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第五話『王と聖剣』(7)

 甲高い音がした。

 その音の方向を見やると、感じるのは、異常なまでの魔導反応。

 その直前に村にいた残りの小型のモンスターたちは一斉にそちらの方に走り出していった。


「クーリジェ、今の音を聞いたか?」


 マリはすぐさま寄ってきたクーリジェに問うと、クーリジェは一つ頷いた。


「はい。しかし、モンスターの咆哮とはワケが違う音です。どちらかといえば、魔導エンジンの暴走音に近い。同時に、気になるのが音のした方角です。あれは、王子殿下達が戦っている場所です。どう考えてもそこで何か起こったとしか思えません」


 的確で、同時にしっかりとした反応だ。

 やはりこの男を連れてきたのは正解だったと、マリは思った。戦場にかなり場馴れしているのは、今の状況ではありがたい。


 観測班から通信があったのは、その直後だった。


「観測班、状況は?」

『ま、マリ様……ば、化け物が……!』

「落ち着け! 何があったか端的に知らせろ!」

『は、はい! 敵新型機にして隊長機、周囲のモンスター及び敵機を『吸収』しました! それにより変貌、サイズは見る限りで魔導機の三倍以上です!』


 震える声で言ってきた。


 愕然としてしまった。そんなことが起こり得るのかと思ったが、観測班が嘘をついたことはない。

 他の観測班からも同様の知らせがやってきた。

 今アース達が応戦しているが、避けるので手一杯になっているという。


 しかも、まだそんな惨状を見ても呼応するロルムス軍がいるようで、一向に敵が引かないというのだ。


 このままでは敵に負けるのは必定だ。何か手を考えねばまずいと、マリは心底思った。

 久々に、汗が落ちたのを感じる。


「聞いたか、クーリジェ?」

「はい。間違いなく。しかし、増援に出来る兵力がいない。魔導機がせめてあと何機かいれば、他の敵の足止めも出来るのですが……」


 私の機体があれば、という言葉をクーリジェは飲んでいるように見えた。


 せめて数機いれば、敵の足止めが出来る。それならばドラグーン全勢力総出でその機体を叩きのめせる。


 何か手はないか。

 そう感じた時、後ろに、振動が響いた。


『困ってるようじゃねぇか、マリア』


 ハッとして、後ろを振り向いた。

 黄色の魔導機。手はなく、全てが作業用のアームユニットが取り付けられた、何度も見てきた機体が、何十機もいた。


 先頭の魔導機から、人が飛び降りてきた。

 親方だった。


「魔導機、いるんだろ? だったら、俺達を連れて行け」

「死に行くつもりか?」

「お前に言われて思ったのさ。ガキに任せて大人がいじけてたら、それこそ恥知らずもいいところだってな。岩盤掘削のためにある程度装甲は強化してあるが、マリア、機体全部の装甲、魔導で更に強化できるか? それさえやっちまえば、敵魔導機どうにか出来るかもしれねぇ」

「出来るが、どうやってやる気だ? まさか特攻とは言うなよ」

「特攻なんて馬鹿な真似するか。俺達の、炭鉱夫なりの戦いがあるんだよ。ステゴロ、って奴だ。それに」


 親方が、自分の胸をどんと叩いた。


「ロルムスに腹が立ってるのは、お前らだけじゃねぇんだ。ここで立ち上がらなきゃ何にもなんねぇ。だから、手伝わせてくれ。俺達の国の再興を」


 親方の目を見た。

 本気だ。しかし、死に兵の目ではなく、ハッキリした意思が感じられる。


 ならば、この火は消してはならないのだ。


「分かった。ならば、手伝ってくれ。出発できる準備は?」

「とうに整ってるよ。全員いけるぜ」

「ならば、行くとしようか。私達の国の再興のために」


 そう言ってから、マリは魔導をロッドに込め、そして、ロッドで大地を突き刺した。

 魔導機の周囲にオーラが纏われていく。


 これで装甲強度だけは現魔導機と同等になった。

 にやりと、マリは不敵に笑った。


「さて、行くとするか。殴り飛ばしに!」

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