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第130話 一夜・花火・次の朝へ

 いつ頃に、フィフスエレへ出発するのか。

 その辺りの話し合いをルミイに任せつつ、セブンセンスは内戦の終わりを告げるお祭りみたいなものが始まっていた。


 法国の住民もバーバリアンも交えての大騒ぎである。

 いい顔をしない住民ももちろんいる。

 戦神とか知識神の信者たちだ。


 だが、光輝神と慈愛神と鍛冶神が賛同しており、しかもバーバリアン側の主神が光輝神と慈愛神の別側面の神なのである。

 おおっぴらに反対する理由がない。


 後々ひと悶着はあるかもだが、今は平和ということだ。


 みんな、大いに飲み食いしている。

 晴れて知識神最高司祭となったグラーシズも、しかめっ面をしながら骨付き肉をむしゃむしゃやっていた。


「技巧神の信者たちが、せっせと商売をしていますね……。自らの神が世に混乱をもたらした張本人だというのに……」


「リアリストなんだろう。あちらからすると、悪さをしたのは技巧神の一側面に過ぎないそうだぞ」


「確かに、光輝神と蛮神が同一である事を知ると、その言葉に納得せざるを得ませんね。では、知識神側はその理論を世の中に広めます」


 グラーシズは協力的だ。

 彼曰く、「せっかく得た平和を、すぐに壊してしまうのはもったいないですから。それに平和な方が存分に文献の研究ができます」だと。


 ということで、お祭りの料理も運営も技巧神の信者たちがやっているのだった。

 これを以て、彼らへの禊とするわけだ。

 蛮神バルガイヤーこと、光輝神アクシスの発案だな。


 なんだ、アクシスはめちゃくちゃ頭が柔らかいじゃないか。

 頭が硬かったのは、技巧神が成り代わっていたからだったのか。


「ふいー。3日くらい猶予がもらえました! たくさん飲み食いしましょう!」


 ルミイがポテポテ走ってきて、すぐさまむしゃむしゃごくごくやり始めた。

 こりゃあ止まらんぞ。


 そして、アカネルと今後について、飯を食いながらのお話を始める。

 そんな二人が、俺とカオルンをちらっと見た。


 カオルンは実に美味そうに、料理をちょっとずつ食べているのだ。


「こんなに美味しかったのだなー。カオルン、全然気付かなかったのだ。食べるのは楽しいのだー」


 新生カオルンにとって、世界の何もかもが新鮮である。

 で、なんか俺にぴっとりくっついている。


 彼女が生まれ変わって判明したことなのだが、カオルンはハグ魔である。

 何かある度に抱きついてくる。

 ほっそりしているけど柔らかいところも多くて、大変心地よいが人目が気になる……。


 なので、食事中も妙に距離が近い。


「カオルンさん、距離が近くはないですかね……!」


「そうなのだ? あ、マナビの口の端にお肉がついてるのだ。ちょっとまってね。んむ……」


 ウワーッ!!

 それは実質キスでは!!


 あと、カオルンはキス魔である!

 気を抜くとチュッチュッとしてくる。


 いきなり愛情が深くなり過ぎでは無いですかね……!

 嬉しいけど!


「マナビさんとカオルンはー。そろそろお出かけしたらどうですかねー?」


「そうですよ。当機能たちにとって目の毒です! しっしっ!」


 なんか二人が俺たちを追っ払ってくる。

 これを見て、対面で飯を食っていたナルカが苦笑した。


「焼きもちだねえ。だけど、二人きりにしようって優しさだと思うよ。甘えちゃいなよ、マナビ」


「分かったのだ」


 カオルンみたいな喋り方でうなずく俺である。


「カオルン、そろそろ」


「ん、分かったのだ」


 ということで!

 行ってきます。


 慈愛神の運営するお宿の、一番大きい部屋を使わせてもらえたのである。

 窓がでかい!


 夜闇の中、お祭り会場が明々と照らされていて、やんややんやと騒ぎの声が聞こえてくる。

 これはこれで風情があるではないか。


 俺はここで、カオルンとエッチなことをした。

 経験者である俺は、初回からなんとかいけたぞ!

 くっそー、まだ余裕がねえ!


「うん、ちょっと痛かったのだ。だけど大丈夫なのだ。もっとマナビの好きにしていいのだ……。だって、カオルンはマナビとずっといっしょにいるって決めたのだ」


「ヒエー、愛が深い!」


 今までの淡白だった時間を塗りつぶすように、大変濃厚な時間を過ごしてしまった。

 とりあえずカオルンは軽いから、抱き上げたりしつつ窓からベランダに出て、お祭りを二人で眺めながら励んだりできるのはいいな。

 色々な体勢を試した結果、カオルン的には俺の顔が見えるのが一番いいらしい。お祭り、俺しか見えなくなるけどいいの?


 ルミイは色々重いからな……。抱き上げたりして励むのは、いや、ギリギリいけるか?

 アカネルならばいけそうだ。


「マナビ、今はカオルンのことだけ見てるのだ!」


 ということで、キス魔の彼女に分からせられてしまった。

 カオルンとのエッチは、バトル感覚というか、ルミイの湿度と粘度が高い行為と全然違っていてスポーティーだった。

 いやあ、人によって変わるもんだなあ……!


 お陰で、明らかに一回ごとがルミイより短い。

 しかし運動量は明らかに倍以上あり、体力は使う!

 あと、なんか全身にキスマーク付けてくるこの娘!


 こうして、四回戦目が終わって二人でぐったり、ベランダ前のソファにもたれて外を眺めていたら、花火みたいなのが上がった。

 あれはなんだ。


「あー、あれはルミイがやってるのだー。精霊の魔力が凄く働いてるのだ。ルミイ、魔法を本気で使ったらとても強いのに、全然使わないのだ。なんでなのだ?」


 疲れから、眠そうになっているカオルン。

 ぼそぼそとそんな事を聞いてきた。


「性格がとことん、戦いに向いてないんだろう。だけど、そのぶんはパワーアップしたカオルンが全部やってくれるだろ」


「うんー、やるのだー。カオルンにおまかせなのだ」


 彼女はもぞもぞと動いて、俺の頬にキスをした。

 それから、しなしなと崩れて、俺の膝の上に頭をコテンと倒すと、ぐうぐう寝てしまった。

 彼女の耳の下に俺の愚息が!!


 まあいいか……。

 今夜こそ、もう賢者モードだ。


 俺はのんびり花火を眺めつつ、「このまま寝たら風邪引くよな……」とか呟くのだった。


(セブンセンス法国編 終わり)

 

面白い!

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― 新着の感想 ―
[一言] ありゃー… それぞれ、神様たちの都合のいいとこしか、見てなかったのね。
[一言] ウワーッ カオルンのヒロイン力がビックバンを起こした!
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