに乗ることになった。

 ルミイは自重で尻をやられてすぐリタイアした。


「く、食い込むんですよ……!」


「ルミイは柔らかボディ過ぎたな」


 アカネルは一回ルサルカラバーがジャンプしたら、尻を打ってリタイアした。


「ウグワーッ」


「アカネルは基礎体力が足りんかったか」


「マスター! 普通、鞍とかあるものですよね!? どうしてマスターは布一枚くくりつけた上で安定してられるんですか!」


「俺の尻の力だな……」


 ということで。

 抜きん出た身体能力を持つカオルンだけが、俺の後ろを許されたわけである。


 彼女はラバーの揺れに合わせて体重移動させ、お尻へのダメージを楽々回避する。


「空中戦に比べたら楽なものなのだ! それにマナビにくっついていられるから、カオルンはずーっとここがいいのだ!」


 むぎゅーっと抱きついてくるのだが、カオルンのいい匂いと熱烈なハグの感覚が大変気持ち良い。

 俺もニコニコになった。


「見て下さいあのだらしなく緩んだ顔! きぃー! こんなところに格差があったとは思いもよりませんでした!」


「全くですよルミイ! 当機能、ルサルカラバーに鞍をつける提案をします! 二人乗り用です! フォーホース帝国の都市に行ったら手に入れましょう!」


「あんたら、本当に緊張感というものがないねえ……。謎の帝国も、あんたたちの前じゃ形なしだね!」


 一人、大変愉快そうなナルカであった。


 さてさて、本当にフォーホース帝国では何も起こらない。

 ちらほらと魔獣を見かけたりしたが、あれは帝国の結界がなくなってしまったから、辺境から戻ってきた連中であろう。


 凍土の王国とは違うらしきバーバリアンも見かけた。

 異常に周囲を警戒しながらビクビクと行動していたので、俺たちが土煙を上げつつ現れたら、めちゃくちゃ驚かれた。


「こ、攻撃ー!!」


 いきなり攻撃してきたので、反撃である。

 カオルンとナルカが、ちょっと相手の男どもを殺さない程度に捻ったら、すぐに音を上げた。


 カオルンが戦場を縦横無尽に飛び回って、相手を殴り倒して回り、近づく男たちはナルカが的確に投石して昏倒させただけである。

 バーバリアンの戦力が壊滅した。


「ま、参った! またも化け物! 俺たちを殺さないでくれ!! これ以上死ぬと次の一族が生まれなくなる!」


「命乞いを始めてしまった」


 やれやれ、我々はまた何かやってしまったかな?


「マスターが凄く相手を挑発するような顔で肩をすくめてます!」


「俺は勝者の権利を行使しているに過ぎない……。なああんたら。相手の実力も知らないのにいきなり仕掛けると死ぬぞ……? 魔法使いはほぼいなくなったが、それでも別の魔法を使うヤバい連中はいくらでもいるんだ」


 バーバリアンのリーダーらしき男は、震えながら頷く。

 そして不思議そうな顔になった。


「あれっ? だけどあんたたちはなんか、物理的に俺らを叩きのめしたような」


「物理的だったから手加減できたんだ。誰か死んでたらお前ら、仇討だーって止まらなくなって全滅するだろ」


「しそう……」


「さっきもビクビクしてたけど、異世界召喚者辺りに襲撃されて、たくさん犠牲者出したんじゃないのか」


「な、なぜそれが分かる!!」


「分からいでか。凍土の王国レベルならまだしも、お前らじゃフォーホースとやり合うのは力不足っぽいだろ。一旦里に帰ってから戦力を整えた方がいい」


 俺は優しい忠告をして、バーバリアンリーダーの肩をポンポン叩いた。


「で、良かったらどういう襲撃を食らったか教えてほしいんだが」


「お、おう。たくさん来た。火の玉になって空から落ちてくるやつがいた。仲間たちが突然おかしくなって、暴れ始めたりした。いきなり腹が減って動けなくなったりした。あとは、進んだら突然死んだりした……。意味がわからない……。恐ろしい異世界召喚者が四人いた。騎士とやらの格好をして、四色の馬に乗って空から来た」


「ははあ……。フォーホース……フォーホース……。黙示録の四騎士じゃん」


 俺は完全に理解したぞ。

 戦争と支配と飢餓と死ね。


 根源的な災禍を司る異世界召喚者が四名いるっぽい。

 強そうだが……。


 オクタゴンが世界最強の中に名前を上げてなかったし、本当に異世界召喚者なのか?

 まあ問題なかろう。


「それは俺たちがほどほど片付けるので、任せてもらおう。お前らは里に帰れ。で、もうちょっと平和になったら降りてくるんだ」


 コクコク頷くバーバリアンリーダー。

 彼は仲間たちに号令を掛けると、Uターンしていった。

 他のバーバリアンも、そろそろ嫌気が指していたらしい。リーダーに従い、みんな一目散に逃げ帰っていく。


「結界を失っても、召喚した強力な異世界召喚者は機能してるってわけか。どうしてこの国に忠誠を尽くすんだろうな?」


「何か理由があるかも知れませんね。それらしいキーワードで検索を掛けてみましょう」


 アカネルが作業を開始する。

 この頼れる我らが頭脳役に全てを委ね、俺は次なる街で馬の鞍を手に入れることを考え始めるのだった。


 ルミイにアカネルにナルカ、誰を後ろに乗せても抱きついてもらう感触が違いそうである。

 楽しみ過ぎる……。

面白い!

先が読みたい!

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― 新着の感想 ―
[一言] 逆らったら死んじゃいます系かな? 黙示録の四騎士は現地の本物っぽいな…
[一言] なんかあるなあ。
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