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3 海王星


 少年と少女は月を飛び立ったあと、海王星に到着する。


流れ星「海王星、海王星、お次は嵐の海王星駅でございまーす。まいどいつも……わぁ! たいへんだ、気流が乱れて、あぁ、あぁ! 落ちるぅぅ!」


少年と少女「あぁぁ!」


流れ星「飛ばされない様につかまって、ちゃんと毛布にくるまるんですよ!」


少女「お兄ちゃん、とっても寒いよ!」


少年「ちゃんと捕まって……あ!」


 少女は毛布を持ったまま流れ星から手を離してしまう。


少女「お兄ちゃーん!……」


少年「あぁぁ! おい、流れ星! 妹を助けてやってよ!」


流れ星「そんなこといったって、わたくしだって落っこちてるだけなんですから、そう簡単に軌道は変えられないんですよ」


少年「そんな……」


 流れ星と少年は海王星に降り立つ。そこはダイアモンドでできた不思議な世界だった。


少年「うわぁぁすごいや……雪が降ってる」


流れ星「ここは海王星、ダイアモンドと雪の星です」


少年「そんなことより、妹を探さなくっちゃ! どっちへ飛んで行ったか覚えてる?」


流れ星「たしか、あっちですね、小さな太陽が見えるでしょう」


少年「ほんとだ、よし行こう!」


流れ星「お気をつけて!」


少年「きみは行かないのかい?」


流れ星「ぼくはここにいます。この星は位置がわかりにくくて、一度見失うといっかんのおわり、だからあまり地表を歩きたくないんです」


少年「そうなんだ……ねぇ、次の出発時間は?」


流れ星「長くて一時間くらいでしょうか、それくらい経ったらシリウス行きの宇宙風がきますから、それに乗らねばなりません」


少年「わかった、すぐに戻ってくるから!」


流れ星「お気をつけて!」


 少年は雪に脚をとられながら太陽の方角へ向かった。


 少年は妹が落ちたあたりへと到着する。すると、そこには何かが落っこちてクレーターのようなものができている。そして、そのクレータから足跡が洞窟の方へとつづいている。


少年「たしかにここに妹が落ちたはずなんだけれど……ところでこの足跡はなんだろう、まるで人間の足跡みたいだけれど。――いいや、ここで考えていても仕方がない、いまある手掛かりはこの足跡だけだ、なら、この足跡をたどってみるまでだ」


 少年は洞窟の側に行く。すると、妹が持っていた毛布をみつける。


少年「間違いない! これは妹のものだ、きっとこの足の大きな怪物に連れて行かれちゃったんだ、早く助けてやらないと!」


 その時、洞窟から体中い白い毛と角を生やした雪男が現れ、少年を見て言う。


角を生やした雪男「は、は、は、貴様は何者だ! ここには何の用で来た!」


少年「妹を探しているんです! たしかにここに来たはずで、――ほら、ここに落ちていた毛布が証拠です!」


角を生やした雪男「知らん! そんなもの!」


 そのとき、洞窟の奥から「お兄ちゃん!」と叫ぶ少女の声がする。


少年「これはたしかに妹の声、おい、妹を返してくれ!」


角を生やした雪男「それはできぬ相談だ」


少年「なんでだよ!」


角を生やした雪男「いいか! この土地にあるもんはぜんぶ俺様のもんだ! 地面から生えてこようがどこからか飛んでこようが、俺様の縄張りに入ったが最後、俺様の胃袋に入る! ここらの食べ物はぜんぶダイヤモンドでできてるからな、あんなに柔らかい喰いもんは何十年ぶりだろうか! おまえもうまそうだな! 食ってやろうか!」


少年「食えるもんなら食って見ろ!」


 少年は地面に落っこちていたダイヤモンドを拾って雪男に投げつける。


角を生やした雪男「は、は、は、は、――そんなものを投げたって痛くも痒くもない! なぜなら、この俺様はこの土地のダイヤモンドを食べて生きているのだからな! さぁ! それではこちらからも反撃をしかけてやろう」


 雪男は少年めがけて突進しようとした、しかしちょろちょろと動き回る少年に夢中で近くにダイヤモンドのメタセコイアが生えていることに気がつかず、そのまま激突していしまう。


角を生やした雪男「ちっくしょう! 角が木に突き刺さり上がった、身体をうまくつかってうまく引き抜かなければ!」


少年「ずいぶんとしっかり突き刺さっているな、これは当分のあいだ抜けないぞ」


角を生やした雪男「おい、底のお前! 見ていないで手伝え!」


少年「やなこったい!」


 少年は急いで洞窟の中へ入って行く。


少年「おい! どこにいるんだ!」


少女「お兄ちゃん! お兄ちゃんなの!」


 少女は兄のところへ駆け寄る。


少女「あぁ、よかった、お兄ちゃんだわ」


少年「きみこそ、よかった、無事だったんだね、それよりも早くここを出よう、流れ星もあまり時間がないって言ってるんだ」


少女「まあ大変、さっさとこんな星とおさらばしましょう!」


 少年と少女は洞窟を出る。すると、角のある雪男が、まだ刺さった角を引き抜こうと頑張っている最中だった。


少年「さ、気にせず逃げよう!」


少女「うん!」


 少年と少女はそのまま逃げていく。そして、流れ星の待っている場所にたどり着く。


流れ星「おや、やっと来た、――もう時間がないよ! はやく! おや、あれはなんだろう? 大きな体をして頭には大きな樹木を担いている」


角を生やした雪男「ウォォッ! 待て、このコソ泥が!」


少年「もっと速く走るんだ!」


少女「うん!」


少年「流れ星! すぐに出発だ!」


流れ星「言われずとも!」


 少年と少女は流れ星に飛び乗る。すると、流れ星はゆっくりと宙へ浮き上がる」


角を生やした雪男「逃がさないぞ!……」


 角を生やした雪男は流れ星を捕まえようと大きく跳びあがる。


流れ星「ぎゃァァ、誰かがわたくしのかわいいお尻をつかんでいらっしゃるわ!」


少年「ちゃんと捕まれ! また嵐がくるぞ!」


 突然突風が吹いた。すると、角を生やした雪男は手を離してしまう。


角を生やした雪男「ちくしょう、落ちる! アアアアッ!」


少女「まぁ、たいへん、怪物さんだいじょうぶかしら?」


少年「きっと死にやしないさ……」


 流れ星は海王星を離れていった。


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