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第三話『反抗組織と初めての忠臣』(4)-1

 何度か、野盗のようなことをしたことがある。

 東端へ侵攻していたロルムスの輸送部隊や、実戦配備部隊への襲撃だ。


 周囲の街に迷惑にならないように、進行中の状態を狙ってのゲリラ活動。実際それくらいしか出来なかった、といった方が正しい。

 なにせ戦力が圧倒的に足りないのだ。

 故に、勝つには徹底的なまでの戦術、戦略の強化及び各々の質で勝負するしかなかったのだ。


 兵にとって少数で多量の敵に挑むのは下策だ。それは分かっている。

 だが、やらざるを得なくなったときはどうするか。そうなると質で凌駕するしか手はなくなる。

 だからドラグーンは徹底して兵の質を上げた。


 こんな状態の中で、王子殿下が帰還した。

 御旗をついに得ることが出来たのだ。故に士気は今までにないほど高ぶっている。


 十分だと、ガウェルは自身の愛機のコクピットで機体を起動させながら感じた。


 グルディス。それが自分の愛機だ。

 空色で統一された旧グランデン主力量産機『ベイルディン』と違い、グルディスは紫に塗られている。

 更に言うならこの機体はベイルディンのようにグランデンが開発したものではなく、発掘された代物だ。


 ロルムスが東端も統一するより前に発掘した機体。それが自分に与えられて改良してから既に八年にはなるのか。

 魔導出力も上々だった機体だ。それだけに扱いは難しかったが、慣らすとだいぶ自分の思った通りに動いてくれた。恐らくこれを開発した人間は相当高い技術レベルを持っていたのだろうと想像するに難くなかった。


 そして己の剣技も、この一六年で散々磨いた。

 敗戦に次ぐ敗戦が、逆に自分を強くしたというのを、ガウェルは実感している。

 屈辱は何倍にもして返す。それが自分なりの流儀だ。


 自分の機体の前方にいる魔導士が、転移魔導を発動させた。

 自分達の移動は森から歩いて行うわけではない。転移魔導を用いて目標地点に一気に集結させるといった離れ業も可能だ。

 恐らく相手は警戒するだろうが、それもガウェルは見越している。


 自分の機体に、武器をもたせた。

 一緒に発掘された、巨大な銃剣だ。名は古代語で『ガラディーン』と書いてあった。

 もっとも、機構には多少改良を加えて実弾を用いず魔導を発射する仕組みには変えてある代物だ。


 連射はできない。だが、一発の威力は十分。それが問題ないことを、機械的な音声で聞いた。

 準備はよし。後は行くだけだ。


「ガウェル・マイ、グルディス、出るぞ」


 そういった直後、転移魔導が最大出力になったことが告げられ、そのまま、その魔導に沿った。


 案の定、自分は機体とともに、ロルムス軍の通り道になっている高台が両面に切り立った大地に『一機で』立っている。


『観測班より各機へ。各機転移魔導起動後立地想定位置より一五サンタヤール(約一五cm)ずれたが問題なし。ガウェル殿、戦闘行動を開始してください』


 敵が近づいてくるのを、肌で感じる。


 王子殿下が見ているのだ。無様な戦にする気はない。


 そう思った後、息を、一つ吸った。

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